今日はチンチラが、そんなに軽くない事について書いてみます。チンチラは一般的に毛皮のなかでも繊細な毛皮の最たるものとして扱われていて、イメージとしても、とても軽そうに思われているかもしれません。しかし、実は決して軽い素材ではないのです。軽いイメージはおそらく、毛の繊細さや、皮が何年もしないうちに破れたりして、皮が薄く弱いというイメージからくるものなのでしょう。
チンチラの皮は決して薄くはないのです。腹の部分は確かに薄いのですが、腹を過ぎて背中心に向かうほど皮は厚くなってきて重さに影響を与えています。以前もチンチラの皮の劣化について書いていますが、チンチラの皮は他のミンクのような皮に比べ何倍も切れやすいのです。
もちろん個体差があり、さらにはなめしの最終の仕上がり状態にも大きく影響を受けます。というよりも、最後のなめし上がりの仕上げ方と保管の状態で皮の劣化や強度が決まると言っても過言ではありません。
さらに重さという意味では、繊細といってもチンチラは毛のボリュームがあるため皮の厚さだけではなく毛自体も重さの要因になっているのだろうと思われます。
以前、当ブログで「毛皮クリーニングの問題点」を書いたかと思いますが、クリーニングするためのドラムにかけただけで切れる可能性があるのです。その理由は、一見、皮が薄く弱いからと誤解されがちですが、実際には弱くても軽ければ、そう簡単にドラムのなかで切れることはありません。重いコートがドラムのなかで回転することで遠心力も加わり、下にたたきつけられるというなかで切れるという現象が発生します。
よく着用せずにハンガーに吊るしたままで、肩が切れてしまったというようなことが起きるのも皮の弱さだけではなく重さも大きな原因の一つです。
最後にひとつ付け加えますが、すべてのチンチラが弱いわけではありません。前にも書いたようになめしの状態がよく、湿気を吸収しない状態にあり、さらに、できるだけドライな環境で保管をする、そして、加工段階でも切れそうな部分にはしっかりと補強をするという、この三つの条件が満たされていれば、簡単に切れることはありません。
よく、全体に芯を抱かしてあるものが見受けられますが、あれはあまり意味がないのです。重さがかかる部分にコートが硬くならないように注意をしながら補強をしていくというのがベストな考え方でしょう。
長澤