毛皮の黄ばみ取りと肩の色焼けについて

久しぶりの投稿です。

もう何十年もこの毛皮の仕事をやってきて、なかなか解決できなかったことがあります。

今日のタイトルにある、白っぽい毛皮の黄ばみを直すことと、古いコートによく見られる肩やエリの変色です。

ここ三年くらい、染色を自分でやってきてようやく染色そのものの理屈がわかってきて、ここ二年くらい黄ばみ取りを勉強していました。

以前、インスタグラムでロシアのユーザーがサファイアミンクやシルバーフォックスの黄ばみ取りをしている投稿があり、お互いにフォローバックし合っていたこともあり、その薬品を教えてもらうことができたのです。さっそく、ロシアの業者に手配してウクライナ戦争が始まる前に手配して入手しました。

その薬品を仕入れてビデオを送ってもらっても、なかなか信用出来ずに使えなかったのです。

しかし、染色技術そのものを勉強したことで、以前送ってもらった動画の意味や薬品の使い方が理解できたのです。

今日の投稿では黄ばみ取りについて少しだけ解説してみます。

ロシアでやられていた黄ばみ取りは、実際には黄ばみを取るというよりも、青みを付けて黄ばみを消すという手法です。ですから、例えばサファイアミンクやブルーアイリスミンクのような青みのある素材には有効です。しかしホワイトミンクのような、真っ白のものが黄ばんだ場合は難しいのです。

ホワイトミンクについて少し解説しますが、もともとのホワイトミンクは完璧な白ではありません。特に現在の鞣し上がりのものは、ブリーチ処理をしてからホワイトニングと呼ばれる青みをつけるような処理がされています。詳しくはわかりませんが蛍光色のようなものかもしれません。

そのため現在のホワイトミンクは外でみるのと太陽光で見るのとではかなり発色の違いがあります。太陽光の下でみるほうが綺麗です。

ホワイトと言っても、このように加工処理された白ですので、黄ばんだものを直すのも難しさがあります。

ですから現時点でホワイトミンクやホワイトフォックスの黄ばみ取りは難しいのかもしれません。少しだけ青っぽくして黄ばみを消すという手法しかありませんが、真っ白ではないのです。

下に画像も載せますが、サファイアミンクやブルーアイリスミンクのもともと少し青みのある素材に青みを足すという手法は有効です。

以前、やはりロシアの業者さんなのですが、バイオクリーニングという手法でクリーニングして白さを取り戻すという動画や写真をみたことがありますが、それはまだ私には解明できていません。

例えば、国内でも販売されている5クリーンという洗剤のようは漂白剤のようなものが市販されていますが、バイオ?酵素?の力(よくわかっていません)で白さを取り戻すことを目的とした毛皮専用の薬剤があるのかもしれません。

そのバイオクリーニングをした状態で黄ばみを取ってから青みを付けると新品のような白さになるのかもしれません。

ただし、鞣し屋さんがやるブルーイングは蛍光剤のようなものらしく、ただ青味をつけるのとは違いがあるのかもしれません。

今日の本題の黄ばみ取りについて少しだけ解説しますが、毛皮の染色には酸性染料を使ったものと酸化染料を使ったものがありますが、今回私がやった黄ばみ取りは黄ばみを取るというより、サファイアミンクなどのもともとあった綺麗な青味を足して黄ばみを消すという手法です。

染料は酸性染料を使っています。酸性にすることにより染料が素材に着色しやすくするというものです。但し、ここで難しいのは通常の染色はお湯のなかで60度くらいで染めてますので原皮の状態で染色されています。

毛皮クリーニングもそうですが、今回の難しさはすでに商品化されたものの染色をするというところにあります。

通常は、染色浴のなかにギ酸を加え染料を入れて色を付けますが、その手法ができません。ですから、濃い色の染色は難しいのですが、うっすらと青味を加えるということに限っては出来るのです。

今現在は、なかなか毛皮を着用していただくことも少なくなりましたが、毛皮の状態もよく色だけ黄ばんだものならば黄ばみ取りが可能です。料金は、素材の状態によりますので一度現物の確認が必要になります。適当なことは言えませんので、一度お問い合わせください。素材の状態によっては無理なもの、費用をかけても本来の価値に戻せないものもあります。明確に回答できず申し訳ありません。

写真の右側がもとの黄ばんだ状態で、左側が黄ばみを取った状態です。

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次回は肩の色焼けについて書いてみます。