パステルカラー付属の染色

今日は毛皮に使う止め具の一部について書いてみます。当社では、12年くらい前からミンクやセーブルを染色して薄いパステルカラーに染めておりました。(最近、一般の市場やブランド品(毛皮のブランド)でも、よく見かけられます)

意外に困るのが市販されている毛皮用付属のなかに、薄いパステルカラーなどは、まったく見つからないことです。毛皮の留め具の中に、本来は商品名なのですが、一般名称となってしまっているものがあります。ケスカという留め具です。製造国名はドイツとかフランスとかだと思います。

これは、私のところでも以前は使っていましたが、重さが結構あます。ご年配の方のコートなどでは意外に、寒いからとおっしゃられて裾に近いところまで増設される場合があり、そすなると場合によっては5個くらい使うことがありますので、コート重量に少し影響を与えるときがあります。

そんなこともあり、当社ではケスカをスイス製のものに変更しました。これは金属も一部には使われていますが、大半がプラスチックのような樹脂で作られていて、以前のものよりも軽いのが特徴です。ただし、色については多種、そろえてはあるのですが、残念ながらパステルカラーのようなものを多くは揃えられておりません。

以前はケスカを使っていたので、金属なので染めても強く擦ると塗料がはげてしまい苦労しておりました。その後、今のスイス製のものに変えてからは、樹脂を染める染料を買い小さな鍋で自分で毛皮の色に染めています。よく、他社商品では白などを使っているのを見受けますが、あまり奇麗とはいえません。

こだわらなければ白でも良いのかもしれませんし、無いから仕方がないという言い訳もできますが、商品のクウォリティを考えれば絶対にこれで良いとは言えないでしょう。

この染色が意外に難しいのです。薄い色は特に樹脂の中までしっかりしみ込ませ、色も均一になるようにするには、結構、苦労します。
そんなときに、毛皮の褪色の直し方と島精機SDS-ONEの使い方 で色の構成色とその割合を調べ、少しずつ染料を調合していくのです。そ して一度成功した色の染料は容器に保存して次回に使えるようにしおきます。

染めることは確かに、手間もかかり、時間もかかります。しかし、ちょっと工夫すれば次回には時間を短縮することができるものがたくさんあり、これもその一つです。そして、商品の完成度も格段に上がります。

写真は薄いブルーに染めたもので。一つ濃いものが失敗作で、ゴムルームも染料は違いますが、写真のように染めることができます。

染色したケスカとゴムループ

売り場で商品をみるときに、こんなところも一度チェックされてはいかがでしょうか?こんなところからも、見えないコートのなかが、どれくらい、しっかり作ってあるかが伺い知ることができますね。なかは見えないので適当に作るという毛皮製品にありがちなところを見抜くよい部分かもしれません。

写真の止め具はスイス製 BKVホックといい、丸徳さんで販売しています。http://marutokusensho.hp.gogo.jp/pc/

長澤祐一

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