東レacs3Dは使える道具

3Dシミュレーションというと、きわめて現実に近いものを表現する、、、そんなイメージが強いですね。

最近使いながら思うのです。東レACSさんの3Dの地味な凄さをです。

これまで何回か書いてますが今日は書ききれていない分を補足します。

きっと興味のない人にはつまらないかもしれません。

しかしです。すごいです。

良くあることですが、出来上がったパターンを何度も修正しても、なんか上手く行かないことがあります。

そんな時に初めに戻ってエリとかを外して身頃だけ、しかもかなり原型に近いところまで戻ってチェックします。

そして少しずつ違和感のある部分を修正していきます。

その後、エリとかを付けて確認します。

そうすると、何故か全体のバランスがとても落ち着きます。

私のように洋服全般、ファッション全般を知らなくても、基本的なラインを3Dボディに着せ付けて、理屈はわかりませんが気持ちのよい雰囲気に仕上げます。

もちろん、ボディの肩からどのくらい離れると実際のフィッテングにマッチするかなど経験は要るかもしれません。

しかし、真剣に取り組めば必ず自分の向かう方向に導いてくれます。

そしてシンプルに原型に近いところまで戻って身頃を確認し、そのうえでディテールを付けていくと、綺麗にフィットするというか落ち着きます。

何度やっても上手く行かずに、一度原型に近い、もちろん原型ではありませんよ、あくまでディテールをなくしてという意味ですが、そこに戻って修正できると凄くたすかります。と簡単にいいますが、これを現実にやるとなると、相当の時間やトワルを組み立てる時間がかかります。それがないのです。凄くないですか?もちろん時間はかかりますがトワルを組む時間を考えたら微々たるものです。

これまでどれだけ、時間やトワルを無駄に使ってきたかと思うと、凄いことです。

例えばですが、気になった個所がトワルにあっても、どれだけやり直しが出来てましたか?

やり直せば確実に何時間もかかります。もしかして、なにも問題がなかったという結果も想像できます。そんなときに、もう一度修正をしてトワルを組み直そうという勇気が持てますか?

今回はいいや、時間がないから諦めよう、、、と思う局面が何度もありませんでしたか?

でも、このソフトでは諦めず再度点検してみようと思えるのです。

もちろん時間がゼロではありません。経験もひつようです。

それでも、以前よりも、どうしようか?やり直そうか、このまま先へ進むのか、と迷う時間、、、そんな無駄に迷う時間はなくなりました。

実際にトワルでやる再チェックは一回で終わらない可能性もあります。再チェックが駄目だと、ここまで使った時間とこれからやり直す時間を考えると呆然となります。

それがソフト上でほぼ解決できるのですからすごいです。

これまで私がやった仕事では、このソフトを使った成功率はかなり高いです。仕事に安定感が生まれました。

動画で芸術的に見せる、魅せる ソフトとは違います。

しかし、パタンナーがチェックしたい部分を的確に表現してくれます。

一旦チェックしたものの完成度、落ち着き感はすごいものがあります。

ただし、これまでの常識は捨てなければと考えます。

いろんな意味で、3Dに合った考え方を自分から変える必要があります。

生地だったらこうなるのに少しも同じにならない、、、などと言っているうちはいつまで経っても3Dを上手く使いこなせません。

これまでの経験を3Dに合わせていく必要があるのです。

そうすれば、きっと使いこなせます。

まずは、3Dで現れる違和感と現実のトワルで現れる違和感の表現の違いを細かくチェックしていくのです。

そうすれば、必ず3Dにでた違和感が理解でき、実際の生地にでる不具合を調整できます。

生地でドレーピングしたものと3Dとの現れ方の違いを学べばいいのかもしれません。

いずれ東レさんも、こんな場合は3Dではこんな感じに不具合が表現される、、というような指標または見本のようなものがでるのかもしれません。そうなれば素晴らしいですね。

今後の開発に期待しようと思います。  

実物のように正確に表現する3Dとパタンナーが求める3Dは似ているようでまるで違います。

パタンナーは3Dトワルをみて、実際の生地ならこんな感じになると頭の中で変換できるはずです。

ですから、超リアルじゃなくていいんです。リアルであることよりもバランスをチェックするための3Dソフトなはずです。

私は、迷ったとき、悩んだ時は 今回書いたように身頃の原型に近いところまで戻ってチェックします。すると、いままで何かおかしい、、と思ってたところが落ち着きます。パターンがプロではない私がここまで使うことができます。専門家ならもっともっと活かすことができるはずです。

そして、これからという人にも必ず役に立ちます。これからの人は、先に3Dから形を学び、その結果を実物で学ぶというように、私なんかとは逆になるのかもしれません。

私の仕事も、東レACSさんと出会って新しい局面が見えてきています。きっと地味な開発のはずです。煌びやかな3Dに注目が行きがちです。でもすごく大事なことを東レACSさんはやってくれてます。アパレルという土壌をもった組織だからこそ、この地味なソフト開発に力を傾けられるのだろうと感謝しています。

例えばですが、仮に今、この東レacsさんの3Dソフトがなかったら私の仕事の質は、かなり落ちるか時間がかかっていると思います。導入して4年くらい経ちますが、このソフトなしでは大変なことになります。仕事の精度やかける時間が大きくかわり、もう逆戻りなんかできません。一般的なパターンを作成するCADと同じです。また一から線を手引きすることなど考えられません。

最近、ある動画編集ソフト会社さんからレビューを書いてくれないかという依頼がありました。

書くのは仕事ではありませんから、本当に使ってみないと簡単には書けません。あたり前のことですが今日書いているのは自分なりに使ってみての東レACSさんの評価です。機会があったら是非、一度トライしてみてください。

いつもトワルを組んで、上手く行かずに、もう一度パターン修正をして組み直すのか、このまま先へ進むのかと毎回悩んでいる人には本当に使える道具です。サポートもすごくしっかりしてます。

長澤祐一