毛皮の褪色の直し方と島精機SDS-ONEの使い方

今日は前回の記事の島精機SDS-ONEのPassioneの独自の使いかたも含めて退色した毛皮の色を補色して、限りなくもとに近い状態に戻すときの色の構成を探す方法を少しだけ書いてみようと思います。以前書いた記事ではレスポールスタンダードというギターの退色と毛皮の退色が似ていることを書きましたが、今回は、その退職した毛皮の色を元に戻す方法を簡単に説明してみます。

以前は退色した赤を薄く補色することで元の色に戻そうとしていました。濃い色なら、それで近い色に戻っていましたが、薄い色になると、赤を単純に薄く補色しただけでは元にもどらないことに気付き、SDS-ONEのグラフィック機能のなかにモニターキャリブレーションがあり、そのカラーセンサー機能を使って色の構成と構成量のバランスを調べることにしました。

その後、その構成色に対して赤を強めにした色をモニターで確認し、よければその作成した色の構成色に近いバランスで染料を作り補色をしていきます。染め方については様々な方法がありますので都度お試しいただくのがいいかと思います。

この方法だと、かなりの完成度の高さで補色ができます。但し、この方法はあくまで補色に過ぎません。これが出来るからといって一着丸ごとを染め直しできるということではありません。

当社のようにコンピュータを使って構成色を調べるというようなことを毛皮業界でやっているところは、おそらく弊社アトリエ以外ではないと思いますが、私たちがよく染色の依頼をする染色屋さんは、すべて過去のデータやそれぞれの技術者の計算や勘で行われていて、より専門的な技術や設備が必要になります。

そして、私たちがやっている技術も染色屋さんの技術解説をもとに探りながら見出したものであり、染色屋さんを超えるというようなものではなく、お客様と向き合う中で必要に迫られて始まった仕事のひとつということです。

ですから、アトリエでやるような補色の作業と、元々の染色の技術とでは大きな差があります。きっと、専門の技術者なら色を見ればおおよその色の構成は解るのでしょう。

しかし、普段から色を専門的に扱うことのない私たちでも、そんな専門の技術を持っていないからといって、私たちがやる補色がいい加減なものでいいとは言えません。ですから、当アトリエにあるコンピュータやコンプレッサーやそれ以外の様々な設備を駆使して独自の補色技術を開発し、お客様のコートの褪色を元の色に戻すというサービスをしています。

写真はモニターキャリブレーションをしたり、色の構成色を検出する道具でEYE-ONEというメーカーのカラーセンサーです。

毛皮の色は光を吸収することで色の発色のしかたが違い、色も微妙に変化しますが、この機械で読み込むとパーフェクトではありませんが、おおよその構成色のバランスはわかります。是非機会があれば、SDS-ONEの後継機種のAPEXを使って毛皮の色をカラーセンサーを使って計測してみてください。

長澤

EYE-ONE キャリブレータ

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