ホワイトミンクマフラー

今日はストレートのホワイトミンクマフラーについて書いてみます。素材はアメリカンミンク/メスの4サイズです。以前はメスのミンクは3サイズが主流でしたが、今はその上の2サイズが全体のなかで大きな割合を占めています。中にはメスで1サイズや0サイズもあります。

今日のミンクは今では珍しいメス4サイズです。このミンクはサイズは小さいのですがアメリカミンクらしく毛のボリュームは素晴らしい逸品です。そして、サイズが小さいぶん、毛質もとても柔らかく刺し毛も短く、素晴らしい肌触りです。人間の肌も、男性より女性、大人の女性より赤ちゃんの肌が柔らかい、、、というようにミンクもオスよりメス、大きいサイズより小さいサイズのほう、、、というように毛質は繊細になります。

今回のミンクの特徴は繊細な毛質でボリュームは大きなサイズのように触っても押し返すような弾力がありとても魅力があります。作りは残った皮の写真を見ていただければ解るように、頭や腹は一切使わずに作っています。マフラーの横向きに毛が流れるように作っています。一般的にはこんな贅沢な作りはしません。ちゃんと腹も頭もしっかり使い無駄のない仕様になるのが一般的です。今回はオーダーということもあり、特別な仕様になりました。

誤解のないように書いておきますが、原皮を無駄にして贅沢な作りが良い商品という訳ではありません。あくまでどんな仕上がりにするかで原皮を無駄にするかしないかが決まります。今回はメスの4サイズということもあり、毛が短くボリュームがない腹や頭を使いたくなかったからです。

15年以上前に、国際見本市に出展したときに私たちのブースにひとが殺到し、そのなかの一人に職人さんがいらっしゃって、その方が、あ~~こんなに贅沢に皮を使って作れればいいな~~と嘆きに近いような言葉を発せられたことがあり、そのときに私は、おいおい、贅沢に材料を使えば綺麗に作れるのか?いくらコストをかけてもいいから世にないような最高のものを作れといわれたらどうする??そのプレッシャーのほうがはるかにきついだろう。。。贅沢に材料を使っていくらでも良いものが作れるなら技術や感性を磨く意味はない、、、とその職人さんに無言で返したのを思い出します。もちろん当社のコートが贅沢に材料を使っていた訳ではなく、仕上がりによってそう見えたのです。

普段、抑えられた工賃やぎりぎりの原料のなかでの商品作成は、それなりに大変ではあっても、どこかで、工賃が安いし、、、原料もギリギリだし、、、、と常に心のなかで、こんなもんでしょうがないよな~と言い訳をしながらの作りになりがちです。

そんなときに突然、いくらでも良いから原料も使いたいだけ使って、加工賃もとりたいだけ請求しろ、、、そのかわり完璧な商品を作れといわれたら、どんな作りをしますか????と普段から自分に問いかけていないと、いざとなったときに究極の作りなんて出来ないものです。

良いものは時間や原料を贅沢に使ったからできるというものではないのです。今日のホワイトミンクのマフラーはそんなことを教えさせてくれる商品です。そして三越日本橋本店毛皮サロンらしい、お品物でもあり、私が考える最高の贅沢を提供するつもりで、お作りさせていただきました。

本日のブログの写真は翌日納品のため急いで撮ったので、このメス4サイズのシルキーな柔らかさが伝わるかどうかわかりませんがアップしてみます。

長澤

 

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