ロシアンブロードテール(Russian Broadtail)のジョイントテクニック

過去に何回かロシアンブロードテール(以下、ロシブロ)のジョイントについて書いてますが、以前は多分、パーツをどう割るかというところに論点があったかと思います。今日はロシブロそのもののカットや縫い方について書いてみたいと思います。

ロシブロは毛の少し長くなったものから、ものすごく短いものと、いくつかのケースがあります。今回は、毛がとても短いタイプの縫い方を書いてみます。

ここに書かれることは、あくまで私のアトリエでの作り方なので、一般的な作り方とは違いがあるかもしれませんが、そこはご容赦ください。

ロシブロのカット面を中国などで作られたコートなどでみると、皮をカットするときに、ハサミで毛を切りながらカットしているのが解ります。全部ではないですが、結構たくさんの商品に見られます。

それが何故解るかというと、カットして縫い合わせたところをみると綺麗にカットらいんが出ていて縫い目のところをよくみると毛がラインに添ってカットしてあるのが解ります。

その理由は、ロシブロのあの硬く短い毛を皮のなかにいれながら縫うのはかなり難しいからです。ですから、簡単に縫えるように皮の端から毛がはみ出さないようにカットしてしまうのです。(あくまで作る都合でそうしているわけですね)

私も、以前はそうしたことがありますが、今はそんなことはしていません。確かに毛が固く短いので縫いにくいですが、毛を出したまま縫ってしまい、あとから、その短い毛を少しだけブラシをかけて出せばジョイントした部分は綺麗になじみます。

そして、また目の錯覚で、綺麗につながって見えてしまいます。私の場合は、手縫い風に、ランダムな波型にカットするので縫うのが結構難しいですが、それでも縫えないことはありません。

写真1は、ロシブロの原皮を縫い合わせただけのもので、写真2が、軽くブラシをかけたものです。1と比べるとわずかに毛が出て、左右でぶつかりあうだけで、ロシブロ独特のうねり感がでて、縫い目とはわかるのですが、なんとなく馴染んでしまいます。ロシブロの面白いところですね。

russian_broadtail

russian_broadtail2

写真3、4は、接ぎ合わせたものです。4はコートの裾に取り付けた状態のロシブロです。
今回のものは模様は少しおとなしめですが、皮はそのかわり薄く、毛も短くシルキーで、それなりに特徴があり、面白い仕上がりになりました。

 

ロシブロトリム3

russian_broadtail4

写真5は仕上がりです。今季の新作はまだ、数点ですが、日本橋三越本店三階毛皮サロンでみることができます。もしよろしければ、ご来店くださいませ。

russian_broadtail5

参考資料
ロシアンブロードテールの作りについて(パーツ割り編)

ロシアンブロードテールと島精機PGM(CAD)

長澤祐一

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