ロシアンセーブル・ヘビーシルバリー

今日は毛皮の王様と言われる、ロシアンセーブルをご紹介いたします。写真はロシアンセーブルのワイルド、カラー3番色、ヘビーシルバリーです。ワイルドのロシアンセーブルはカラー3から7まであり、3番色がいわゆるクロテンと言われるものです。

ファームセーブルほど真っ黒ではないですが、綿毛が程よい濃さで、その真ん中に黒いキャラクター(背筋)が通っています。良いものは青味があって特に綺麗です。今回のものはサイズ、色、毛質、どれをとっても最高のものです。サイズが大きくなると、どちらかというと毛は荒くなりがちですが、これはボリュームがあり、そしてシルキーです。

シルバリーには、スライトシルバリー、シルバリー、フルシルバリー、ヘビーシルバリーというように白い刺し毛の量によって段階が別れ呼び方が変わります。もちろん、価格も白い刺し毛の量が増えると、どんどん上がります。

一番多いのが、このどしゃ降りの雨のように沢山白い刺し毛がはいっているヘビーシルバリーになりますただし、白い刺し毛の量が一杯入っているものでも、色の薄いものは価値が落ちます。色の薄いヘビーシルバリーと、色の濃いフルシルバリーとでは色の濃いフルシルバリーのほうが断然価値があります。

最近は、こんな究極の原皮で作られた商品は一般の売り場では見ることができません。

売り場では、これよりも毛が弱く色も薄く、小さいサイズの原皮が製品になったものをよく目にしますが、おそらく産地が違うと思われます。産地については具体的には触れませんが、私も、そのタイプも持っていて、同じシルバリーでも雲泥の差があります。

写真でも、その凄さが伝わればいいのですが、現物は目がくらむほどのインパクトがあります。

長澤

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年月の経った毛や皮のケア

実際に年月の経った毛や皮のケアをするということは大変難しいことです。原料から製品になり、リフォームされるまでの毛皮にはひとつの歴史が存在します。

購入した時は、毎日のように着用していたのが出番が減りながら、やがて長い間タンスの中で眠った存在になっていたもの。またはお気に入りのワードローブ、冬の必須アイテムとして毎年、湿ったタンスと乾いた冬の外気の行き来を繰り返してきたもの。

毛皮自体を再び良い状態に戻し、美しさ・やわらかさを持った新しいデザインに生まれ変わらせるために、私は今までに、毛皮の毛を洗い仕上げるためにいろんな薬品を試しました。毛皮業界で使われているものや、業界と関係なく販売されている様々なものを使ってみました。

結果としては、女性向けの髪のお手入れ用品の中に優秀な仕上げ剤が多い事がわかりました。業界内で使う薬品の成分まではわかりませんが・・・匂いや使った結果から見るとほぼ同じものだと思います。

私はずっとリフォームにはデザインはもちろんなのですが、毛皮の美しさの大元の毛そのものや、それを支える皮にも充分なケアが重要だと考え、再びその美しさを取り戻せるように思考錯誤してきました。

無意識にですが、リフォームと一般の製品やオーダー品とを分けることはしないでやってきました。それは、毛皮の為でもあり、お客様の為になることだと思っています。

このように考える中で、私には「お客様のものをお作りし直すということではオーダー品と変わりない位置づけになるの事がリフォームのあり方(位置づけ)」いうことを改めて実感しています。

長澤

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積み重ね

28年ぶりに本気でギターを弾き始めました。といっても仕事の合間のわずかな時間です。

思えば20代の頃は贅沢に時間を使って練習をしたものでした。しかし、当時は何をすべきかも考えず、ただ、だらだらと好きなように時間を使いギターを弾いていたような気がします。あれほど時間があって何故あのレベルだったのだろうと今思うと恥ずかしくもなります。

今は朝や就寝前のわずかな時間に少しずつトレーニングを重ねています。音楽に効率という言葉は当てはまらないでしょうが、ものの上達という部分には効率というものがあると思います。

私が昨年からギターを始めて一番最初に感じたことは、指や手首・肘などの筋力が不足していることでした。こう弾きたいと思っていても、筋力がない為に思うように弾けないことが続きました。

ローポジションでのCコードのフォームをハイポジションで弾こうとしても小指の筋力がなく押さえることが出来ないことがきっかけでしたが、まずは肘・腕・手首・指・それぞれの筋トレをしてみようと思いました。

そこで、このトレーニング器具を使って筋トレを始めてみることにしました。この器具の効果は抜群でした。すぐに効果が現れた訳ではありませんが半年ほど続けた頃からは、どんどん指の筋力がつき始めました。

ローポジョンのDのフォームをそのまま人差し指でトニックを押さえて他の指でDのかたち)を押さえることがずっと出来ずにいましたが、筋力がついたことでようやく少しずつ押さえることができるようになってきました。

普段は生ギターにミディアムの弦を張って弾いているのですが、今ではFも普通に音がでるようになりました。私が短い時間で筋力をつけるにはこの器具はとても効果があったようです。

よく力を抜くという言葉を色々な場面で人は使いますが、私自身はこう思います。力があって初めて力を抜くことが出来る。積み重ねた自信があるからこそリラックスができる。そんな風にいつも感じています。

ここ数年、年齢と共に指先の器用さが衰えてきてたことを感じていましたが、私のようにもの作りに従事する者は指が思うように動くという事はとても重要なことです。一年間、やり続けた効果がやっと作る作品にも出てきたように感じます。

他人からは、もしかするとあんな物でと呆れられているかもしれませんが、私は常にそんな些細な積み重ねが作品に反映されると確信しています。

もちろん、求めるものはまだまだ先にあります。これから先も、常に積み重ねている努力が作品に反映されているようなものづくりをしたいと思っています。

長澤

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ロマンティックな輸入レース

こんにちは。パショーネ・スタッフの服部です。今年の梅雨入りは例年よりも少し早そうだというニュースを見ました。梅雨、夏場の日本の湿度の高さは毛皮には大敵です!!これからオフシーズンの間の毛皮の保管には十分ご注意くださいませ。

さて、先日の付属買調達にはこの不肖服部も社長と同行しておりました。バッグの付属以外にも新作に必要な付属をいろいろ入手してきましたので、その一部をチラリ。。。

2012年のファッショントレンドのひとつでもあるレースです。今までも様々な素材を使ったコートを作っていますが、レースは初挑戦です。

ロマンティックな雰囲気でビーズやスパンコールがあしらわれている輸入レースです。この幅広のレースの存在感ならば毛皮に負けないでしょう。

どう使うか・・・まだまだ悩んでおりますが、布帛の衣類と比べると変化が乏しく感じられがちの毛皮製品にパショーネらしい変化を出すのに上手く使えればいいなと思っております(*´U`)

長澤も眺めていましたスカイツリー。私も初めて見ました☆ミーハー心が刺激されてこっそり写メを・・・・・・カシャッ(ノ∀`*)ノ□

服部

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付属を買いに都内へ

先日、付属を買いに都内へ出かけました。私自身が付属を買いに出るのことは珍しいことなのですが、今回はバックの金具を自分の目で見て質感や取り付けに問題がないかを確認する必要があったのです。

これまでバックも多数作っていますが、手に入りやすい金具ではどうしても質感が一流ブランドと比べると劣って見えるように感じていました。そのため金具を極力使わない、毛皮がメインのデザインになっていました。

そんな思いから、今回はなんとか一流の金具を探したいという思いで出かけました。下調べをしたこともあり、伺った先では思っていたような結果が得られました。場合によっては特注も受けてくれるようで、とにかく仕上がりが素晴らしい。メッキ加工がこれまでの物と全く違います。

価格はそれなりでしたが、商品の販売価格からいえば質感のいいものを使わなければ作る意味がないと思っていますので、ひとつ大きな問題が解決したような気がします。

メッキも一個から対応してくれますし、海外ブランドの金具の受注も受けているようで、仕上がりに安心感があります。残念ながら金属を曲げる職人さんがいなくなってしまい、一部は対応できないものもあるらしい。

技術者が育たないのか、それとも育てるだけの仕事量が国内では確保できないのか、具体的なことは解りませんが。。。毛皮の業界も同じように、若い世代が育たないという難しい問題をかかえています。

ものづくりの力が失われないように努力し、この金具の質感に毛皮が引けを取らないバックを作りたいと思います。

訪問先から帰る途中では、最近話題のスカイツリーが見えました。納得できる付属が手に入った後、晴れた空の下の大きなスカイツリーを見て、新作のバッグつくりへのやる気が湧いてきました。

長澤

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アーミンテールのバッグチャーム

こんにちは。パショーネ・スタッフの服部です。時々、アトリエの様子などを紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

さて、だんだんと夏を感じるようになってきました。この時期は毛皮業界では今年の新作商品が顔を出す時期になります。パショーネのアトリエでも生みの苦しみを感じながら楽しい作業の日々が続いています(^^)。今年の企画は今までよりもバラエティに富んだラインナップになりそうです。

今日は一足早く生まれた新商品、~アーミンテールのバッグチャーム~をご紹介いたします。アーミンとはオコジョのことでヨーロッパでは冬毛の白いオコジョのみをアーミンと呼び、王侯貴族の権威の象徴とされた毛皮です。中世の王侯貴族は冬毛のアーミンの毛皮をいくつも並べて1枚に縫い合わせ、それをガウンの裏地や縁取りに好んで用いました。

王族・貴族の肖像画やトランプのクィーンやキングの絵札で黒い点のある、白い縁のある服がありますがその部分がアーミンです。(黒い点は尻尾)西洋の紋章にも用いられており、先の黒い尻尾は「アーミン・スポット」と呼ばれて様々な方法で表現されました。

また、ルネサンス期にはアーミンは「純白の毛皮を汚されるよりも死を選ぶ」と信じられたため純潔の象徴ともされていました。

この毛皮製品としても高級品とされるアーミンのテール(尻尾)を使ったバッグチャームを作りました。先の黒い尻尾がとてもキュート♪な揺れるチャームです。これからの時期は日本ではコートを着ることが出来ないので、変わりにバッグにつけたら可愛いかな。。。

ミンクやFOXのテールはキーホルダー等、よく見かけますが(一昨年だったかな?大流行でしたね!!)アーミンのテールは小さくて加工されにくいのでしょう、ほとんど見かけないので、レアアイテムとなると思います。

もちろん、1点ずつアトリエで手作りしております(^^)サロンに届けるのが待ち遠しいです。

服部

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ロシブロの特徴

先日、ロシアン・ブロードテールのメンズコートの仮縫いの事を書きましたが、今回はロシブロ(ロシアン・ブロードテールの略称)の特徴を写真で説明しようと思います。

ロシブロの最大の特徴は、見る方向によって見え方(表情)が変わるという部分でしょう。そして、それは柄が大きければ大きいほど見る角度によって、まったく別のものに変わります。

色も、もともと天然のものを黒に染めたり、グレーの場合は皮の地肌を青く染めて白い地肌を隠すように仕上げています。そのためかどうかわかりませんが、黒もグレーも見る角度によって腑が変わるだけじゃなく色も微妙に変化します。

黒はは常に赤味や青味の染料の量によって微妙に光の反射の加減で変化します。そしてグレーも見る角度によっては青味が反映され紫っぽくに見えたりします。私はその魅力にはまってしまいました。そして買うときには、見る角度によって変わるその魅力(魔力)を求めて原皮を探します。

ロシブロの持ち味は毛が生えきらない段階での腑の面白さですが、一枚一枚全て個性があり、それを自然なかたちにつなげあわせることが私たち技術者の最大の仕事です。

自然な柄は、気持ちを込めて合わせようとすれば、不思議なほど一体感をもち大きな魅力を見る人に放ちます。思わず、わ~~っと言葉がでるような作品。それは、デザイン、毛皮の仕上がり、着心地、変身感などすべてを満たすこと・・・ それは常に私が目指す着地点です。

上の写真は一枚の原皮を左右別々の角度から撮ったものです。写真では魅力の全てをお伝えすることは出来ませんが、少しでもその美しさが感じてもらえれば嬉しいです。

長澤

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マーブルミンク

今日はとても珍しいミンクをご紹介いたします。

マーブルミンクでメスの3サイズです。ちょっと小ぶりですが、とてもショートナップ(刺毛と綿毛の差がない)で綿毛も短く、障り心地が抜群です。

通常、ミンクはホワイトミンクのようなもの以外は背筋が濃くなっていますが、これは背筋が逆に白くなっていて、周りが大理石のように茶色い模様が入っています。それが名前(マーブル/大理石)の由来です。

このミンクはアメリカの一つの飼育業者しか生産していませんので、国内でもあまり見ることはできません。価格は小さい割に3割くらい高いです。

現物は写真よりもさらに可愛い感じで私は見た瞬間に気に入ってしまい、思わず、買ってしまいました。何をつくるかまだ思案中です。

こうゆう柄の入ったようなミンクなので加工過程でのカットもデザインを充分に考えたうえで行わないといけません。優れた素材感を生かすことを考えるのが、とても難しいミンクです。

長澤

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家内の誕生日

今日は家内の誕生日です。しかし、既に昨夜、前夜祭ということで小さなボトルのシャンパンで乾杯をしました。私のバースデーソングつきです。

家内の誕生日には毎年バースデーソングを私が歌うことになっています。・・・というより歌わさせられると言ったほうが良いかもしれません。(とても人前ではできませんが。。。)

家内の誕生日のこの時期はいつも、新作を企画する時期にあたります。この時期はとても忙しく、大きなイベントをすることもなく家で質素にお祝いとして乾杯をします。

今日も夜遅く日本橋から帰って来る家内と一年の健康を祈って乾杯です。

☆ハッピーバースデー☆

二人で飲んだシャンパンはタイミング良くいただいたものだったのですが、これがとても美味しかったのです。よくラベルを見ると・・・「Moet & Chandon」

美味しいはず!あっという間に飲んでしまいましたが、美味しいプレゼントでした。ごちそうさまでした。

長澤

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ロシアン・ブロードテール

仮縫いのため久しぶりに都内へ出ました。メンズ・ロングコートのオーダーのお客様の仮縫いです。素材はグレーのロシアン・ブロードテールです。

既にお手持ちのお気に入りのコートと同じ形をご希望でしたので、1回目の仮縫いはお客様のコートを型抜きしたパターンで行いました。

お客様のコートを着用していただいた時に裾がおがんだ状態だった為、パターンが悪いのか、それとも生地の柔らかさ・重さが原因なのか判断するために、そのまま型抜きしたパターンで仮縫いを行いました。着用していただくと、やはり裾がおがみました。原因はパターンにあったようです。

今回はその修正を確認するための仮縫いでした。結果はうまくいきました。男性の方は肩の筋肉がたくさんついていることが多く、実際にはなで肩ではないが、結果としてなで肩のようになってしまう場合があります。

今回もそのパターンでした。首から肩にかけて筋肉がついていると、前後の中心が持ち上げられてしまいます。その結果、前は重なり・後中心は角が出るか、アームホール部分にハの字のしわが出ます。

修正後は、前後のアームホール部分も綺麗になり、前のおがみによって起きていた正面からみた裾すぼまりな状態も解消され、綺麗なフレアーになりました。

素材はグレーのロシブロですが、皮も柔らかく、腑はうねるような豪快な柄で仕上がりが楽しみです。

長澤

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