今日は、久しぶりにロシブロ(ブラウンロシアンブロードテール(Russian Broadtail))のことを書いてみます。デザインがわからないように後ろからの画像しか載せません。前回のグレーのメンズロシブロはスキンから、お作りさせていただきましたが、今回は一着分のプレートになったものから作っています。
プレートの着丈は125cmあったので、私がみたなかでも最大のプレートでした。スキンの状態も、腑がグレーの時と同じように豪快で、毛も短すぎずペタっとし過ぎず最高の状態でした。
今回は、以前、メンズのロシブロと同じお客様に、ご注文を頂き、お作りさせていただきました。
デザインがわからないように後ろからの画像しか載せません。
前回のグレーのメンズロシブロはスキンから、お作りさせていただきましたが、今回は一着分のプレートになったものから作っています。
プレートの着丈は125cmあったので、私がみたなかでも最大のプレートでした。
スキンの状態も、腑がグレーの時と同じように豪快で、毛も短すぎずペタっとし過ぎず最高の状態でした。
おそらくイスラエルで作られている、この手縫いのロシブロプレートは、作るには一般的にはとても作りやすいと考えられています。
基本的には、プレートにパターンをはめていく以外にないからです。しかし、今回は和装コートでパターンもラグランスリーブで簡単ではありませんでした。
一般的に、この着分になった袖のスキンは横46c縦64cくらいのプレートになっていて、着物袖はまったく入りません。そのため身頃のプレートの一部を使って作らなければなりません。
そして、一般的にはプレートはフレアーに作ってあり、台形の形をしていますが、和装コートは、どちらかというとボックスか逆に裾のほうが狭いのです。ここはかなり苦労します。
トウルのシルエットを確認しながらラインを決めていき、脇で当然、接ぎ合わせなければなりません。脇がちょうど、皮の腹や背中にくるとは限らないので、通常は脇でカットされた身頃の接ぎ目は直線になり、よく目立つものです。今回は写真を見てもらうとわかりますが、グリーンの上下の↓↑の延長線上に脇の接ぎ合わせたラインがありますが、ここも他のスキンの接ぎ合わせと同じように波型にカットして縫い合わせています。
袖付の縫い目などは、デザインとして大事なものなので逆にラインをしっかり直線や曲線でカットして縫っていますが、脇は身頃全体を一枚に見せたいためにこうしています。
今回は特に大きなプレートでしたが、残った残皮は下の写真にあるように、ほんとにわずかでした。
皮の面積がギリギリだったから、こんなもんだとは言えませんので、作り出す前には、何度も、接ぎ合わせる部分同士を合わせてみて、色や腑の確認をました。そうなんです。このプレートにしたものは一旦、カットし出したら、もう、ほとんど後戻りはできません。ですから、本当に、何度も、何度も、頭のなかで組み立ててシミュレーションをして、絶対に大丈夫だと確信を持って、初めて裁断に入ります。ここに、プレートになったロシブロの作りの難しさがあります。
さらに、付け加えるならば、一般的には洋服としてプレートが作られていますので、右上前のほうが、どちらかというと綺麗なスキンが使われています。よく見ると下前になる左身頃のスキンのほうが、劣る場合が多いのです。
今回は和装ということもあり左が上前になるので、ここも苦労したところです。そのまま使えば、左上前のほうが色が薄く、スキンのランクも下がってしまうからです。
プレートは色の濃さも、右上前のほうが濃く作られている場合が多いのです。その理由は、下前が濃いと、上前を上にして下前に、少し影ができ、色が余計に沈みがちになって下前が余計に濃くみえるためです。
ですから、上前を濃くするというのは、決して間違いではないのです。逆に、イスラエルで作られているにも関わらず、こんなところまで考えて作っているのかと関心したほどです。しかし、今回は、逆の打合せなので、かなり苦労しました。
仕上がりは、いつもどおりパーフェクトです。身頃のプレートから足した袖も、写真は載せませんがパーフェクトに仕上がりました。
そして、今回、この綺麗なスキンに出会えさせていただいた、この業界で数少ない尊敬するディーラーさんにも感謝しようと思います。なかなか出会えないロシアンブロードテールのスキンでした。色も濃い部分があったりわずかに薄い部分があったり、見る角度でスキンの模様や色が変化するというロシブロ特有の魔力が目一杯詰まったスキンでした。
*参考資料
ロシアンブロードテール(Russian Broadtail)のジョイントテクニック