リンクスキャットのベリーという嘘

最近、ファーのなかでも超高額品のリンクスキャットのベリーという記載でフリーマーケットのようなところに出品されています。

ベリーとは、例えばリンクスキャットのような素材でいえば、腹の白い部分のことを指しています。

しかし、白ければいいのかというわけではありません。私たちプロがベリーというには、いくつか条件が付きます。

リンクスキャットの腹の白い部分の斑点模様は規則性があります。本来はこの自然な状態が一番価値があり綺麗です。

ここで、フリーマーケットによく出品されている悪い例を書いてみます。

先に書きましたが、腹の薄い綺麗な腑の部分ではなく皮が少し厚く、ベリーと言われるコートを作ってわずかに残った部分を集めて小さなパーツを中国やギリシャ等で接ぎ合せたようなものを使ってベリーと称して売られている本来のベリーではないものがあります。もちろん、海外の本当のプロは解ります。

しかし、フリーマーケット等で買おうとしていらっしゃるお客様はほとんどが素人の方ですので、そんなことは解りません。現物もベリーはとても、軽いのですが、偽ベリーは実際は重かったりします。

ここに何度も書いていますが、元価格が3000万とかでその1/10なんて偽物か、なにかわけがあるかしかありえないのです。

よく、リンクスキャットの超ロングとかになると、着丈の長さを出すためにレットアウトという加工をします。技術者によって着丈を少しだけ伸ばすためならば、腑の模様が崩れないように腑を避けてカットしてずらすという手法もとる場合がありますが、超ロングコートとなるとそれも難しく、腑をカットしないわけにはいかず、カットして長さを出すしかないのですが、それでも、元々の腑が規則正しのをカットしますので、白い残皮の部分を細かく継ぎ足したものとはまったく別のものなのです。

自分は、その継ぎ足したベリーが悪いとは言っていません。悪いのは本来ベリーとは腹の薄い軽い部分で白いところをベリーと呼んでいるにも関わらず、小さな端切れを集めて作ったプレートから作った決して軽いとは言えないものをベリーと謳い、本当のことを偽って販売することには、それはおかしいだろう、と感じます。フリーマーケットで販売する側も素人ですから、それはしょうがないと思うかもしれませんが、何百万もするものを売るならば、フリーマーケットであっても、売る側がもっと勉強をする必要があると感じます。

リンクスキャットの腹の部分の模様を少しだけ説明しますね。

リンクスキャットの腹の部分は、首の部分は白い毛が広い範囲であり、その周りに茶色い腑がちりばめられています。

そのあごや首の下には、小さな茶色い腑が中心部分に点線を描くように続きます。

最大の特徴は、この中心の点線の横に左右対称に大き目のスポット(腑)が斜めに二個セットで存在し、それをお尻付近まで繰り返します。

最後はお尻というかおなかの最後の部分で白い部分が大きくひろがり、両端に小さな腑が出ます。

ここは腑が小さく皮も厚くなり、はぎ落されカットされた残皮としてよく使われます。

リンクスキャットの腹の部分は基本的にはほぼすべての原皮がこうなっています。

画像が完璧なものがあれば良いのですが天然素材のためないのですが、傾向としては上で解説したようにほとんどのリンクスキャットの腹の模様は出来ています。

上の画像は、リンクスキャットの裏面からみた画像です。

本来は、裏側も真っ白ですが、時々加工するために水に濡らすと、こんな風に腑が浮き出て見えることがあります。

この画像をよく見ると中心に小さめのスポットが真っすぐ並んでいるのが解りますね。

さらにその中心の両脇にほぼ規則正しく腑がならんでいます。

赤〇で囲んである部分です。左側は〇をつけてませんが、完璧な左右対称ではないですが、ほぼ同じように存在します。

そして、その両サイドにはっきりとしたスポットで二個ずつ斜めに出ています。

それ以外にも多少ぼやけた腑が見えますが、基本的には中心部分とその両サイドに斜めに二個ずつ並ぶのが定番の腑です。

下は私のインスタグラムに投稿した画像ですが、上で記載した規則性を意識してみてもらうと、その規則性が確認できます。もちろんすべて同じではないですが、逆にそのばらつきが自然の美として存在しています。

一見ランダムに出ているように見える腑ですが実際には規則的に並んでいます。これを知っていれば、ベリーと言われているその画像が本当かどうかが、おおよそ見当がつくのです。

実際のコートで見るとなかなか見分けるのが難しいですが、上の法則を知っていると多少は騙されにくいかもしれません。

もちろん騙されてもいいと思う人はそれでよいのです。このブログでは難しい毛皮素材のなかで騙されて実際の価格と本来の価値に違いがあり、それを知らずに買ってしまうようなことがないように書いています。

ですから、それっぽいものをそれなりの価格で購入したいというお客様もいらっしゃいますので、それはそれで良いのです。ただ、販売する側が無知なため、または知ってても隠して販売するというようなことで、本当の価値を知らずに買ってしまうようなことがないようにと書いています。 知らずに間違って買ってしまって許せる金額ではありませんから。 長澤