バランスの良い、デンマーク産チンチラ
今日は良いチンチラの原皮を仕入れました。写真のチンチラがその原皮(デンマーク産の40サイズのチンチラ)です。
チンチラについては以前も書きましたが、今回はまた少し違う視点で書いてみようと思います。
チンチラには黒い背筋があることは、チンチラを知っているならほとんどの人が承知のことと思います。そして、この黒い背筋によって価値が変わることも一般的によく知られていることです。
ただし、黒いだけでは最高のランクとは言えません。今回は、その一般的な常識の黒いだけでは最高の物とは言えない理由を書いてみます。
チンチラの背筋は当然、薄いよりは濃い方が良いのです。私が思う本当に良いチンチラとは、そのキャラクター(背筋)の濃さ・その横のグレーの部分・腹の白い部分のバランスがよくとれています。
背筋の色以外にも、これはあまり知られていない事ですが…黒い背筋の部分の毛がうねるように毛が曲がっているものがあります。その割合は(私の経験上では)これまで見た原皮の半分以上は、このうねりのあるタイプでした。
また、反対に全くうねりがなく毛が真っすぐに生えているものがあります。もちろん、後者のほうが圧倒的に綺麗です。 何故かというと、並毛で見ると黒い毛がうねっているとギラギラと乱反射して見えます。真っすぐなものは乱反射せずに深く沈み込むように黒く見えます。この違いはとても大きいでしょう。
この、毛にうねりのないタイプで…更に三つの色のバランスが良いものが私は最高のチンチラだと認識しています。おそらく、一般の職人さんは、このことは気にしていないでしょう。気にしてると限りのある原皮の枚数では商品が作れませんから。
これは、毛にうねりがなく・三つの色のバランスが良い原皮をそろえることが出来て、よい技術で作れば素晴らしく綺麗なものが出来上がるということです。
付け加えますと、チンチラの毛がうねっているのは背筋の黒い部分のみです。黒い分だけ毛が弱いのかどうかは…解りませんが間違いなく、うねるのは背筋だけです。
ミンク等はスチームをあてればうねった癖がとれますが、このチンチラの背中のうねりは、どんなにスチームをかけてもとれません。生まれつきの個体それぞの性質のようです。
今回の原皮の写真は癖が全く無く・背中心がしっかり濃く・グレーの部分もバランス良く・腹も真っ白・・・と、いわゆる三拍子がそろったタイプです。このタイプの原皮を探すことは意外にも難しいのです。例えるならば、50枚のバンドルの中に1割程度と…少しくらいなものです。
それ程に、どこからどう見ても綺麗な原皮というのは少ないのです。コートを作るほどの数はなかなか揃いませんので、私はいつも小物で最高のものを作る時に使います。
6月25日のチンチラのショールは、珍しく納得のいく原皮で作ったものです。このランクで、これだけの枚数をそろえようとすると、バンドルをたくさん買うかバンドルをばらしてもらって選ぶかしかありません。(原皮屋さんにはきっと、嫌がられることでしょう。それでも、こんな原皮が欲しいのですが・・・)
そして、今回のデンマーク産と他の産地との違いを説明するのは非常に難しい事ですが、確実に何かが違います。デンマーク産のチンチラは、高いですが、やはり買う価値があるものです。
長澤