シェアードミンクコート(sheared mink coat)の仕上がり (2)

本日は前回書いた「シェアードミンクコート(Sheared Mink Coat)の仕上がり(1)」の続編として「刈毛の表面の仕上げ」について書いてみます。

刈毛の表面の仕上げ

仕上げ前 刈毛

刈毛は私のところでは、ニチロ毛皮㈱マルコ工場さんでやって頂いています。上の写真はマルコさんで刈っていただいたものです。

刈毛の表面も拡大してみると意外に凸凹しています。刈毛する前工程で回転アイロンをかけるのですが、これはかなり難しいのだろうと想像ができます。 (さらに…)

ハンドステッチミシン(続編)

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ハンドステッチミシンの新しい投稿 ハンドステッチミシンをお譲りいたします。

を2023/2/11日にしました。良かったら見てください。

今日は以前書いた特殊ミシン、ハンドステッチミシンの続編を書いてみます。

このハンドステッチミシンの語句は意外に検索に引っかかるようで、ハンドステッチミシンに興味をもっていらっしゃるかたがたくさんいらっしゃるのでしょう。

以前の記事を読んでもらうとわかりますが、私のところのハンドステッチミシンはコンプレットタイプなのです。AMFなんて、とても買えません。

年に数回しか使わないのですから。それでもひとに頼んでステッチをかけるのは委託加工ということになり、どうしても微妙なタッチが伝わらず、さらにわずかの仕事をわざわざ仕様書を書き、説明もも加え電話をし、、、、と 自分でやったほうが早いかも、、とおもってしまうのです。 (さらに…)

シェアードミンクコート(Sheared Mink Coat)の仕上がり(1)

今日は、当社のメインアイテムのシェアードミンクコートの仕上がりの特徴について書いてみます。当社のメイン商材のシェアードミンクの作り方は、一般的な、または中国製のものとは決定的に違う部分がいくつかあります。全体の仕上がりが違うのはもちろんなのですが、部分的に言うといくつかあり、その代表的な部分を説明してみます。

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シェアードミンクコート(sheared mink coat)肩ラインの仕上がり

まずは肩の部分の仕上がりについて書いてみます。今、中国でつくられているもののなかにも、かなり上手に作られているものと、いまだに、10年前と同じレベルのものと二通りあります。おそらく、それは、今でも新規に工場が作られていて、技術が成熟していない工場もあり、そんなところで作られたものも市場に出回っているからなのでしょう。あくまで想像ですが。 (さらに…)

デイビークロケットハット(Davy Crockett hat)

Davy Crockett hat
今日はアトリエでもめったに作らない帽子の画像をお見せします。呼び名はデイビークロケットハットと呼ぶようです。以前、お客様のご依頼で作りました。

素材はアメリカン・ラクーンです。アライグマ科に属するアライグマということらしいです。たぬきとは違うということですね。それ以上の詳細は分かりません。 (さらに…)

ロシアンブロードテール(Russian Broadtail)のジョイントテクニック

過去に何回かロシアンブロードテール(以下、ロシブロ)のジョイントについて書いてますが、以前は多分、パーツをどう割るかというところに論点があったかと思います。今日はロシブロそのもののカットや縫い方について書いてみたいと思います。

ロシブロは毛の少し長くなったものから、ものすごく短いものと、いくつかのケースがあります。今回は、毛がとても短いタイプの縫い方を書いてみます。

ここに書かれることは、あくまで私のアトリエでの作り方なので、一般的な作り方とは違いがあるかもしれませんが、そこはご容赦ください。

ロシブロのカット面を中国などで作られたコートなどでみると、皮をカットするときに、ハサミで毛を切りながらカットしているのが解ります。全部ではないですが、結構たくさんの商品に見られます。 (さらに…)

「毛皮小物の裏地付け」パターン解釈と、その奥深さ

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今日は、珍しく小物の裏地を付けた写真です。アトリエでも、小物の数は少ないですが作ります。この受注はカシミヤコートのテーラーカラーの上えりに乗せエリとして取り付けるミンクのカラーです。

みなさんも毛皮の裏地付きの小物をお持ちでしたら見てみてください。意外に裏地が毛皮から吹き出していたり、裏地がたるんでいたり、毛皮の寸法と合っていなかったり、なかなか綺麗に裏地がついているものが少ないはずです。

どうしても、小物を作るところは、数を作らなければならなかったりして、ものすごいスピードで仕上げられているので、なかなか細かいところまで気を使って作ることができないのです。 (さらに…)

ミンク2枚をジョイントするテクニック

新作の作りで少しブログの更新が滞りました。また今日から少しずつ書いていこうと思います。

せっかく新作を作ってきたので、少し新作で使ったテクニックを書いてみます。今日はミンクを2枚ジョイントしてからレットアウトした写真を紹介して、それについて書いてみます。

ミンク2枚をジョイントするテクニック

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写真1は仕上がったコートです。裾にカーブでミンクが三列はめ込んでありますね。使ったのは日本のミンクです。多分50本くらい買ったなかから6本選んでます。日本のミンクの生産は詳しくは知りませんが、一社しかないようで、その生産量もとても少なく、4月くらいに東京オークションというのがあり、そこで落としてもらったものです。 (さらに…)

【エリのジョイント編】Russian Sable Coat for heavy silvery

今日は前回に続いて、ロシアンセーブルの作りについて書いてみます。

最近のロシアンセーブルコートは、ほとんどが中国で作られているせいか、それとも、セーブルを作るための基本的な技術をもった技術者が少なくなったせいか、正確には解りませんが、毛の長さ、色、雰囲気を全ての接ぎ合わせ部分でチェックして綺麗に仕上げるというコートが、ほとんど見られなくなりました。

セーブルのテクニックとしては、私がいつも言っている、あたりまえのことをあたりまえにこなす、、、ということにもつながりますが、こんなことは基本中の基本なのです。しかし、今は価格も下落し、そして技術も下落したと言わざるを得ません。有名百貨店でさえも、今はシルバリーチップがこれだけ入ったものは見ることはできませんし、作りもほんとに雑なものばかりです。 (さらに…)

Russian sable fur coat (heavy silvery)

ロシアン・セーブル・ヘビー・シルバリー(Russian sable fur coat heavy silvery)の作り

今日は、昨年作ったセーブルコートの作りの一部分をテーマに書いてみます。素材は大変珍しいワイルド3番色のヘビーシルバリーです。青味があってとても綺麗ですね。

ワイルドセーブルの加工で難しい作業のなかのひとつがアゴの部分の黄色く毛の悪い部分をどう取り除くかです。ファームセーブルにはアゴの黄色い部分が少なく綺麗で、ワイルドは多いからです。

しかし、ただカットするだけなら簡単なのですが、写真のようにキャラクター(背筋の黒い部分)が浮き上がるように作らなければなりません。

ということは、接ぎ合わせる原皮の色、毛丈、雰囲気、すべてが綺麗に合わないとキャラクターが浮き上がるようには見えてこなく、原皮一本ごとに見えてしまいます。それでは、綺麗に見えないのです。 (さらに…)

【毛皮クリーニング】オガの効果と汚れ具合

今日は毛皮のクリーニングで使う、オガについて書いてみます。

毛皮用のオガは何種類もあり、用途によって使い分けをしているようです。私のところでは、スペースの問題もあり、そんなに何種類ももっていませんが、それでも三種類くらいの、細かいものから粗目のものを持っていて、素材によって使い分けています。

写真を見てもらうと、色が少し違うのが解りますね。左の少し赤みのあるのが新しいものです。右のオガは青みがついていますが、これは、使用済みのもののオガです。

oga

新しい原皮を使って作られたコートなどからは、このように色が変化したオガになることはありません。これは、リフォーム品を溶剤で洗い、オガと一緒にドラムがけして乾かしたときにできた、汚れたオガです。 (さらに…)