ロシアンセーブルの種類のなかに養殖のファームと呼ばれるものがあります。養殖もののために原皮のサイズもワイルドに比べると大きめなものが多く傷もワイルドに比べ少なめです。
今日、写真でご紹介するのは、そのファームセーブルの中でも、ほんとに数少ないシルバリーの原皮です。通常、ワイルドの原皮には、シルバリーと呼ばれないものでも白い刺し毛が少しだけ混ざっているものがよくみられます。
しかし、ファームはワイルドに比べると白い刺し毛が混じるのは、ほんの僅かです。そのファームにも、ほんとにまれに白い刺し毛がワイルドのシルバリーのように綺麗に入るものがあります。
一般的によくみかけられるのは頭の一部分に不自然に入っているものが多くありますが、これは白い刺し毛が入っていたとしても、逆に価値がさがるくらいで、あくまで写真のようにバランスよく入っていることが重要です。
ワイルドのシルバリーもそうですが、なかなか同じタイプのシルバリーを揃えようと思っても、相当な枚数を仕入れてシルバリーのタイプやカラー、サイズ等を揃えるか、毎年でてくる同じタイプ(色、シルバリーの量等)シルバリーを根気よくストックしていくかしか、コートのバンドルにすることが出来ません。
この写真のファームのシルバリーも、何年もかかって集めているものです。まだコートを作れるほどはありませんが、ボレロからジャケットくらいなら作れるかもしれませんが、全て同じシルバリーのタイプとはいきませんので、もう少し枚数が増えるのを待っているところです。
このようにセーブルのシルバリーでガーメントを作ろうとすると、ワイルド、ファームどちらにしても原皮を調達するだけで、とても大きな労力が必要とされます。
資産を何年も寝かすという意味ではワインや他の熟成タイプのお酒に少し似たような部分もあるかもしれません。それだけ、一般のセーブルの商品と比べるとシルバリーのセーブルで作ったコートは価格や価値そのものが上がるのは必然なのかもしれません。
長澤