毛皮の仕上げ(ボリューム感を出すもうひとつの方法)

毛皮の仕上げの工程で、ミンクを例にとるとボリューム感を出すのに、いくつかの方法があります。

ひとつは、2012年8月6日付けの当ブログで書いたもっとも簡単にできる、スチームをかけて綿毛の根元のほうを縮れさせ方法です。

毛のボリューム感 http://wp.me/p2t2t1-7f

もうひとつは、あまり一般的ではありませんが、コラーゲンを使った方法です。毛をしっかりさせボリューム感をだすことに効果があるかもしれないと聞き、とにかく試してみようと思い、材料(コラーゲン)を仕入れて使ってみました。

よく、毛が伸びきっていたりしているときがあったり、もともと毛が柔らかくて腰がないときとか、都度いろいろな毛質があり、仕上がりを均一にして綺麗に作るのに苦労をします。そんなときには効果があります。

場合によっては艶出しと混ぜたりしながら使ったりしていますが、予想以上に効果があります。コラーゲン自体は通常の人間が食べるものと同じで、溶かすと無色透明で匂いもありません。相当、品質の高いものです。品名は公表はできませんが、調べればわかるかもしれません。

人間の髪の毛にもいいと言われていて、専用に調整加工されたものが美容室でもトリートメント剤などに混ぜられて使われているようです。

このコラーゲンがどんな作用をして毛がしっかりしたり、腰がでたりするのかはわかりませんが、

とりあえず試したのは、水で溶かして ビニいたの上で乾かすということをやってみました。乾くと、 硬いプラ版のようにカチカチに固まります。

これがどうして効果があるのかと想像をしてみるのですが、当然、ビニ板の上で固まったコラーゲンは濃い濃度のものですので、もしかしたらこのコラーゲンが薄く溶かされ濃度が下がることで、毛、一本づつに薄くコーティングがされたような状態になるのかもしれません。

そんな想像で仮説を立ててみて、効果を想定してみて、その濃度をなんども変えて試してみるのですが、当然、やりすぎる場合もあり、一度落としてみたりと、ひとつの技術が確立するまでには時間と労力、資金がかかります。そして根気も必要です。

私は、効果がありそうと思えば とにかく試してみます。人が使うものは意外にコストも安く安全で効果のあるものも多く、名前は、これも公表できませんが、セーブルなのど最終の仕上げ剤として、KOSEのものを使っています。べたつかず、オイリー感が欲しいときに使います。

話が少しそれました。今日のテーマである毛のボリューム感ということに戻りますが、毛皮の毛も人間の毛と同じで、仕上げ方によって、さまざまに変化します。

同じミンクが全く、別物のようになることもあり、加工途中にどれだけ毛質を意識できるか、もしくは最終の仕上げで、先日書いたリンナネンというメーカーのチンチラのように、
まるで、原皮のときと同じような自然な風合いがそのまま残せるという、経験と独自の技術によって最高の状態に作れるかどうかで、同じ素材が、天と地のようにひらきがでます。

チンチラの毛捌きとボリューム感 http://wp.me/p2t2t1-hQ

リフォームにおいても、オーダーと同じようトライしていくのです。リフォームとオーダーに作りや手間のかけ方に差はないのです。最後は、リフォーム品でも、店頭に並べて充分に通用するようなレベルを意識してい作ります。

もちろん、状態によっては叶わないものもあります。しかし、思いはいつも一緒であり、そのために、毛のボリューム感をだすという今日のテーマはとても重要なのです。

長澤祐一

 

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