ラインを太くする方法

ラインを太くする方法として、メスの3サイズくらいのものを二枚で一つのラインにする方法があります。ですから、販売の現場で、少し毛皮の方法を知っているひとは大きいサイズを使わなくても出来ると言うかもしれません。しかし、それは原皮を足すと言うことが、どれほど難しいかを知らないからなのです。

セーブルはよく、頭から前足のクロスという部分まで落として、もう一枚の原皮のお尻部分の下に足すという方法があります。ミンクも毛の長いものや色の濃いものはやることがあります。

しかし、ブルーアイリスミンクのように綿毛の色の薄いものや、アメリカンミンクの毛の短いものは方法論としては存在しても、完璧に合わせるのは相当難しく、トリミングなどの一部の部分で、そのテクニックを使うことはあっても、身頃全体を、色の薄いショートナップミンクでやることはあり得ません。

その難しさを知れば知るほど、あり得ないことなのです。方法として可能であっても、ミンクの刺し毛と綿毛の色、それぞれの毛の長さや色の四つの条件が一致しない限り難しく、ショートナップを横に縫い合わせることもとても難しいこともあり、どうしてもメスの3サイズを二枚使ってラインを太くすることは不可能なのです。

それを簡単に出来るというところがあれば、それは疑ってかかっても良いでしょう。

いずれ、セーブルの作り方の難しさも書いてみようと思いますが、一般的にはセーブルのほうが難しいとも言われていますが、毛が長い分、縫うテクニックはセーブルのほうが楽なのです。毛の短いアメリカンタイプのミンクは縫ったり色を合わせたりするのはとても難しい素材です。

もちろん、それなりのものもたくさん商品としてでていますが、これはというものは、めったに見ることはできません。逆にいうと、その色の微妙なショートナップのアメリカ産のミンクを綺麗に作ることができると、見たこともないような綺麗なコートが出来るのです。

大半の場合、原皮のときの輝きは、そのままコートになることはありません。それほど、綺麗な素材をそのまま生かし切って商品にするということは難しいのです。

長澤

過去の関連記事アーカイブ

オーダーメイドの難しさ (09/10/2013)
ブルーアイリスミンクのオーダーメイド(作りの部分)
(09/09/2013)
毛皮のオーダーメイド(原皮の調達、そのニ)(09/08/2013)

にほんブログ村 ファッションブログ オーダーメードへ