毛皮の劣化を防ぐ 食塩水(3%)を使う その効果とは、

今日は、劣化を防ぐ方法の一つとしてプロの間で使われている食塩水について書いてみます。

鞣し加工時に食塩水が使われているのはプロの間では当たり前のこととして言われています。

私も何度か劣化を防ぐための処置として加工段階で食塩水を使ったことがありますが、結果はあまりよくありませんでした。やはり、鞣し加工の初期の段階で使うのはよしとして、それ以外の段階で食塩水を使うのはダメだろうなと感じています。

その理由は、加工段階で食塩水を使うと理由はわかりませんが、塩分を含んだ皮が空気中の水分を吸収しやすくなるのです。

そのため皮がわずかですが重くなったような気もして湿気のせいで皮の柔らかさも少しなくなるように感じるのです。

毛皮の皮にとっても水分は、ある意味大敵なのです。水分が含まれると皮がなぜか硬化し、あくまで私の感覚ですが酸化が進むような気がします。これが劣化につながると想像しています。もちろん根拠などありませんが、長い間、毛皮の皮を見てきて出てきた私独自の結論です。

よく、毛皮を洗剤入りで水につけて洗うというような記事がありますね。ウォータークリーニングとかいう解説でYouTube等でときどき見かけますが、辛うじて悲惨にならない理由は、たまたまフォックス等の襟巻で毛皮の皮まで水が浸み込まないで済んだか、たまたま毛皮マフラーが染色してありクロム鞣しとう水が浸み込んでも良い状態であったからという理由でウォータークリーニングができると間違った解説がしてあるものが多いので気を付けてください。はっきりいってYouTubeでの毛皮の記載は、ビュー数を稼ごうとするためのインパクトを狙ったものが多すぎるのです。

毛皮にはもともと水を跳ね返す力があり、簡単には水が浸透しません。そのため例えば毛糸を染色するときに浸透剤を使って水を浸み込ませますが毛皮も同じで簡単に水が浸み込みません。

ごめんなさい。最後は劣化とは関係のないところに行きましたが、まとめると湿気は劣化に大きく影響し、鞣し時に良いとされる塩分も最終的な加工時点、または仕上がり時点では入らないほうが良いと感じます。

長澤 祐一