日本産メスミンクの特徴

今日は、稀少な日本産のメスミンクについて書いてみます。私がこの国産のメスミンクを使って感じたことがひとつあります。今では、国産ミンクに価値があるとは、この業界でも言われることはありませんね。それくらい生産量も品質も海外のものとは比べ物にはなりません。

日本産メスミンクの特徴

そのかわり、ひとつだけメスミンクに良い特徴があります。今はアメリカのショートナップや、それに続けとばかりにデンマーク産のミンクもショートナップになりつつあります。 (さらに…)

毛皮の仕上げ(ボリューム感を出すもうひとつの方法)

毛皮の仕上げの工程で、ミンクを例にとるとボリューム感を出すのに、いくつかの方法があります。

ひとつは、2012年8月6日付けの当ブログで書いたもっとも簡単にできる、スチームをかけて綿毛の根元のほうを縮れさせ方法です。

毛のボリューム感 http://wp.me/p2t2t1-7f

もうひとつは、あまり一般的ではありませんが、コラーゲンを使った方法です。毛をしっかりさせボリューム感をだすことに効果があるかもしれないと聞き、とにかく試してみようと思い、材料(コラーゲン)を仕入れて使ってみました。 (さらに…)

毛皮のプロの落とし穴(ミンクの毛の長さ)

Fur_passione_8_29_2014

上の写真はパールミンクです。一般的にミンクはアメリカもののショートナップが良い、または高級・・とされています。最近ではデンマークのものもショートナップタイプが増えてきました。私たちもずっとそう思いながらミンクを扱ってきていました。

しかし、それは毛皮のプロとして仕事をしてきている私の大きな間違いだと気づかされつつあります。

薄い色のミンクでは、ヨーロッパ系の刺し毛が長いタイプのミンクも横段などに使うと、とてもボリューム感がでたり、毛先が長い分、毛皮らしさや優しさが、よく表現されることに気づかされます。 (さらに…)

ブラックグラマミンクのショートナップ

ミンクでもっとも価値があると言われているアメリカンミンクのなかで最高峰と言えば一般名称でブラックグラマミンクがあります。

これはダークミンクのなかで、さらに選びこまれたもので、その特徴は、ボリュームがあること、毛が柔らかく弾力があること、ダークのなかでも、さらに濃いこと、ショートナップであること、等が思い浮かびます。

一般的に誤解されがちなのが、ショートナップという意味です。文字本来の意味からいくと短い毛というのが正しいのでしょうが、本来の意味は違います。

アメリカンミンクの特徴といえるショートナップの本来の意味は、綿毛と刺し毛の差が少ないということです。 (さらに…)

毛皮のオーダーメイド(原皮の調達、そのニ)

以前、毛皮のオーダーメイド(毛皮の調達)という記事を書きましたが、今日は、実際にあったことを具体的に書いてみようと思います。

今回のオーダーメイドはブルーアイリスミンクのロングコートです。

一般の方には解らないかもしれませんが、メスのブルーアイリスをコートバンドルで持っているような原皮屋さんは、国内には、まずありません。しかも、メスの1~0サイズでアメリカ産で最高の原皮などと制限を付ければ国内では、まったく手配ができない状態になるのです。持っているところもないことはありませんが、当然、何年も前の、黄色く焼けたようなブルーアイリスがいいところでしょう。それほど、良い原皮を手配するというのは大変なことなのです。 (さらに…)

チンチラのブラックベルベットの意味

チンチラ ブラックベルベット

今日はチンチラのブラックベルベットという品種について書いてみようと思います。以前、ブラックベルベットと2XDや3XD(色の濃さを表した名称:数字が大きいほうが濃い)を比べ、作り方によっては価値の低い2XDのほうが綺麗に見えると書きました。

今回写真で見せるチンチラはあきらかに2XDや3XDよりも綺麗で、私が見る中でも本当のブラックベルベットと呼ばれるものです。安いブラックベルベットと違い、毛が弱くなりやすいにも関わらず、しっかりとした毛のボリュームがあり、まさにブラックベルベットと呼ぶにふさわしいチンチラです。

しかし、よく見てもらうとわかりますが、 (さらに…)

チンチラはそんなに軽くない

今日はチンチラが、そんなに軽くない事について書いてみます。チンチラは一般的に毛皮のなかでも繊細な毛皮の最たるものとして扱われていて、イメージとしても、とても軽そうに思われているかもしれません。しかし、実は決して軽い素材ではないのです。軽いイメージはおそらく、毛の繊細さや、皮が何年もしないうちに破れたりして、皮が薄く弱いというイメージからくるものなのでしょう。

チンチラの皮は決して薄くはないのです。腹の部分は確かに薄いのですが、腹を過ぎて背中心に向かうほど皮は厚くなってきて重さに影響を与えています。以前もチンチラの皮の劣化について書いていますが、チンチラの皮は他のミンクのような皮に比べ何倍も切れやすいのです。

もちろん個体差があり、さらにはなめしの最終の仕上がり状態にも大きく影響を受けます。というよりも、最後のなめし上がりの仕上げ方と保管の状態で皮の劣化や強度が決まると言っても過言ではありません。

さらに重さという意味では、繊細といってもチンチラは毛のボリュームがあるため皮の厚さだけではなく毛自体も重さの要因になっているのだろうと思われます。

以前、当ブログで「毛皮クリーニングの問題点」を書いたかと思いますが、クリーニングするためのドラムにかけただけで切れる可能性があるのです。その理由は、一見、皮が薄く弱いからと誤解されがちですが、実際には弱くても軽ければ、そう簡単にドラムのなかで切れることはありません。重いコートがドラムのなかで回転することで遠心力も加わり、下にたたきつけられるというなかで切れるという現象が発生します。

よく着用せずにハンガーに吊るしたままで、肩が切れてしまったというようなことが起きるのも皮の弱さだけではなく重さも大きな原因の一つです。

最後にひとつ付け加えますが、すべてのチンチラが弱いわけではありません。前にも書いたようになめしの状態がよく、湿気を吸収しない状態にあり、さらに、できるだけドライな環境で保管をする、そして、加工段階でも切れそうな部分にはしっかりと補強をするという、この三つの条件が満たされていれば、簡単に切れることはありません。

よく、全体に芯を抱かしてあるものが見受けられますが、あれはあまり意味がないのです。重さがかかる部分にコートが硬くならないように注意をしながら補強をしていくというのがベストな考え方でしょう。

長澤

にほんブログ村 ファッションブログ オーダーメードへ

毛皮の毛先

今日は毛皮の毛先について書いてみます。先日のブログで回転アイロンを使ってシェアードやプラクトミンクがとても綺麗になることを書きましたが、アトリエではミンクやセーブルのような繊細な刺し毛をもつ毛皮は回転アイロンをかけません。その理由は、回転アイロンによって、わずかですが刺し毛の先が切れてしまうからです。

ビーバーやヌートリア、またはその他、刺し毛が硬く太いものは、そう気にすることはありませんが、ミンクやセーブルの刺し毛は繊細ですのでローリングアイロンはかけることは一切いたしません。以前にローリングアイロンを買ったばかりのときに何度かかけて毛先を切ったことがあるので、その後はかけておりません。

弊社アトリエで使っている回転アイロンの刃先はすでに仕上用として丸く削り磨いてありますが、 (さらに…)

【動画】 アメリカ産・マホガニーミンクの再鞣(なめ)し

今日は先日上がってきた、アメリカ産のマホガニーミンクの再鞣ししたものを動画でお見せいたします。敢えて何かを書くということも必要のないくらいに動画を見てもらえれば、その皮の薄さや柔らかさが、お解り頂けるものと思います。以前の記事でも書いていますが、素人考えで考えると、だったら一度に同じように鋤けば良いじゃないかという考え方も成り立ちますが、二回鞣すという効果はやはり絶大で、どうやっても (さらに…)

毛皮で一番軽い素材は? 

毛皮で一番軽い素材は?という検索で入ってくることが多いので、今日は昨日徹夜して納品したアーミンについて書いてみます。

今回の作りのテーマはとにかく軽く柔らかくです。このことで一番問題になるのは軽く柔らかくすることと、形を綺麗に表現することを同時に行わなければならないことです。一般的にアーミンの作りは、他社ではアーミンの皮が薄く切れやすいと理解されているらしく、毛皮と裏地の間に一枚の薄い芯を抱かしています。もちろん、前芯やその他の芯もしっかり使って仕上げています。

そのためにせっかくの軽く薄い皮の利点が表現されずにいます。結局は、作る技術者と求めるお客様との接点がないために、技術者は皮が切れるリスクを避けたり、形が崩れるリスクをさけたりして、無駄な芯を貼ってしまいます。しかし、お客様がアーミンに求める姿は、 (さらに…)