短毛の毛皮の頭接ぎのテクニック

今日は珍しく毛皮の技術編の解説です。通常、毛皮は頭からお尻にかけて毛が流れています。

そして、左右対象につくるもの、例えばヘチマカラーやコートの一般的なえり、スタンドカラー、ショールカラー等では腹同士を接ぐ横段などのもの以外では、バックセンターで頭同士かお尻同士のどちらかで接ぎ合わせをしなければなりません。

頭の場合は毛は逃げ合い、お尻同士の場合は毛がぶつかり合います。難しさは高い品質を保つという意味では、どちらも同じくらい難しいテクニックを使います。お尻同士のつなぎ合わせでは、毛がぶつかり合うために、毛の長さ・毛のボリューム感・色、さらに細かく言うと刺し毛の長さ、綿毛の長さまで合わせる必要があります。

それは技術者のレベルによって仕上がりに大きな差がでます。左右の毛皮の全ての条件が合っても、ミシンで縫うときに毛がぶつかり合い、これを綺麗に縫うのも、たかだか15cm程度の長さですが、非常に難しいのです。短毛のものは少しでも縫い込むと接ぎ目が溝になり、商品のクウォリティーが落ちます。

頭同士の接ぎも、お尻の接ぎ同様とても技術がいります。一般的には毛がぶつからない分、接ぎは簡単に見えますが、実は技術者にとっては以外に、この頭接ぎのほうが手こずります。理由は、毛が逃げ合う分、接ぎ目の毛が割れやすく、皮の地肌が見えたり、毛割れをしてしまったりします。

さらにミンククラスであれば綿毛のボリュームもあり、ギリギリで上手く行くのですが、前回登場したウィーゼルのように短毛で、綿毛がそれほど多くないものは、頭同士の接ぎは、とても難しい作業になります。

方法につきましては、それぞれ技術者によって違いがありますが、最終的に目指さなければならないのは、接ぎ目の毛割れがしないこと、皮の地肌がみえないこと、そして最後に縫い目が柔らかいことです。最後の縫い目が柔らかいこと、、、これが以外に難しいのです。

その理由は毛が割れないようにミシンで厚く縫おうとします。これが縫い目の堅さにつながります。ほとんどの場合、頭接ぎをする部分は肩であったり、衿のバックセンターであったりと、とてもシルエットに関係する大事な部分です。ですから縫い目の堅さは極力避けなければなりません。

さらに、一般的には、その縫い目の皮の部分に毛と同じか少し濃いめの染料を塗り地肌の皮の白さを隠す方法もあります。しかし、染料は皮の劣化につながり危険な方法のひとつでもあります。

このように頭同士を接ぐということだけでも、いろんな問題があり、それぞれの技術者が独自の技術をもって工夫をこらしている部分でもあります。

商品を見る場合に、デザインも大事ですが、今回のような肩や衿の接ぎ目などをチェックしながら、お気に入りの商品を探すのもひとつの方法ではないでしょうか。

長澤

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