毛皮のリフォーム | クリーニングの必要性

今日は毛皮のリフォーム時に、いかにクリーニングや皮の脂を抜くことが必要かを書いてみます。

とにかくしつこく書きますが、一般的には誰も気にしていないどころか、そこそこ脂は必要だと言い張る専門家が多いのが現状です。いちいちそんなたくさんの専門家のみなさんに喧嘩を売るような気はさらさらありません。

しかし、このたくさんの専門家の多くのひとが、実際にどれくらい毛皮の作りを真剣にされたかは私にはわかりません。通り一遍の知識というのは、業界にいれば大体、知識として持つことになります。

しかし、皮に含まれる脂の量が毛皮の作りや仕上がりに大きな影響を与えるということを知るひとはほとんどいないでしょう。ゼロではないでしょうが、大半のひとは考えていないと思います。

特に国内の業界人の中ではです。これは少し皮肉的な言い方ですが。その点、中国はやはり世界の工場と言われるだけあって、ピンキリありますが、上のレベルでは、ちゃんと脱脂をして、柔らかさを表現しています。

日本国内ではCO2の問題もあり規制がかかって使えない薬品等も、もしかしたら中国ではまだ、使えるのかもしれませんが、後先考えずに徹底して脱脂された商品もあり、素人目には”くたくた”になった柔らかい皮が毛皮の良さを表現しています。

一般的な国内の技術では、あそこまでできませんし、作る現場の目が、あの柔らかさを体感していない、さらに、売り場での、その柔らかさの評価を知らないという事実がある以上、国内の技術者が上のレベルに行くことは難しいのです。

ただし、上記で、後先考えずに、、、 と書きましたが、パーフェクトの脱脂は、やはり、危険が伴います。中国製品の一部にある、あの強力な脱脂は、ドライクリーニングをして脱脂をするわけですが、おそらく裏付け前にガーメントの形になった状態でするわけですから、すべての補強テープの粘着糊は溶けてしまいます。

形も確実に縮みますし、最後にドラムに入れながら乾かすので、あれだけ柔らかくなりますが、間違って皮に水が染み込んだりしたら、確実に思いっきり硬化します。

さらに、切れやすくもなります。毛皮業界の過去にも、完全な脱脂をして柔らかさを出した過去があったことを覚えているひとも、ご年配の方にいらっしゃるかもしれませんが、当時のひとのほうが優秀な方がいらっしゃったようで、そのパーフェクトな脱脂を当時は危険だと判断し、やめているのです。

例えば、一般的な毛皮クリーニングでは、ドライはせずと、良く記載やyoutube等の動画で見ることができますが、それも、過去の経験からの知識で脱脂はよくないという意識が今現在もあるのかもしれません。

ここから私の意見を書きますが、パーフェクトな脱脂はやはり絶対に良いとは言えません。ただ、一般的に考えられている原皮屋さんや鞣し業者さんの基準はやはり、商品仕上がり時にどうあるべきかというところからみると少し違いがあると私は思います。

よく、原皮屋さんが仕上がってきた時は軽い感じで良いけど、時間が経つと、ズシッと重くなると言いますが、それは、原皮が湿気を吸収してさらに、湿気が入ることで、そのままラックにかかったままだと硬化も進みますから結局、湿気と硬化で、鞣し上がり時よりも確実に重く感じるようになるのです。

イタリア鞣しが、そうならないと聞くこともありますが、私が仕入れたイタリア鞣しのミンクもやはり、国内の鞣しと、ほぼ同じ状態になりました。

私は、鞣しについては詳しくはありませんが、一度、脂を入れるようです。そして仕上げのときにドライクリーニングをして脂を抜くわけですが、ここがやはり、手でキッカー(間違っていたらすみません)という道具を使って脂を入れ、それをひとの感覚(時間)でまたドライクリーニングをするという、極めて計測しにくい作業があります。

結局、そのロットごとの残留脂の量に差があったり、手で入れる脂を加える作業にも差があったりと、とても難しい作業のなかで仕上げられるわけで、さらには原皮の個体差などもあるかもしれないことを考えると、とても難しい作業に感じます。

結果、やはり、作るところで最終的な脂の量をコントロールするしかなく、私のところでは、原皮の段階でドライをする場合や、仕掛り途中でもっと抜きたいと思えばドライする、、、というような感じで都度、皮を触って感触で決定するしかありません。ひとつ、中国のドライと違いがあるとすれば、ジャブジャブドライ液に漬け込むようなドライはしていないということです。当初何度も、このジャブジャブ液に漬け込む洗い方を試しましたが、専門の何千万円もする機械がないので、回収しなくても良いレベルの有機溶剤を使いますが、やはり、気化させるのにも時間もかかり、この方法は使えないなと判断しました。以前、カビが蔓延してしまったコートは、この漬け込む方法で二度洗ってカビを落としましたが、やはり手間がかかりすぎて、現実的ではありませんでした。

私が今やっている方法は具体的には書きませんが、皮の表面からドライ液が染み込み、皮の表面から脂を抜いていくという方法を取っていますので、皮の奥に少しだけ脂分が残るという状態になり、こうすることで万が一水に濡れても、思いっきり硬化することがなく、軽さもでて、さらに、空気中からの水分も吸収しにくくなり、重さや劣化防止にも効果があるという、理想的な状態になるように処理しています。

私のところでは、鞣し上がった皮を再度、皮を軽く薄くするために機械や手で鋤いていますが、脂が抜けている皮のほうが鋤くのが楽なのです。脂がたくさん入った皮はベタベタして繊維がなかなか切れず、タンパク質が剥がれてくれません。ですから、皮が厚い場合にはドライをかけて、皮の表面を一度削り安い状態で削って、さらにドライをかけて、また削るという場合もあります。それくらい、皮の状態をいい状態に保つということに注意を払います。

リフォームのときにも当然、ドライをして古くなって劣化が進行しそうな状態を一度そこで止めてしまわないとリフォームする意味などありませんから必ずやります。やらなくてもいい状態のコートなど、年に1点あるかないかです。たまに、奇跡的に脂の入り具合が抜群によいものがありますが、それは本当に希です。

脂の分量が適正になれば、コートにしたときの皮の繊維の状態もよくなり、皮が伸びたら伸びっぱなしというのではなく伸びても、また元に戻る柔らかさというのがでて、型崩れせず、柔らかさも出るという状態になり、毛皮本来の良さがでます。

一般のひとは毛に魅力があるのだと思いがちですが、皮が柔らかいことで、表の毛が本来の輝きを発揮できるのです。皮が硬い状態のミンクなんて、まったく魅力がないのです。

それくらいに皮が大事だということを覚えておいてください。そして、それをコントロールする大きな要素として脂の量を適切に調節するということが大事なこのなのです。

今日も、結局難しい話になりましたが、作る側にとっても、買う側にとっても、とても大事な話だということです。デザインがどんなに良くても、毛皮の本来の魅力が表現されていない商品をいいと錯覚してしまうのは、売る側の勉強不足や、正確で正しい情報を持っていないということに他なりません。

毛皮の魅力が分からないからデザインだけで選ぶしかなくなるとも言えます。一人でも、毛皮の魅力を理解できるひとが増えること期待してこのブログを書いています。

上の写真は、レイヤード(細くカットした毛皮を生地に間隔を開けて縫い付ける技術の総称)のために5mmにカットされたミンクをバラバラにならないように、ボール紙に挟んでおいたら、皮の裏面が密着していたボール紙に今日のテーマの脂が染み移ってしまったものです。これくらい、毛皮の皮の脂は多いという証です。

リフォームをするならば、この無駄な脂を必ず落としてもらってリメイクしてもらうのが本来のリフォームの姿でしょう。手で拭き取るクリーニングや毛皮専門のクリーニングなど意味がありませんから。

長澤祐一

 

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PS.ついでに、ミンクレイヤードのボレロの写真も載せておきます。

チンチラのクリーニング後のリフォーム

今日は前回の記事にあった、有機溶剤で洗ったチンチラコートをロングマフラーに仕上げたビデオです。

二点、リメイクを受けて、一点は少し黄ばみがあり、コートにするのはやめました。内容はビデオを見てもらうしかありませんが、柔らかさと毛の風合いです。

大事なことはビデオで、すべて言いたくないことまで言ってますので、書く事はほとんどないのです。

チンチラは場合によっては、新しいバンドルでも、劣化のあるものが、たまに混じります。そんなこともあり、リフォーム品のほとんどが劣化してると言って過言ではないのです。 (さらに…)

毛皮のリフォーム とクリーニング | オガドラムの効果

毛皮のリフォーム前のクリーニング「オガドラムの効果」について書いてみました。毛皮のリフォーム前に、弊社アトリエでは、徹底したクリーニングをしていますが、そのなかで一番大事な脂を抜く作業があります。

脂を抜くことの意味については、何度も書いているので他の記事を読んでもらえればよいのですが、今日はその脂を抜く作業のなかで、ひとつ大きな問題があることを書いてみます。

溶剤を使って皮の脂分を抜く工程は皮、毛、ともに溶剤に漬け込みます。そこで、溶剤に脂を溶け出させるのですが、あまり長時間つけすぎると脂が落ちすぎてしまい皮にとっては危険な状態になります。

しかし、中途半場に溶剤からだしてしまうと、液に溶けだした脂が毛全体についてしまいます。これは専門の業者さんにやっていただいたとしても、起こり得ることです。溶剤から取り出すタイミングや溶剤の量などに、微妙な感覚が必要だということが解ります。 (さらに…)

毛皮リフォームのシステム化の難しさ


弊社も点数が多くはありませんが毛皮リフォームを承っております。

以前も書きましたが、アトリエの場合はほとんどがオーダーと同じ仕様で作っていきます。当然そうすると、オーダー、リフォームと合わせていくとデザインやパターンはどんどん増えることになります。

そうすると、当然、効率を考えたくなる訳です。デザイン、サイズ、体型別に・・というようにいくつかのカテゴリーに分けて整理して、いくつかの定番をつくり、それに沿って、お勧めしていくという、いわゆるシステム化ということになるのでしょうか。 (さらに…)

リフォーム品 | 保管の仕方考

今日はリフォーム品を承るにあたっての縫製以外での注意点を書いてみます。リフォーム品には多かれ少なかれ、毛皮にはほこりや汚れ以外に、香水、カビ、場合によってはダニなども付着している場合が多くみられます。コートから裏地や芯を外しているときにも、よく私たちの手や身体にかゆみがでることもあり、個々のお預かり品ごとに、かなり慎重な取り扱いをしなければなりません。コートを預かっている期間または加工期間は、常に他のお客様のお預かり品と触れることのないように厳重にカバーを幾重にもかぶせます。

その理由は、預かったコートには香水やカビ、さらには樟脳(きものなどを虫やカビからまもる薬)などの匂いが混ざり合って、とてもきつい匂いになっている場合が多く、隣同士にハンガー掛けしていると確実に匂い、その他のものも移ります。カビ等が一旦移ったら、まず取れないと思って良いでしょう。ですから要注意品は特に厳重な保管が必要になります。

アトリエでは全体をほどいて毛皮と裏地が外された後に、必ずドラムという毛皮の毛を落としたり柔らかくしたりする機械にオガと脱脂溶剤、さらに消臭剤を入れて余分な脂や汚れ、ほこり、匂い、さらに出来る限りのカビやダニ等の駆除を行います。

この記事を読まれて、同じことをされる方がいるかも知れませんので、念のためお伝えいたしますが、消臭剤は液体で水(H2O)を含んでいて、劣化しかけた毛皮の皮のタンパク質をその水分によってさらに劣化させることもありますので、ご注意ください。

基本的にはクリーニング用のオガには消臭効果もありますので皮の劣化状態を見ながら、消臭剤を追加するかどうかは決めるべきでしょう。

このようにして、一着ごとに一般的なクリーニング屋さんでやるパウダークリーニングと言われるもの以上のクリーニングをしていきます。そうしなければただ形が変わっただけのリフォームになってしまいます。もちろん、オガも通常の毛とりのときは再利用しますが、クリーニングの場合は都度、新しいオガでクリーニングします。余談ですが、パウダークリーニングしたコートのほとんどが裏地とコートの裾の隙間や袖口などにオガが入った状態になっています。おそらくオガドラムに入れて最終仕上げの段階でオガを落とし、さらにポケット等の中のオガを掃除機等で吸い取るのでしょうが、コートの中に入り込んでしまったオガは取りきれていません。時には裾や袖口に一杯入っているときがあります。

そういう意味ではリフォームの時以外に、徹底したクリーニングと皮のメンテナンスをする機会はないのです。よく裏地交換をする場合もありますが、あれはあくまで裏地のみを交換するだけで、芯を外して軽いものに付け替えるということはしませんので、結果としては完璧なクリーニングができる条件にはなりません。

そして、このクリーニング処理はリフォームが決定してお預かりした段階ですぐにやります。そうしないと保管期間に他のコート同士が触れ合い、匂いやカビ、ダニ等が他のお客様のコートに移るのを防ぐことができません。

あと、やれることがあるとすると、よく布団乾燥機のカバーのようなものがありますが、あの中で高温状態でダニ等を殺すことです。

しかし、やれるだけのことをやっても、100%取れるとは限りません。匂いなどは毛の表面はとれますが、毛の奥や皮のなかに染み付いたものは完全に取りきることができません。オガドラムをかけた直後は良いのですが、時間の経過とともに空気中の水分などと混ざり合い、匂いが出てきます。それでもやらないよりは格段に違いがあります。元の匂いのきつさはほぼ取れると私は考えています。

このように、リフォームをするには、小物クラスのリメイクならば問題がないでしょうが、着用するものに再度作り替えるならば、毛や皮の状態を出来るだけ綺麗な状態に戻す必要があるでしょう。

そして、毛以上に注意しなければならないのは皮に入っている脂の状態です。少なくて、このまま放置すれば、間違いなくパリパリと紙のように劣化していく皮か、もしくは脂が入り過ぎていて、そのため空気中の湿気を吸収してしまい、皮のタンパク質を壊し劣化が進むのかをよくチェックして脂を抜くのか足すのかを都度考えなければなりません。

毛についてもただオガドラムをかけただけでは本来の美しさにはなりません。毛の癖や縮れをとったり、スチームで毛のボリュームを出したり、汚れた髪の毛が生え際で束になってしまうような状態が毛皮にも起こりますので回転アイロンで毛の根元からサラサラにしたり、つや出しの薬品を場合によっては使うなど、やることはたくさんあります。

一般的にはお客様との打ち合わせではデザインや作り方に話が集中しがちですが、リフォーム品としてお預かりし、仕上がり品になるまでには、目には見えませんが、メーカーとしてやらなければならないことがたくさんあります。そして、この難しいリフォーム品の保管は社内から一歩も外に出さないことが条件になります。その理由は、外注加工にでれば、社内アトリエと同じ保管条件を求めるのは難しいからです。

写真は皮の脂が黄色く変色してきたものを半分カットして、脱脂をしたものをもう一度縫い合わせたコートです。写真は触ってみることが出来ないのでわかりませんが、皮の柔らかさも違います。脱脂していない黄色い皮は表面に湿気が残り、硬さもあります。ただし、全てのコートで脱脂すれば良いということではありません。中にはドライ(脱脂)をしたあとはすごく柔らかいのに、加工段階で硬さや劣化が出てしまうことがありますので皮をよくチェックする必要があります。

長澤

 

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リフォームにおける刈毛加工(シェアード加工)の問題点

先日、コメントにリフォームの問い合わせがありました。お問い合わせありがとうございます。メールにて返信いたしましたが、メールが拒否されており受け取っていただけない状態にあります。お問い合わせにつきましては出来る限りメールにて、弊社の解る範囲で回答をしております。そのためどうかメール受け取れる状態にて、再度、お問い合わせいただきますようお願い申し上げます。

今回はメールが受け取っていただけないので、当ブログにて掲載できる内容のみを出来るだけ詳細にお答えしてみます。

さて、今回のお問い合わせ内容は

「毛皮マントコート 着丈83センチ 裾一周270 シェアード加工して頂いたら、おいくらですか?」

でした。この問い合わせ内容で、今出来るだけの回答をしてみます。お問い合わせ内容に素材名が書いてありませんので、とりあえず素材はミンクであろうということを前提に回答いたします。

結論から申し上げますと、あまり、お勧めは出来ません。

理由:

刈毛加工をするために一度、裏地、全ての付属を外し、さらにコートもパーツごとにばらし、身頃、袖、エリ等全てのパーツ状態にし、さらにダーツ等もほどき全てのパーツを平らな状態にしないと刈毛加工ができません。

さらに刈毛加工段階でそれぞれのパーツの細い角の部分などはちぎれてしまい毛が短くカットされてしまうことが多いために、角の部分のすべでをレザー等を縫い付けて角の状態をなくさなくてはなりません。そのため、デザイン替えの刈毛加工よりも手間がかかり、その分加工賃も割り増しになります。現状維持のデザインのままでは元に100%戻すのは、以外に難しいのです。

それと、加工賃も一度全て、バラバラにしたものをもう一度形にしていくので手間は最初から作るのとほぼ同じ手間がかかり、一般的には高額になりがちです。金額はここはブログ記事ですので触れませんが、見た目の変化よりも高くつくケースが多いと思います。結果的に刈毛加工しかしていないにも関わらず、高額になるため仕上がりと価格のバランスがとれず、あまり現実にビジネスにはなっていないように思います。

ですから、一般的には料金は上がりますが、デザインを新しくするか、もしくは表生地の中にライナーとして刈毛した毛皮を使うというリメイク的な受注になることが多く見受けられます。そのため、最近はリフォームの業者さんも刈毛加工は料金表からも消えているケースが多く、刈毛して、そのままのデザインに戻すことはほとんどないように思います。

そして、刈毛加工そのものに、問題が多く含まれることもあり、おそらくクレームやトラブルが多過ぎて、メニューから除外されてしまったのだと思います。

仕上がりについて少しコメントします。

一般的には刺し毛のついたミンクを刈ることによって、中の綿毛の色がハッキリしてきますので、最初に作る技術者がよほど、綺麗に色を合わせていない限り、なかなか色が綺麗に仕上がりません。刈り上がった状態を見ると8割はそのままでは使うことができません。毛皮をほどき並べ替えたりしないと綺麗にならず、そのままのデザインに戻すことは不可能に近い状態になります。

当社は、リフォームが専門ではなく、お客様やお取り組み先様へのサービスの一環としてリフォーム、リメイクをしておりますので点数は多くはありませんが、私の経験上では刈毛して、そのままの使えるほど綺麗なものは、これまででも、3点くらいなものです。もちろん、どのレベルを基準にするかということもありますが、私の基準では数点でした。もちろん、値段が高いものが良いかというとそういう訳ではありません。あくまでそのときに使われたバンドル(毛皮の束)の色が揃っていたとか、作られた職人さんの技術が高かったとかいうことが仕上がりに一番影響を与えます。

余談になりますが先日も、毛皮業界では有名なビスカルディというブランドがあり、そのミンクコートのリメイクをしましたが、もとの価格が高額なこともあり毛質は素晴らしいものでしたが、色は刈ったら駄目だろうなというようなレベルでした。幸い、刈るリメイクではなく、素材はそのまま生かすというリメイクでしたので大きな問題もなく綺麗に仕上がりました。要は買った値段が高かった、イコール、刈毛してもOKにはなりません。

そんなこともあり、一般的には表の毛皮としては使うことが出来ずに仕方なく中のライナーとして使うことが多かったのだと思います。

さらに、一般的な刈毛の加工したコートは毛流れが逆毛で作られていて、そのために黒であれば、漆黒の黒というように深みのある黒になります。毛の向きが見る方向や光の方向に対して向いているので光を反射せず色に深みをもたせます。しかし、お客様のケープが万が一、普通の並毛(上から下に流れる)で作られているものならば、一般の商品とは毛の流れが逆になりますので、毛の反射があり、黒でも白っぽくみえるようになります。ですから、写真でみている刈毛のコートと同じようにはみえないのが現実です。

マントの加工方法がレットアウトという細かくカットして縫い合わせているものであれば、縫い目のラインが刈毛することによってはっきり見えてきます。これも、マイナス要因の一つです。

さらにリフォームの場合はカットの毛の長さですが通常は7~8mmくらいで刈ります。理由はすでに縫い目があるのであまり短くすると縫い目がしっかり縫えていない場合、粗が見えてしまいます。商品は一般的には最近は短くなる傾向で当社では6mmくらいです。ただし、リフォームの場合は、メスのミンク等、毛のもともと短いものは頭の毛の短い部分につきましては刺し毛が刈り切れず少し残ってしまいますので、これも問題の一つです。

以上が、すでに商品化されたコートを刈毛するということでの一般的は問題点です。今回のお問い合わせにあたり、他社のサイトもいくつか見ましたが、刈毛のみをしてデザインはそのままに戻すという加工方法での料金表は見当たりませんでした。

上記のいくつかの理由で、仕上がりの割にはお値段が高くつきますので、今回の加工は私どもではお勧めはいたしません。万が一やるというところがあるかもしれませんが、私が書いたいくつかの問題点を業者さんにぶつけてみてください。まともに回答できないところでしたら、その業者さんはお勧めはできません。

お勧めできるとしたら、プラクト(抜き毛加工)でしょう。今のデザインが気に入っていらっしゃるのであれば、形はそのままで刺し毛だけ抜くことができます。価格もおそらく刈毛するよりは安く済むはずです。その理由はプラクトは全て手作業でコートそのままの状態でできるからです。裏地を外したり毛皮をばらしたりすることなくできます。ただし、上の文でご説明させていただきましたが、色については加工前によくチェックしてもらう必要があります。刈毛よりはチェックは甘くしても少しは大丈夫です。これにつきましては説明が長くなりますので省きます。

ひとつ、注意しなければならないのは、マントのミンクのタイプがヨーロッパのものかアメリカタイプのショートナップ(刺し毛と綿毛の長さの差が少ない)のものとではプラクトの手間が大きく違いますので価格も違います。さらに付け加えるならば、アメリカンタイプの綺麗なみんくであればカットしたりプラクトしたりすることはお勧めしません。理由は刺し毛のついたミンクそのものに大きな価値があるからです。

一応、今回のお問い合わせで回答出来るのはここが限界でございます。これで、解らないところがございましたら、再度ご質問頂ければ助かります。何度でも、お答えいたします。次回は写真等がありましたら、もう少し具体的な提案もできるのかもしれませんので是非写真も添付して頂ければと思います。

長澤

追伸:写真は一般的なレットアウト加工したミンクコートを刈毛加工(シェアード加工)をしたものです。これは見てもらうと解りますが、刈ってもとても色がそろっていて綺麗な仕上がりです。このクラスはなかなかありません。これはレットアウトの縫いもしっかりしていて、色合わせも綺麗です。これだけ見ても作った人の技量がわかるコートです。このクラスになると、刈毛以外のどんな加工をしても綺麗に仕上がります。(長澤)

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サファイヤミンクのバッグ & ポーチ (リフォーム)| Sapphire Mink Bag & Pouch

こんにちは、スタッフ服部です。やっと少し秋を感じられるようになってきたような気がします。アトリエもこれからの毛皮シーズンに向けて奮闘中です(^-^)/

さて、今日はバッグのリフォームのご紹介です。お手持ちのコートをリフォームした際に余った毛皮でバッグと小さなポーチを作りたいというご希望でした。

バッグはミニサイズのボストンバッグのようなデザインで、ファスナーの位置を下げ口が大きく開くようになっておりますので小さいながらも使いやすい仕様に仕上がっていると思います。持ち手は組紐をご希望でしたので、毛皮の色に合うものを探しました。

毛皮と異素材の組み合わせを行うことはよくある事ですが、ナチュラルの毛皮と同系色で違和感の無い色合わせを行うことは意外にも難しいことがあります。黒・茶・グレー。。。等と一言で表すことは簡単ですが、実際には毛皮と付属として使用する素材の両方に赤み・青み・黄みなどの色の違いがあります。

それぞれの素材を組み合わせた時に、違和感なく仕上がるようにすることは簡単ではありません。今回も何色もの紐の中から3色の紐に絞込み、最後の持ち手を取り付ける段階で最終的に全体の色のバランスを見て選び抜いております。

最終的には淡いシャンパンゴールドの組紐にし、毛皮をメインにしながらオシャレ感のある組み合わせになったと思います。また、組紐を合わせることで和装にも洋装にも合うバッグとなり、コーディネートも合わせやすいバッグに仕上がったと思います。

セットでご希望の小さな猫ちゃんポーチはカットビーズでお顔とし、ヒゲも取り付けました(=‘x‘=)こういったお顔付きのポーチは初めてのお作りでしたが、可愛い表情に仕上がりました。

リフォーム等の際に毛皮が意外にも沢山残ってしまった場合にはこういった小物を考えてみると、更に冬のお洒落が楽しくなるかもしれませんね(*´▽`)ノ☆

服部

サファイヤミンクのバッグ&ポーチ(リフォーム)| sapphire mink Bag & pouch

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ダウンコートの袖丈のお直し

こんにちは、スタッフ服部です。今日はちょっと珍しいお直しをしましたので、ご紹介させていただきます(=´∀`)ノ☆

この珍しいお直しとは・・・ダウンコートのお袖丈つめです!!毛皮のコートの袖丈のお直しはよくある事ですが、今回は一般的な生地のダウンコート(襟とカフスに毛皮付き)でしたのでアトリエとしても初の試みでした(^^;)しかも、袖に飾りベルトのあるデザインの為に(ベルトはそのまま残したいというご希望でした)どのように直せば良いものか…非常に悩まされました。

悩んで・・・考えた結果、一番下のフェザーの入っている縫い目と縫い目の間で生地を切り、必要な長さを縮めた状態で再び縫い合わせるという方法をとることにしました。この方法なら一番下のカマボコ状の幅は狭くなりますが、カフスのすぐ上で目立ちにくく、ベルトもそのままに残すことができます。

このような袖丈や着丈のお直しで生地にハサミを入れる瞬間は毎回とても緊張します。・・・生地は切ってしまったら元には戻りませんので((((;゚Д゚))))ドキドキ

更に今回はハサミで切ったところから次々にフワフワとフェザーが出てくる出てくる(T ^ T)ノ゜。・゚・゜。想像以上にフェザーが出てきて、あっちこっちにフワフワしている様子は一足早く雪の中で作業をしているような気分です(笑)このフェザーも飛んでいってしまわないようにそぉ~っと集めて袋へ一時保護をし、縫い合わせる時にまたそぉ~っと中に詰めながら縫いました(^_^;)

慎重に作業を進めたので、仕上がりは十分綺麗に仕上がったと思います。長さを縮めた分、ベルト上のカマボコ部分が狭くはなっていますが一度抜けたフェザーもしっかり詰めてあり、まさか出来上がっているダウンコートの袖を切って直したなんて思えないのではないでしょうか?

通常であれば、なかなか手をかけることなどないダウンコートですので、今回のお直しはとても慎重に・気配りが必要なものでしたが非常に貴重な経験になりました。

服部

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年月の経った毛や皮のケア

実際に年月の経った毛や皮のケアをするということは大変難しいことです。原料から製品になり、リフォームされるまでの毛皮にはひとつの歴史が存在します。

購入した時は、毎日のように着用していたのが出番が減りながら、やがて長い間タンスの中で眠った存在になっていたもの。またはお気に入りのワードローブ、冬の必須アイテムとして毎年、湿ったタンスと乾いた冬の外気の行き来を繰り返してきたもの。

毛皮自体を再び良い状態に戻し、美しさ・やわらかさを持った新しいデザインに生まれ変わらせるために、私は今までに、毛皮の毛を洗い仕上げるためにいろんな薬品を試しました。毛皮業界で使われているものや、業界と関係なく販売されている様々なものを使ってみました。

結果としては、女性向けの髪のお手入れ用品の中に優秀な仕上げ剤が多い事がわかりました。業界内で使う薬品の成分まではわかりませんが・・・匂いや使った結果から見るとほぼ同じものだと思います。

私はずっとリフォームにはデザインはもちろんなのですが、毛皮の美しさの大元の毛そのものや、それを支える皮にも充分なケアが重要だと考え、再びその美しさを取り戻せるように思考錯誤してきました。

無意識にですが、リフォームと一般の製品やオーダー品とを分けることはしないでやってきました。それは、毛皮の為でもあり、お客様の為になることだと思っています。

このように考える中で、私には「お客様のものをお作りし直すということではオーダー品と変わりない位置づけになるの事がリフォームのあり方(位置づけ)」いうことを改めて実感しています。

長澤

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