蒸留水を使う

今日は珍しく二個投稿します。

精製水(純水)というものがあります。

以前インスタグラムでロシアの技術者とやり取りしていて、毛皮加工に使う水を蒸留水を使っていると教えられました。

国内技術者では、おそらくですがそんなことをしているところはないと思います。

私もさすがにそこまでは気付きませんでした。

どんな意味があるのかは彼は言いませんでしたが、決して間違っているとは思えません。そんなこともあって現在は、自分も使ってみています。結果はまだわかりません。というよりもずっとわからないのかも知れません。

しかし、それでいいと思っています。

最近、直本さんの蒸気アイロンの水に純水を使っています。それとは別のボイラーにも純水を使ってみています。結果は出ていませんが、純水を使うことで機械の中に長期使用で貯まるカルキが少なくなることを考えれば機械にもいいし長持ちもするはずです。

このするはずが、実は大事だと考えます。実際に結果をみることは何十年も使いその結果でしか見れませんが、想像をしてこうあるべきだという理屈に従うことは毛皮の技術にもよくあることです。

このような、きっとこうすれば、これを使えばよいはずだということの積み重ねでしか結果は得られません。

今回の毛皮に純水を使うというロシアの彼の考えも、理屈ではなく感覚できっと蒸留水が良いだろうと考えたのかもしれません。彼も自分で考えるタイプです。他のロシアの技術者から教えられることは少ないですが、彼はロシアでは特別に繊細な気がします。

話戻しますが、純水がいいとははっきりとは言えません。ただし不純物がないということは皮にとっても水を使う際に、カルキだったりなにがしかの不純物が皮に入り、それによって酸化が進んだり劣化がしないとも言えません。

結局のところ、こんなことの積み重ねを何重にもしていくことと、その結果を頭のなかで想像して、それを繰り返すしかないのです。そしてその結果が時々ですが、オッと驚くような結果が出ることがあります。気が長いですが偶然に出くわすまでやるしかありません。そしてその偶然の結果を見逃さなくするには、自分が継続してやり続けていることのひとつひとつを忘れずにいることです。

 

 

最近、インスタグラムのDMにドイツの方からメッセージが届きました。ちゃんと日本語に訳してくれてです。

こんにちは。
最近、毛皮職人として独立したのですが、以前から書き込みで素晴らしい感動を与えていただいたので、お礼を申し上げようと思っていたのです
以前の記事で、私と同じフランス製のクリーニングドラムを使用しているのを見ました。最近、中古でこの機械を購入したのですが、使用する上でいくつか質問があり、残念ながらもうこの場で誰も答えることができないのです。
質問を送ってもいいですか?何枚か写真を撮ったのですが、残念ながらInstagramのメッセージに添付することができません。メールでのお問い合わせは可能でしょうか?
ありがとうございました!よろしくお願いします。
Jan Rich・・・・・ (Germany)

 

こんな感じです。インスタグラムでは、このブログほどたくさんのことは書いていませんが、それでも読んでくれてメッセージをいただくことがよくあります。ドイツは昔は毛皮の大国でしたが、今は国内で毛皮を着てはいけないようにも知人からは聞きます。そんななかで毛皮を始めようとするひとがいるようです。

何かしらのお役に立てればいいのですが。

国内にもそんな方がどこかにいるのかもしれません。以前は某百貨店毛皮サロンに常設していて、いろいろと出来ないこともありましたが、今は何も気にせずに何処の誰とでもお会いすることも時間も使えます。

私で解ることがあれば、いつでも質問をお受けいたします。たいしたことが出来るわけではありませんが、国内にもどこかに、上のドイツの方のようなひとがいるかもしれません。技術者としてアトリエに来ていただくこともOKです。

最後はテーマと違ってしまいました。ごめんなさい。    長澤祐一

 

 

いかにプロであっても

こんにちは。今日のタイトルは「いかにプロであっても」というタイトルです。

 

仕事をするうえで意識としてプロというのと、技術的にプロという側面があるような気がします。あくまで私個人が考えることですが。

私のところでも、どうしても毛皮加工のなかで自分が出来ずに他に依頼する部分があります。

その時に社長ご自身で私のところの加工をしてくれる時や、他の社員さんがやってくれる時というように様々です。

一般的に考えれば社長がやってくれるほうが高い技術力があると判断しがちです。しかし、残念ながらそうではないケースもあります。

何故かと言うと、どんなに技術力や知識・経験があっても、経営者はついコストパフォーマンスを考えてしまいがちになることがあります。従って、どんなに知識・経験という技術力があっても、コストを先に考えてしまうとどうしても、一番肝心な技術力を生かすことが出来なくなってしまいます。その結果あまり良いとは言えない仕上がりになってしまうことも時々ですがあります。

社員さんがやることを愚痴るように彼は細かいから、、、といいます。でもそれは仕事を出す側にとっては大事なことです。知識・経験が一緒であっても最後はその細かさというか注意深さというか、そんな部分がとても大事になります。その社員さんがやった仕事は素晴らしい仕上がりで、またやってもらいたいと思いました。

社長を差し置いて彼にやってもらってくださいとは言いずらいですが、本来であればそうしたいと思うところです。

このように、どんなに高い技術を持っていても、それだけでは高いクォリティは維持できません。時間やコストを無視はできませんが、最優先に何をもってくるかで商品の仕上がりは大きく変わります。

技術がどんなに高くてもプロであっても、肝心の気持ちがプロでなければ意味がないと感じます。

 

長澤祐一

 

 

 

毛皮のクリーニングで使うオガの保湿力と吸収力

今日は、オガの保湿力と吸収力です。

前回のオガの汚れ具合と吸収力(2022年3月25日)の続きになります。

 

やっと、前回紹介したバイオクリーニング剤で洗ったオガが完全に乾燥しました。前回のときにすでに二週間経っていましたので、ほぼ二か月間、完全に乾燥するのにかかったことになります。

 

ヒノキの匂いは消えていません。一般的にプロの間で言われているオガの外側のチャカチャカした部分は取れてしまっているのかもしれません。顕微鏡で見ればわかるのかもしれませんが、顕微鏡がないのでわかりません。ただ、以前からオガのチャカチャカした毛羽立ちが汚れを取るともいわれていますが、その効果は明確にはわからないのです。

 

私がオガに求めているものは、一般的な毛皮のクリーニングで使うような、簡易的に効果も期待できないような安易な使い方ではなく、毛皮の毛と皮の両面を徹底的に洗うための、汚れや皮や毛に含まれる脂分を取り除くための用途としてのものです。

 

そのため、今回オガを水洗いしてみてわかった水分の吸収力や保湿力は十分な結果だと判断しています。

以前、洗った時には単純に水洗いをしました。その理由は、最近の洗剤のほとんどが香料が入っていてオガの洗浄には使えないからです。今回使ったバイオクリーニング剤は無香料なので安心して使えました。

それと、以前に洗ったときの乾燥方法は、セメントの上に布を敷いて、そこにオガを敷き詰めるようにして乾燥しましたが、その時の乾燥時間は早かったのですが、セメント側から雑菌が入ったせいか、乾燥中にカビが発生してしまいました。

そのため、今回は深さのある大きな容器に入れて乾燥してみました。表面から乾燥して白くなっていき、そのため毎日数回はオガを中から混ぜるようにして乾燥しています。今回は雑菌が入らずカビの発生はありませんでしたが、乾燥に三倍以上の時間がかかりました。

オガの価格からみても、この洗って再利用する意味はない気がしますが、オガの誰も知らない本当の能力・効果を見極めるには大事なことでした。

 

以前も書きましたが、私の毛皮クリーニングのなかでオガに求める役割は、汚れを吸収して毛皮の皮に戻さないための吸収力と保湿力でしたので、完璧とは言えませんが、私が想定していた役割は担ってくれているようです。

前回書き忘れましたが、前回クリーニングしたコートはブラック強化染めのコートでした。そのため、あれほどまでに水が真っ黒になったのかもしれません。しかし、逆に言うと、それくらい皮から染み出してオガに染料が吸収されたことが証明出来ています。

最近、毛皮の染色もやることにしましたが、毛についた染料は簡単には落ちませんが、皮面についた染料は皮面に染料が刺さっているような状態ですので落ちやすいとも言えます。その皮面についた染料が前回クリーニングでは落ちたことが証明されています。

 

毛についた染料は簡単には落ちません。落ちるとすれば60度前後のお湯のなかで、ペーハーを上げてアルカリ性に変えていくと色は落ちていきますが、普通の水につけたくらいでは落ちません。

 

上に書いた60度のお湯を使うとありますが、普通の状態の毛皮ではだめですから絶対にやらないでください。染色屋さんではクロム鞣しという前処理をしてからやります。クロム鞣しをしないでやるとお湯の中で縮んでカチカチに固まってしまいます。

 

話それました。クリーニングのために使うオガの役割としては、濯ぐときの水の役割ですので、一般的な毛皮のクリーニングで使う少量のオガでは汚れを有機溶剤で溶かして、その汚れや脂分を十分に吸収するという一番大事なことが出来ません。

写真の上が今回洗ったオガです。一回で最低でもこれくらい一着のコートを洗うのに必要になります。

下の写真は、上で書いたコンクリートの上で布を敷いて乾燥した時のものです。この乾燥でカビが発生してしまいました。

 

 

今流行りの言葉に持続可能というのがありますが、ただ、形を変えるだけのリフォームでは、持続可能とは言えません。毛皮を持続可能なものにするために必要なことがあります。

 

丁度、クリーニングや保管の時期になって来たところですが、時々は毛皮のことを思い出してケアーのことを考えてみるのも良いかもしれません。

 

長澤祐一

インスタグラムのコメント

今日は久しぶりにイギリス人のフォロワーからのコメントを載せてみようと思います。

手前味噌みたいですがごめんなさい。毛皮ビジネスの浅い日本のファーが海外のドイツ、イタリア、イギリス、ロシア、ウクライナ等のたくさんの業者さんからたくさんの言葉、とくに共有(シェア)してくれてありがとうと言われることは、小さくてもファーブランドとして生きようとしているパショーネにとってはとても嬉しく誇らしく思います。

 

彼とも、最初は驚いてDMをくれ、日本と聞いてさらに驚いて、何度もやり取りしていましたが、今年の初めの投稿で、とても嬉しいコメントをもらいました。

I love reading your posts. It’s like hearing your mind work through a furriers trials and tribulations with the aim of perfection in mind as much as possible. Very informative and educational, so much so, I read them multiple times so it sinks in to my head! Thank you for sharing !! 🔥🔥🙌❤️

私はあなたの投稿を読むのが大好きです。それは、可能な限り完璧を念頭に置いて、毛皮の試練や苦難を通してあなたの心の働きを聞くようなものです。非常に有益で教育的で、とても多く、私はそれらを何度も読んだので、それは私の頭に沈みます!共有してくれてありがとう !

https://www.instagram.com/p/CZD5aywJwD9/

 

こんな訳でした。グーグル翻訳なんで完璧ではありませんが、ほぼ内容は解ります。

 

もう一つあります。

彼女は多分モスクワにいて、彼女も小さなブランドを立ち上げ、日々努力している友人です。

DMでやりとりしたときに、貴方は私のサンプルだと言われ、要は、貴方を見本にして仕事をしているというようなことを言われ、その後は、技術的なやりとりを何度もしていました。彼女からも面白いコメントをもらいました。

 

#私はあなたを失ってしまった。 おかえりなさい 👏

こんなコメントでした。事情があり珍しく一か月近く投稿しなかったのですが、こんなコメントをもらいました。彼女とウクライナの友人やロシアの男性の友人や別のフォロワー数人は、丁寧に日本語に翻訳してコメントを載せてくれます。細やかな気遣いが出来ることで繊細にファーを扱っていることがわかりますね。嬉しいです。

 

他にもあります。これは日本の方です。インスタグラムで最初のころに知り合った方です。

こんにちは😊更新無かったのでどうしたのかと思ってました😅

 

 

こんなことがある度にインスタグラムをやってよかった。海外へも発信できたことによって、これまでの努力が報われたような気がします。

今は、ウクライナのフォロワーの無事を祈り、侵略戦争が早く良い方向に終結することを祈ります。

 

追伸 ロシアのインスタグラムの友人は、名前は伏せますが、政府のやっていることはまったく支持できない、自分の仕事の将来の夢が全て駄目になったと言っていました。大小はあるものの、全ての一般のひとが被害者であることには変わりはありません。それにしてもウクライナは悲惨な状況です。

 

 

長澤祐一

 

オンラインショップでの一点一画像の難しさ

今日はオンラインショップでの写真について書いてみます。

他のサイトではよく見られますが、一点の商品画像を数枚載せて、同じデザインやサイズのものを何点も販売するというようなことがあります。

パショーネのオンラインショップでは、一点一画像でアップしています。ですから販売されたものの商品画像は二度と使うことはありません。

皮のバッグや衣服は仕上がりが、ほぼ同一に仕上がりますが、毛皮商品は、まず素材が均一ではないということと、技術者のレベルによって作り方に大きな差が出たりします。そのため、皮のバッグのように、ほぼ同一に仕上がることがありません。

仮に私が作ったとしても、ほぼ同一に仕上がるということはありません。同じレベルに仕上がったとしても、それぞれにわずかな素材の差によって生まれる違いがあります。革製品のようにほぼ同じように作ることが出来ないのが毛皮商品です。

 

であれば、一点一画像でやらなければ、たとえ小物でもやはり一点ずつ画像を撮ってアップするしかありません。毎回、一点ずつ写真撮りをしてアップするのは時間も手間もかかりますが、手で触れることが出来ないオンラインであればなおさらのことですが、一点一画像を守る必要があります。

そんなこともあって、現在オンラインショップの商品アップが遅てれています。一点売れたものを再度作っても商品としてアップするのにするのに以前の写真を使うわけにはいきませんから。

一度決めたことを頑なに守ることは大変なことです。販売という場においても作ることと同じで手は抜けません。

それともうひとつ、一点ずつ写真を撮ればそれでよいか、誠実であればそれでよいか?というと、そうでもありません。商品の良さを引き出す写真が撮れないとアップ出来ないのです。それでもしょうがありません。自分で納得できない写真をアップしても、ずっと不満が自分のなかに残ったままですから。売れれば何でも嬉しいはずです。しかし、自分が納得できない画像で売れたとしても100%で喜ぶことはできません。

 

そんな意味でも、今現在、オンラインショップがブレーキがかかった状態です。今日チンチラの商品をアップしました。前回と同じバーキン30につけるトリミングをアップしています。

良かったらオンラインショップを覗いてみてください。

 

長澤祐一

オガの汚れ具合と吸収力

今日は先日の、オガの一般的な効果と可能性というタイトルの続きです。

一般的に通常の鞣しで毛皮をドライクリーニングする場合にはオガが極端に汚れることはありません。

 

そして一般的な毛皮専用と言われているパウダークリーニングでも、多少の有機溶剤を使うと書いてあるところもありますが、極少量の有機溶剤とオガでコートの表側だけをクリーニングするだけなら、ほとんどオガが極端に汚れるということはありません。

私がやっているリフォーム時にせっかく裏地や付属を外したのであれば、皮裏面も含め徹底したクリーニングが出来ればと大量のオガと有機溶剤を使ったクリーニングは、これまでのクリーニングとはまったく違うものです。

写真を見ていただければわかります。

これは一度クリーニングしたオガを試しに洗ってみました。洗う方法は前回書いていますので省略いたしますが、洗濯機のなかの水は真っ黒になります。毛皮は水でジャブジャブ洗ったりすすぐことができませんので、皮や毛に染み込んでいる脂や汚れと匂いなどを有機溶剤で溶かしオガにしみ込ませ吸収するということをしますが、クリーニング後にオガを見ても、多少黒く変色しますが、実際のところどれくらい汚れが落ちているかはわからないのです。

そんなこともあってオガを洗ってみました。オガの価格からいえば、大きな袋で2,000円くらいなものですから洗う手間より買ったほうがはるかに安く上がりますが、オガが実際に汚れを吸収しているかどうかを知るには、このように洗ってみるしかないのです。

さらに、もうひとつ今回の実験で分かったことがあります。オガの水分の吸収力というか保湿力というか、とにかく乾燥しているのですが、すでに二週間以上経っていても、まだ半分くらいしか乾きません。やっとサラサラになってきましたが、まだまだ湿気を含んだままです。

洗ったらヒノキの香りは無くなるかと思いましたが、まだまだ十分にヒノキの香りがします。

リフォーム品によく見られがちな強い匂いも、このヒノキの消臭効果によって強いカビ臭さが取れているのかもしれません。

毛皮にも様々な技術が受け継がれてきていますが、その技術の意味も考えずに継承するということもよくあります。

オガについても以前から毛皮のムダ毛を取ったり汚れを取ったりすることに効果があると言われていました。ただ、それは以前から受け継がれてきた技術であり自分の努力から導き出したものではないのです。

そんな意味もあって、今回のように実際に自分で、その効果を検証してみるということは自分の技術への自信を深めるという意味でも大切なことです。

これまで毛皮のクリーニングにつきましては何度も、このブログで書いてきましたが、今日の投稿で、今後新しい発見がない限りは一旦終了といたします。毛皮という難しい素材のなかでもクリーニングは特に技術を極めるという意味では難しい作業です。この難しいテーマを継続して読んでいただきありがとうございました。

 

次回以降は、また新しいテーマを見つけてブログを書いてまいります。

最後にもうひとつだけ、、 毛皮にとって正しいクリーニングができるということは、とても大事なことです。最後にそのことだけお伝えいたします。

長澤祐一

 

 

 

オガの一般的な効果と誰も気付かない可能性

今日のタイトルは、オガの一般的な効果と可能性です。

私もオガの科学的な知識はありません。あくまで使ってみた経験から得た知識でしかありません。

何十年も前のことですが、大量のオガを使ってフォックスのエリを綿や裏地を付ける前にかけたことがあります。私が毛皮を初めて四年くらいの頃だと思います。当時新しい工場の立上げに関わり、大きなドラム(毛皮の毛を取ったりクリーニングするための機械)が導入され試験的にオガでフォックスのエリに加工されたものの毛取りをしたことがありました

 

そのときのオガで毛を取り除かれたフォックスのエリの綺麗さは、今でも私の記憶から無くなっていません。目的はフォックスをカットして製品内に残った無駄毛を取り除くということだけなのですが、現実にはそれ以上に製品そのものの魅力というか、毛皮の魅力が最大限に引き出された状態で、大きな感動とともにその効果のすごさにショックを受けたことを覚えています。

一般的にはドラムという機械を小さな加工屋さんでは持つこともなく製品化されていらっしゃるところも多かったり、ドラムがあっても、毛皮の仕上がり時にわずかに加工時にでた毛を取り除くためだけに、わずかな時間をかけるだけのところが多いのですが、本来は、加工時に水を使うことで皮が硬化したものを柔らかくしたり、加工時に汚れた毛を綺麗に戻すという大事な役割があり、ドラムとオガの組み合わせは想像以上のものが存在します。

 

もちろんすべてのひとがオガとドラムによって仕上がったものに感動するとは限りません。しかし、最低限、作る側の人間ならばその効果を感じられる必要があります。

 

オガについては一般的に専門家の間では、オガの周りについている細い繊維(チャカチャカと飛び出ていると言われています)が毛のほこりや汚れを引っかけて取るともいわれています。そして、そのチャカチャカが無くなってしまうと、オガの効果はなくなるとも言われています。

鞣し業者さんでもオガを繰り返し使い、オガの交換の時期をそのチャカチャカが無くなった頃と判断しているようです。ただ、これは実際には顕微鏡でオガを見るようなことをしているかどうかはわかりませんので、おそらくですが経験的に何回使ったら廃棄するということになっているのだろうと推測しています。

ここで次に私のところでの使い方を記載してみます。

一般的には鞣しやさんで使う場合には、新しい原皮を仕上げるためにオガをつかいます。しかし、私のところで使う目的は商品化したものに対して使う一般的な使い方と、もう一つには古い毛皮、例えばリフォーム品などの皮や毛が極度に汚れたものを洗う場合にも使います。

そのためにオガについているチャカチャカによって毛の表面についている汚れだけを落とすだけではなく、以前も書きましたが、有機溶剤を同時に使って毛に付着している脂汚れや皮についている匂い成分や実際の汚れも落とします。

ずっと悩んでいたことがあります。

本当に、自分が想像した通りに、有機溶剤で皮や毛から溶け出した汚れが落ちているのだろうか?? 通常の洗濯の中で使われる濯ぎの時の水の役割をオガがしているのだろうか?という疑問をどこかで解決しなければなりませんでした。

 

そのために以前一度やったことがあるのですが、そのときに写真を撮ることを忘れてしまったり、洗う量が多すぎて上手くいかなかったこともあり、再度、オガを洗ってみて実際にどの程度オガが汚れを吸収しているかを確認してみました。

結果は想像通り、水は真っ黒になりました。

最近の洗剤は香料がついていることもあり使用せず、さらに、有機溶剤で溶け出した脂をオガが吸収しているとすれば、汚れとともに脂も溶かす必要がありますので、脂を落とす方法として、最近流行りのバイオクリーニング剤を使いました。洗濯機のなかにお湯をため込みバイオクリーニング剤を入れて水となじませてから、シーチングといわれる綿の平織りの生地に入れたオガを洗濯機の浴槽に入れて回しました。

 

結果は次回、写真でお見せいたしますが水が真っ黒になりました。有機溶剤は一般的な油も落とせますが、毛皮で使われるアブラは油ではなく脂なので油よりもさらによく溶かすことができ、オガに吸収されます。

但しです、脂、いわゆる樹脂製のものなのですので水だけで充分落とせると思い、鞣し屋さんからも専用洗剤を譲ってもらい、洗いましたが私が望むような落ち方はしませんでした。やはり一般的なドライクリーニングで使う規制のかかった有機溶剤でなくとも最低限有機溶剤である必要があることは経験でわかりました。

 

今回使った家庭用のバイオクリーニング剤は、例えば台所のガス器具周りの油汚れも落とせることで、強い油の洗浄力があることが解っていましたので、オガに汚れとともにしみ込んだ脂くらいは溶かすことが可能であろうと推測して使用しました。

 

以前やったときには、単純に水だけでしたが、今回はバイオクリーニング洗剤を入れましたのでやはり水の汚れかたが違っています。

 

ここで一度、オガに有機溶剤で溶かされた汚れが吸収されることがわかりましたので、ここでこの話は終わります。

 

今回のタイトル、オガの一般的な効果と可能性の、可能性という部分の話をしてみます。

 

前回も苦労しましたが、洗った後のオガの乾燥が問題でした。今回もそうですが、完全に乾燥するまでにひと月以上かかります。乾燥する専用の機械でもあればいいのですが、普通に表面を広くして広げて乾かしてもなかなか乾きません。

逆に考えると、保湿効果が高いとも考えることができ、その強い保湿効果で、有機溶剤によって毛皮の毛や皮から溶け出した汚れをオガが強力に吸収してくれるということが推測できます。

一般的な洗濯のように水をどんどん入れ替えて濯ぎをすることができませんので、オガに汚れを吸収する能力が高いということは、今回のテストでわかりましたが、とても大事なことなのです。

 

最後に少しだけ書きますが、前回の投稿二日後に起こったロシアのウクライナ侵略戦争が始まって以来、インスタグラムで知り合ったウクライナの友人二人の安否を毎日インスタグラムでのオンラインで確認したりメッセージで数日はやり取りしていましたが、さすがにメッセージを確認してもらう時間もないだろうと、ただひたすら相手のオンライン状態で相手の生存を確認するという状態が続きあっというまに20日間経ってしまいました。

さらにはインスタグラムでブロックされてしまったロシアの友人も、アメリカに移住したいと言っていたりして、しかし、アメリカは毛皮産業にとっては厳しい地域だったりと、自分のことも含め今後のことを心配する日々が続いています。

今はひたすら、ウクライナの友人の無事とロシアの友人の今後の仕事の無事を祈ります。

 

次回、今回つけることができなかった画像を上げたいと思います。

昨年四月から、再度書き始めたブログです。やっと一年近く経ってグーグルなどの検索にも引っ掛かりやすぐなってきていますので、ここで止める訳にもいきませんので、また再開いたします。

今日のオガの可能性については、今後も他では絶対に得られない、誰かに聞いた話を書くということではなく、私が実際に確認したことを書いてまいります。またこのブログに来てもらえると嬉しいです。

 

長澤祐一

 

毛皮のドライクリーニング 毛皮の皮から脂を抜く難しさ

今日は、毛皮クリーニング 毛皮の皮から脂を抜く難しさ というタイトルです。

一般の方には、すごく解りずらい内容ですね。

 

私のブログでは何度も書いていますが、

簡単にいうと、毛皮は皮の脂を抜き過ぎると、干物のようにカチカチになります。ほんとのことです。するめイカのようになります。

毛皮を鞣すというプロセスがあります。業者さんは鞣しをそのままプロセスとも呼んでいます。

この鞣しのときに入る脂の量というか、脂の抜き方で毛皮が商品になったときの仕上がりとその後の保管による毛皮の皮の部分の硬化や劣化に対して大きな差が出ます。

この脂の入り加減に三つのパターンがあります。

 

一つ目は、脂を抜き過ぎると、するめイカのようにカチカチになります。そのままでは加工することも商品にすることも出来ません。抜き過ぎると本当にカチカチになります。

 

次に、脂が適度に入っている、、、言い方を変えると適度に抜くが正しいかもしれませんが、実際に適度に抜かれた皮は、湿気も吸収しにくく、柔らかく、さらにさらっとしていて、乾いた感じがします。

ただ、この状態はすごく幅がせまく、鞣しやさんがやるドライクリーニングでも、なかなかピッタリにはなりません。でも、この感覚を触って分かるようになるには、豊富な経験が必要です。何度も様々な条件の皮を加工して仕上げてみて初めて分かることです。単に何千本と毛皮の皮を触っても理解することはできません。

 

最後に一般的によくあるタイプで、脂が残り過ぎの状態です。ほとんどがこの状態です。この状態は、鞣し上がりの初期状態はとても柔らかくてよさそうに見えます。しかし、時間の経過とともに湿気を吸収して、徐々に硬さがでます。原皮屋さんが長期保管した毛皮のほとんどが硬く湿気を吸収して重く感じるのは、このことが原因です。しかし、鞣し上がりのときはすごくよく見えます。

 

このように原皮の段階でも、上に書いた三つの状態があります。

 

それではどうして、二番目の一番ベストの状態に、なかなかできないのか?ですが、鞣し屋さんで使っているドライクリーニングの機械は、大型で溶剤だけで毛皮を入れて回し、気化した溶剤を再度、液化する装置が付いていて、ドライの効果も強く、そして早く脂を抜くことができます。

ただ、この早く抜くことが出来るというところに、もしかしたら微妙なコントロールが効きにくいのかもしれません。私は実際にやってみていないので明確なことは言えませんが、抜き過ぎて問題になるより、抜きが少し足りないくらいが一番コントロールしやすいのかもしれません。

そういう意味では、私がやっている通常の毛皮用のドラムで、オガと有機溶剤を混ぜて、少しずつ長時間かけて脂を抜くほうがコントロールが効きやすいとも言えます。

実際に、市販の有機溶剤を使って、毛皮の皮をびちゃびちゃに濡らして絞り、そのまま乾燥すると、カチカチになります。

ドライクリーニングの機械ではジャブジャブ有機溶剤で洗い、ドラムの中で回転させながら乾かすのだと思いますが、回転させながら有機溶剤を気化させますので一旦は柔らかくなりますが、仮に抜き過ぎたとすれば、水に濡らすとカチカチになります。ただ、このへんの最終仕上げ方の詳細は私は分かりません。想像です。

ただ、私がやっていることは想像ではなく事実です。ベストの状態というのは、すごく範囲が狭く、脂が残り過ぎると湿気を吸って重くなったり硬化したりしますし、抜き過ぎると逆に硬くなります。本当にベストの状態は難しいのです。

ですから、効率は悪く、時間はかかってもゆっくり時間をかけて抜くしかないのです。そのためにリフォーム前にやるクリーニングはドラムに丸二日間入れて回しながら自然に有機溶剤が気化して自然に乾燥するまでドラムに入れるのです。

ただ、私がここに書いているようなことは、誰も気にしてはいません。

ここまでやっていることさえ、一般の業者さんには、このブログを読んでも理解もできず、信じることもないのかと思います。

皮をギリギリまで薄く鋤くことや、長期の柔らかさを維持するための皮に入った脂の量を調整したりすることは国内どころか海外でさえも、誰も気にしていないのが現実です。

もちろん、これだけでパショーネの商品が綺麗に見えるわけではありません。実際に作る感性と技術があっての現在の品質ですが、同じように私が作っても皮の状態の悪いものは、同じ仕上がりにはなりません。

それだけははっきり言えます。それくらいに皮の状態が仕上がりに影響します。

今日書いたことは、理解してもらうのには、かなり難しいテーマでしたが魅力的な毛皮にするという意味では、すごく大事な問題です。

 

長澤祐一

 

追伸  先日、鞣しの技術者さんと話をする機会があり、皮を鋤くためには鞣し用の油を入れるらしいです。脂ではなく油です。その油の目的は、皮を鋤くときに毛根を切らないようにするために皮を膨らませる目的だそうです。油を皮に塗って染み込んだ後にコーンスターチを溶かしたものを塗ってさらに皮が膨らむようにするようです。その時に使った油を抜くためにもドライクリーニングが必要だとも言っていらっしゃいました。頂いた電話で40分も話し込んでしまい、申し訳ありませんでした。そして互いに知識を深められたこと嬉しく思いました。いつかこのことは別に書きたいと思います。

 

インスタグラムでの友人

ここで政治の話をするつもりはありません。しかし、心配です。

私のインスタグラムのお互いにフォローをしているアカウントのなかにウクライナの友人が数人います。その彼らと、DMでわずかなやり取りをしています。

返信はわずかですが、爆撃が始まった、、とか、ヨーロッパからトラックで武器が届く、届いたら反撃する、、、 等とわずかな言葉のなかに緊張感が走ります。

その友人たちの年齢はおそらく50代か60代だろうと思います。それでも、国を守るために戦うといいます。ニュースではよく聞いていますが、現実にインスタグラムでしかやり取りしていない私にも国を守るといいます。

言葉がでません。

 

ロシアにも何人かずっとやり取りしている友人が何人かいます。そのひとりとやり取りしましたが、政府のやることを全く指示できない、、、と言っていました。ロシアでも自分の意志ではなく戦いたくさんの若者が亡くなっています。

きっと経済制裁によってこれから友人達の仕事も大変なことになるかもしれません。ロシア国内だけでなくヨーロッパへ商品を販売していると聞きいたことがあります。

とにかく早い収束と、友人たちの命の無事、経済的な無事を祈ります。  長澤祐一

毛皮のパウダークリーニングの疑問、そしてクリーニングが出来ることの本当の意味

こんにちは。投稿の間隔が少し短いですが、前回が結構空いてしまったので、今日もアップします。

これまでも何度も一般的な毛皮のクリーニングで使われている手法のパウダークリーニングを施されているコートのリフォームをしてきましたが、最近ようやく少し理解できたことがあります。

私のところでも、リフォームを依頼されることがあります。最近気づいたことですが、コートを解体して最後に作業台の上に、小さな粒が残ります。粉というよりもさらに大きな粒なのですが、クリーニングで使うおが屑とも違います。確定は出来ませんが、毛皮のクリーニングで一般的に言われるパウダークリーニングのパウダーと言われる粉だと思われます。それ以外に毛皮のコートの中に入るものはありませんから。

よくオガ屑も一緒にコートの中に入ることがありますが、今回はオガ屑ではなく小さな粒がたくさん、コートを解体した後に作業テーブルの上に残りました。以前もよくありましたが、このコートのお客様に聞いたところ、随分昔に二回ほど毛皮のクリーニングに出して、そのまま保管していらしゃったようです。

今日の一番のテーマは、毛皮のクリーニングをする業者さんが、クリーニング後の結果をほとんど知らないという事実です。しかし、それはしょうがないこととも言えます。クリーニング後に、その自分がクリーニングしたコートをじっくりと見ることがないからです。

一般的に使われている毛皮クリーニングの手法、パウダークリーニングを誰が最初に考えたのかは分かりませんが、今実際に作業している人たちは、きっと何も考えることもなく疑問も持たずに作業をしているのだと思います。もちろん責められることではありません。しかし経営者は今のパウダークリーニングが本当に効果があるのかは検証する必要があると私は思います。

私も、過去に毛皮クリーニングについて、かなりの量の記事を書いていますから、都度書いたものに責任を感じてはいます。

毛皮は本来クリーニングするものとしては、かなり特殊なものです。一般の布帛以上に都度取り扱いを分ける必要があります。

話を戻しますが、作業をする人がなんの疑問も持たずに作業をして良いと言えるほど本来は簡単な素材ではないのです。もちろん、作業しているひとがこの記事を読んだときに、肯定するか否定するかは分かりません。しかし、何割かの人は確かに、、、と思うはずです。一般的には作業効率が何よりも優先するのが当たり前ですから、敢えてパウダークリーニングを否定はしませんが、今現在、国内で主流になっているパウダークリーニングには問題も多く含まれていると私は感じます。

毛皮のクリーニングは基本的には裏地が付いた状態であれば、オガや有機溶剤、またはパウダーと呼ばれるものを使ったとしても、絶対に手洗いして、オガやパウダーを払い落すためにドラムにかけるというのが正解でしょう。考えれば当たり前のことです。

オガやパウダーと一緒にドラムにかけたら、絶対に裏地と毛皮のまつり口からオガやパウダーとよばれる粉がコートのなかに入ります。おそらくですが、いや絶対と言いましょう。業者はそのことを知っています。知っていて知らぬふりをしています。絶対です。こんな簡単なことが分からないはずはありません。それでも、それしか方法がない、、、 儲かる方法ですよ。儲かる。それしかないと考えてパウダークリーニングをしています。

私のインスタグラムのフォロワーのロシアの業者さんは、全て手洗いです。中にはバイオクリーニングをしているところもあります。ロシアのほうがクリーニングは遥かに高いレベルでやっています。しかも、日本のように毛皮が分からないクリーニング業者がやるのではなく、毛皮業者が自分でクリーニングをしています。

クリーニング屋だって、その気になってちょっと調べればすぐにわかります。しかし今やっていることを替えようとはしません。

現実に以前、ブランド品を専門に扱うクリーニング店の社長さんから問い合わせがあり毛皮のクリーニングをして欲しいと依頼を受けたことがあります。その方も今のパウダークリーニングに大きな疑問を持たれていたようです。もちろん私のところでクリーニングを大量に受けて仕事にすることなどありませんので、お断りをして毛皮専用のクリーニングドラムがなくても出来るクリーニング方法をアトリエに来ていただいて二度ほど少しだけ教えて差し上げたことがあります。ただひとつだけ言えば、毛皮の本来の状態を知らずにクリーニングの方法だけを学んでも無理はあります。またいらっしゃると良いのですが。

話もどします。パウダークリーニングは毛の表面、または毛の少し奥のところまでしか洗うことが出来ません。そのため、例えば匂いですが、表面に付いている匂いはパウダークリーニングで一度は取れる可能性があります。しかし、毛の奥から時間の経過とともに匂いが戻ります。極端なことを言えば、スチームなどを仕上げに使えば簡単に匂いが戻ってしまうのです。あとは時間の経過とともに湿気が出たり入ったりすることで匂いはさらに戻ります。

仮に毛の奥まで匂いをとっても、皮についている匂いを落とさなければ、またすぐに皮から毛の奥へ、毛の奥から表面へと嫌な臭いが戻ります。毛皮のクリーニングは本当に難しいのです。そのためには有機溶剤とオガで洗うしかないのですが、そのためには裏地や付属を全部外して洗う以外に方法がありません。

私のところでやる毛皮のクリーニングは、毛皮専用のクリーニングドラムを使いますが、時間で言えば48時間くらいかけます。オガと有機溶剤で洗いますが、丸一日程度では足りません。有機溶剤が皮に染み込み、皮の脂分が有機溶剤で溶かされ、オガに吸収され、さらに毛皮やオガから有機溶剤が完全に抜けるまでドラムを回し続けます。

以前は一日程度で終わっていましたが、研究を重ねた結果、48時間を目途にドラムをかけるようになりました。その理由は匂いもですが、柔らかさが一日では十分ではなく、有機溶剤が完全にゆっくりと飛びきったところで初めて完璧に柔らかくなります。理由は私にはわかりませんが結果が示しています。

でも、パウダークリーニングを専門にやっているところで丸二日もドラムにかけたら仕事になりません。コストも合いません。ですから仕方ないことなのです。

私のところでも、リフォームはコストがほとんど合いません。それでもとことんやる意味は技術向上と仕上がりのためです。お客様が誰とかも関係ありません。目の前の毛皮と向き合うだけです。もちろん既成の商品やオーダー品を作るときもそうです。

毛皮には見た目の美しさが十分にありますが、その美しい毛皮に嫌な臭いがあったり硬さがあったりすれば、毛皮本来の美しさは出ません。

作る職人さんは毛の仕上がりには拘るかもしれませんが柔らかさや軽さ、匂いにまでは気を使うことはあまりありません。

でも、その全てが上手くいかないと本来の毛皮の魅力が出ないのです。その意味でも毛皮のクリーニングは、古い毛皮の汚れや匂いを落とすということと同時に新たな商品を作るときにも絶対に必要な技術なのです。

美容室で髪をカットして、その後シャンプーをしてセットをしないことは少ないかと思いますが、それと同じです。新しい原皮だからすべてがパーフェクトとは限らないのです。皮が厚ければ皮を鋤いて薄くもします。匂いや硬さがあればクリーニングもします。

汚れたり匂いのついた毛皮を洗う技術は新しい商品を作る上でも、とても重要な技術なのです。

そしてパショーネがファーブランドとして生き抜くためにも毛皮のクリーニングは絶対に不可欠な技術なのです。

最後にやっと今日の大事なテーマ(クリーニングが出来ることの本当の意味)に戻れました💦

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

長澤祐一