今日は先日、久しぶりにパショーネのアトリエ一階の掃除・片付けをしたので、写真にして初めて公開しようとおもいます。興味のある方は見てください。興味がないひとにはまったく面白くない今日のブログです(汗)。
お客様にもあまり見せることがない、この一階には、二階アトリエで設置できないものが置いてあります。
パショーネのアトリエ設備
下の画像の左端のキャメル色の扉のついている大きな四角い形をしているものが(半分しか写っていませんが)乾燥機です。90c × 180c の板が ゆとりを持って6枚は入ります。しかし、今は全部入れることはありません。 その右隣、写真中央の白いテーブルにブルーの色をしている機械が回転アイロンです。ローリングアイロンとも呼ばれているようですね。多分、イタリア製だと思います。
その奥のグリーンのミシンがハンドステッチミシンでイタリアのコンプレット社のものを真似て中国で作られ、大事な部分だけを日本製の部品で小山ミシン商会さんで組み立てたと言われているものです。これは、AMFやそのコピーモデルのJUKIのハンドステッチミシンを使う人からすると、使いづらいように思われていますが、糸裂けも生地裂けも一度も起こらずに素晴らしいミシンです。色もとなりのローリングアイロンもそうですがミシンでは珍しいグリーンやブルーの原色を使っていてイタリアっぽいですね。
ステッチ糸の長さも60cと言われていましたが、糸の使い方では90cを軽く縫うことができます。コストパフォーマンスからいっても、もっともっと評価されていいミシンだと思います。要は使い方次第だということでしょうか。
イタリア製のカットマシンコメット
次の画像(下)、中央のテーブルの上の右端に乗っているのが イタリア製のカットマシンでコメットといい、7mmカット仕様のものです。そのカットマシンとグリーンハンドステッチミシンの間に写っているブルーの四角い機械が、先日、記事に書いた毛皮を柔らかくしたり毛取りをしたりするドラムという機械です。そして、テーブルの下の段に僅かに端だけ見えるものが、ダンフォームというカッティングマシンでフランス製の5mmカットのものです。
当社ではPFAFF3560というレットアウトミシンがあるので5mmカットのようなフルレットアウトするものは、そのミシンで縫うことが多いので普段使わない、この5mmのカットマシンはテーブル下に置いてあります。
最近では、シェアードミンクも、ウエスト位置での切り替えのあるものなどで、下のスカート部分が毛皮一枚の長さで入らない場合は手でレットアウトします。そのときに7mmのコメットを使うようにしています。
コートの途中で横に剥ぎが入るのが販売の現場からは嫌われていて、リスクの高いシェアードミンクのレットアウトをすることになってしまいました。そんなときには、この7mmカットは重宝しています。5mmでは縫った部分だけに縫い目が集中してしまい皮の硬さを生み、いまひとつ私の作りでは納得できなかったのです。
画面一番奥にあるドラムの右側にあるのがPFAFF3560ですが、これは普段使わないほうのPFAFFで、写ってはいないですが、対面に普段使うミシンがあります。このミシンのパーツが手に入らないので一台残してありさらに、いらなくなったというPFAFFのパーツをもう一台分保管してあります。
この写真の一番右側にあるカーキ色の機械が、リバーシブルコートなどのシルクの表生地に接着芯を貼るための、ローラープレス機です。脇から見ているので小さくみええますが、正面から見るとこの倍くらいの長さがあります。
PFAFF3560というレットアウトするミシン
この機械が通常使っているPFAFF3560というレットアウトするミシンです。以前、動画ででもお見せしましたが、わたくしのところで作られるフルレットアウトされたコートはすべて、ミンクでもセーブルでも、このミシンで縫っております。最初の5年間くらいは、まったく綺麗に縫えませんでしたが、あらゆるパーツや部分を調整していって、やっと綺麗に縫えるようになったミシンです。
そのとなりにラックがありますが、基本、お預かり品、商品、原皮、すべて 単独でカバーに入れさらにラックには黒い裏地がすべてかけられていて、コート同士で匂いが移らないようにすることや、光に触れることのないようにと細心の注意が払われて保管されています。そのため二階アトリエの中でも黒い生地が一杯かかっていて、毛皮の華やかな雰囲気はありません。見た目には、毛皮が見えたほうが、毛皮屋らしく奇麗で良いのですが、光に当たりっぱなしは毛皮にとっては良いことではありません。
この裏地をかけておくのは、コートや毛皮だけでなく、普段使わないミシンも専用のカバーを作ってあり、通常はかけてありますので、写真のように色鮮やかには残念ですが映りません。普段使わないミシンにテーブルごとカバーをかけるのは、毛皮のアトリエ特有の毛が舞ってしまい、いろんな機材に付き、いざ使おうとしたときに商品にホコリが付いてしまうためです。そのため、普段使わない機材にはすべてカバーが掛かっています。仕事の効率も、こんなことですが意外に上がるものです。
そして、夏場はエアコンがドライか冷房になっていて皮が劣化するような温度になることもありません。保管状態は常に万全なのです。
右端の白い大きな袋は、生地や芯、綿 等がグループ別に入っています。もちろん反物のものだけが一階に置かれております。袋は二枚重ねしてあり汚れないようになっていて、この袋の7割がシルクプリントの裏地やシルクリバーシブル用の生地です。
今回の掃除で、一度買ったが、まったく使わない大きなバイリン等はすべて産業廃棄物として捨てました。残念ながら、大きな一反でしか買えないバイリンは、使ってみて使えないと分かっても簡単に捨てようもなく、そんなバイリンがたくさんありました。もったいないといって、どなたかにもらってもらうわけにもいかず、買ったままのものもありましたが、廃棄するしかありませんでした。今使っている綿関係は丸徳さんで仕入れているスウィッサーという綿と 薄くて柔らかい特殊なバイリンです。これ以外に使うことはないと判断し、それ以外はすべて廃棄しました。
ビスマチック
この写真中央の暗くて解りづらいですが、PASSIONEロゴの上の一番奥にあるのが、イタリア製でV字にカットをすることのできるビスマチックという機械です。これは今はあまり使用していません。なぜかというと角度が一定のままなので私には使いづらいのです。そのため、原皮を背中心でカットしてコメットでカットして縫っています。
以上、簡単に機材を紹介致しましたが、二階アトリエにも機材はたくさんあり、機会があれば、またご紹介いたします。