インスタグラムでよくある毛皮技術者が陥る罠

よく、インスタグラムなどで技術者が例えばカットやミシンワークでより早く作業をして他人よりも優れた自分を見せつけようとスピーディーな作業をしている動画がたくさんあります。

不思議ですが、ヨーロッパ系の技術者にはときどきありますが、基本的には速さを自慢するような動画はほとんどないのです。

私も作業が遅い方ではないですが、中国の技術者の速さとは違います。中国のひとたちの速さと正確さと美しさが一致すればよいのですが、なかなかそうはいきません。

いつか、中国の方たちがスピードではなく仕上がりの正確さや仕上がりの美しさに注目し出したら、かなり危険だろうなと感じます。しかし、今のところ国民性なのかわかりませんが、私と同じ考えにはなりそうもないのです。韓国のアカウントさんも同じようにスピードを競うような場面がありますね。

できるだけ原皮を少なく使ってどこよりも早く作り安く売る。

大事なことかもしれないんです。でも、ちょっと待ってください。毛皮ってそんなアイテムですか?

工業製品のように、より一律に作れて安くたくさん作れるところが良いとされますか?

正解は私は解りませんが、それが正解でないということだけは解ります。

もちろん、オリンピックとかがあるように、より早くつくることは大事かもしれませんが、より美しく作るということも採点の基準になっていますね。

ファーの魅力を知らない人、新しいファンの人達にも感じてもらえるような作品作りも速さとともに大事なことです。

今日は、怒られそうなことを書きました💦 でも真実にかなり近いですよ。

長澤祐一

リンクスキャットのベリーという嘘

最近、ファーのなかでも超高額品のリンクスキャットのベリーという記載でフリーマーケットのようなところに出品されています。

ベリーとは、例えばリンクスキャットのような素材でいえば、腹の白い部分のことを指しています。

しかし、白ければいいのかというわけではありません。私たちプロがベリーというには、いくつか条件が付きます。

リンクスキャットの腹の白い部分の斑点模様は規則性があります。本来はこの自然な状態が一番価値があり綺麗です。

ここで、フリーマーケットによく出品されている悪い例を書いてみます。

先に書きましたが、腹の薄い綺麗な腑の部分ではなく皮が少し厚く、ベリーと言われるコートを作ってわずかに残った部分を集めて小さなパーツを中国やギリシャ等で接ぎ合せたようなものを使ってベリーと称して売られている本来のベリーではないものがあります。もちろん、海外の本当のプロは解ります。

しかし、フリーマーケット等で買おうとしていらっしゃるお客様はほとんどが素人の方ですので、そんなことは解りません。現物もベリーはとても、軽いのですが、偽ベリーは実際は重かったりします。

ここに何度も書いていますが、元価格が3000万とかでその1/10なんて偽物か、なにかわけがあるかしかありえないのです。

よく、リンクスキャットの超ロングとかになると、着丈の長さを出すためにレットアウトという加工をします。技術者によって着丈を少しだけ伸ばすためならば、腑の模様が崩れないように腑を避けてカットしてずらすという手法もとる場合がありますが、超ロングコートとなるとそれも難しく、腑をカットしないわけにはいかず、カットして長さを出すしかないのですが、それでも、元々の腑が規則正しのをカットしますので、白い残皮の部分を細かく継ぎ足したものとはまったく別のものなのです。

自分は、その継ぎ足したベリーが悪いとは言っていません。悪いのは本来ベリーとは腹の薄い軽い部分で白いところをベリーと呼んでいるにも関わらず、小さな端切れを集めて作ったプレートから作った決して軽いとは言えないものをベリーと謳い、本当のことを偽って販売することには、それはおかしいだろう、と感じます。フリーマーケットで販売する側も素人ですから、それはしょうがないと思うかもしれませんが、何百万もするものを売るならば、フリーマーケットであっても、売る側がもっと勉強をする必要があると感じます。

リンクスキャットの腹の部分の模様を少しだけ説明しますね。

リンクスキャットの腹の部分は、首の部分は白い毛が広い範囲であり、その周りに茶色い腑がちりばめられています。

そのあごや首の下には、小さな茶色い腑が中心部分に点線を描くように続きます。

最大の特徴は、この中心の点線の横に左右対称に大き目のスポット(腑)が斜めに二個セットで存在し、それをお尻付近まで繰り返します。

最後はお尻というかおなかの最後の部分で白い部分が大きくひろがり、両端に小さな腑が出ます。

ここは腑が小さく皮も厚くなり、はぎ落されカットされた残皮としてよく使われます。

リンクスキャットの腹の部分は基本的にはほぼすべての原皮がこうなっています。

画像が完璧なものがあれば良いのですが天然素材のためないのですが、傾向としては上で解説したようにほとんどのリンクスキャットの腹の模様は出来ています。

上の画像は、リンクスキャットの裏面からみた画像です。

本来は、裏側も真っ白ですが、時々加工するために水に濡らすと、こんな風に腑が浮き出て見えることがあります。

この画像をよく見ると中心に小さめのスポットが真っすぐ並んでいるのが解りますね。

さらにその中心の両脇にほぼ規則正しく腑がならんでいます。

赤〇で囲んである部分です。左側は〇をつけてませんが、完璧な左右対称ではないですが、ほぼ同じように存在します。

そして、その両サイドにはっきりとしたスポットで二個ずつ斜めに出ています。

それ以外にも多少ぼやけた腑が見えますが、基本的には中心部分とその両サイドに斜めに二個ずつ並ぶのが定番の腑です。

下は私のインスタグラムに投稿した画像ですが、上で記載した規則性を意識してみてもらうと、その規則性が確認できます。もちろんすべて同じではないですが、逆にそのばらつきが自然の美として存在しています。

一見ランダムに出ているように見える腑ですが実際には規則的に並んでいます。これを知っていれば、ベリーと言われているその画像が本当かどうかが、おおよそ見当がつくのです。

実際のコートで見るとなかなか見分けるのが難しいですが、上の法則を知っていると多少は騙されにくいかもしれません。

もちろん騙されてもいいと思う人はそれでよいのです。このブログでは難しい毛皮素材のなかで騙されて実際の価格と本来の価値に違いがあり、それを知らずに買ってしまうようなことがないように書いています。

ですから、それっぽいものをそれなりの価格で購入したいというお客様もいらっしゃいますので、それはそれで良いのです。ただ、販売する側が無知なため、または知ってても隠して販売するというようなことで、本当の価値を知らずに買ってしまうようなことがないようにと書いています。 知らずに間違って買ってしまって許せる金額ではありませんから。 長澤

二人でいる意味 二人がいる価値

今日は分かりにくいテーマですね。

二人とは、私と当社デザイナー(家内)です。

先日もあったことですが、お客様とラインや電話でやり取りして、お客様から良い反応をもらいます。

ここで、よくあるのが、、私にとっては楽に進むことができるお客様からの提案でしたが、それでも家内からは、一般的にはこうだ、、または、こっちのほうがお客様には良い、、と考える場合があり、ほぼお客様からは良い感触の意見をもらっているのに、それでも、念のために伝えるべき情報として伝えます。

私にとっては作業しやすい方向に進んでいるので、私一人なら、さらに私が知りえない、女性ならではの意見であればそのままスルーしてしまうところです。

そして私のなかでは、ついこのまま楽にスムーズに作業が進むと思うと、なかなか新たな提案は、私であっても難しいものです。

しかし、デザイナーも一歩も引きませんので、結果、振出に戻ることもあるのです。しかし、それはお客様にとっては利益になることが多く、決して、お客様が良いといったからそれでよいというわけにはいきません。

他社さんがどうかは分かりませんが、私達技術職にとって目指す仕上がりの方向が楽だと判断した瞬間に余計なことは言わなくなるものです。誰しも楽な仕事を仕上がりよりも優先させてしまう場合があります。

もちろん二人が楽な方向を選択してしまうケースもありますが、当社での打ち合わせは、お客様がいないところでも戦うというか、話し合います。

それが、パショーネの高いレベルをキープする大きな要因となっています。

これは出来そうでなかなかできません。

もちろん、作りの部分で私が手を抜くことはありませんが、デザイン的なことで考えると楽に作業が進む場合と苦しむ場合があります。そのときに知らず知らずのうちに自分の楽な方向を期待してしまいますが、デザイナーがしっかりしていれば、作りの効率よりもデザイン効果が優先になるのです。

今日のテーマの、二人でいる意味、二人がいる価値、、とはそのことです。

つい、効率が優先されがちですが、どんなにファッションを知っていて、ご自分のことを知っていらっしゃるお客様でも、プロではありません。決定する場合に、一般的には、、とか、本来は、、こうです、、とかいうことが意外に大事だったりします。

それともうひとつ当社デザイナーがやることは、お客様を緊張させないということです。簡単そうですが難しいことです。わたしなど自分が緊張してしまって、お客様に緊張させないことなど忘れてしまいます。いつも思いますがさすがなのです。アトリエや三越本店で接客させていただいたことのあるお客様はきっとご理解いただけているかと思います。

川越まで、なかなか遠くてご来店いただけないですが、決して無駄な時間にはなりません。一度相談してみたいなと思っているお客様がいらっしゃったら是非、お声がけくださいませ。

長澤祐一

東レacs3Dは使える道具

3Dシミュレーションというと、きわめて現実に近いものを表現する、、、そんなイメージが強いですね。

最近使いながら思うのです。東レACSさんの3Dの地味な凄さをです。

これまで何回か書いてますが今日は書ききれていない分を補足します。

きっと興味のない人にはつまらないかもしれません。

しかしです。すごいです。

良くあることですが、出来上がったパターンを何度も修正しても、なんか上手く行かないことがあります。

そんな時に初めに戻ってエリとかを外して身頃だけ、しかもかなり原型に近いところまで戻ってチェックします。

そして少しずつ違和感のある部分を修正していきます。

その後、エリとかを付けて確認します。

そうすると、何故か全体のバランスがとても落ち着きます。

私のように洋服全般、ファッション全般を知らなくても、基本的なラインを3Dボディに着せ付けて、理屈はわかりませんが気持ちのよい雰囲気に仕上げます。

もちろん、ボディの肩からどのくらい離れると実際のフィッテングにマッチするかなど経験は要るかもしれません。

しかし、真剣に取り組めば必ず自分の向かう方向に導いてくれます。

そしてシンプルに原型に近いところまで戻って身頃を確認し、そのうえでディテールを付けていくと、綺麗にフィットするというか落ち着きます。

何度やっても上手く行かずに、一度原型に近い、もちろん原型ではありませんよ、あくまでディテールをなくしてという意味ですが、そこに戻って修正できると凄くたすかります。と簡単にいいますが、これを現実にやるとなると、相当の時間やトワルを組み立てる時間がかかります。それがないのです。凄くないですか?もちろん時間はかかりますがトワルを組む時間を考えたら微々たるものです。

これまでどれだけ、時間やトワルを無駄に使ってきたかと思うと、凄いことです。

例えばですが、気になった個所がトワルにあっても、どれだけやり直しが出来てましたか?

やり直せば確実に何時間もかかります。もしかして、なにも問題がなかったという結果も想像できます。そんなときに、もう一度修正をしてトワルを組み直そうという勇気が持てますか?

今回はいいや、時間がないから諦めよう、、、と思う局面が何度もありませんでしたか?

でも、このソフトでは諦めず再度点検してみようと思えるのです。

もちろん時間がゼロではありません。経験もひつようです。

それでも、以前よりも、どうしようか?やり直そうか、このまま先へ進むのか、と迷う時間、、、そんな無駄に迷う時間はなくなりました。

実際にトワルでやる再チェックは一回で終わらない可能性もあります。再チェックが駄目だと、ここまで使った時間とこれからやり直す時間を考えると呆然となります。

それがソフト上でほぼ解決できるのですからすごいです。

これまで私がやった仕事では、このソフトを使った成功率はかなり高いです。仕事に安定感が生まれました。

動画で芸術的に見せる、魅せる ソフトとは違います。

しかし、パタンナーがチェックしたい部分を的確に表現してくれます。

一旦チェックしたものの完成度、落ち着き感はすごいものがあります。

ただし、これまでの常識は捨てなければと考えます。

いろんな意味で、3Dに合った考え方を自分から変える必要があります。

生地だったらこうなるのに少しも同じにならない、、、などと言っているうちはいつまで経っても3Dを上手く使いこなせません。

これまでの経験を3Dに合わせていく必要があるのです。

そうすれば、きっと使いこなせます。

まずは、3Dで現れる違和感と現実のトワルで現れる違和感の表現の違いを細かくチェックしていくのです。

そうすれば、必ず3Dにでた違和感が理解でき、実際の生地にでる不具合を調整できます。

生地でドレーピングしたものと3Dとの現れ方の違いを学べばいいのかもしれません。

いずれ東レさんも、こんな場合は3Dではこんな感じに不具合が表現される、、というような指標または見本のようなものがでるのかもしれません。そうなれば素晴らしいですね。

今後の開発に期待しようと思います。  

実物のように正確に表現する3Dとパタンナーが求める3Dは似ているようでまるで違います。

パタンナーは3Dトワルをみて、実際の生地ならこんな感じになると頭の中で変換できるはずです。

ですから、超リアルじゃなくていいんです。リアルであることよりもバランスをチェックするための3Dソフトなはずです。

私は、迷ったとき、悩んだ時は 今回書いたように身頃の原型に近いところまで戻ってチェックします。すると、いままで何かおかしい、、と思ってたところが落ち着きます。パターンがプロではない私がここまで使うことができます。専門家ならもっともっと活かすことができるはずです。

そして、これからという人にも必ず役に立ちます。これからの人は、先に3Dから形を学び、その結果を実物で学ぶというように、私なんかとは逆になるのかもしれません。

私の仕事も、東レACSさんと出会って新しい局面が見えてきています。きっと地味な開発のはずです。煌びやかな3Dに注目が行きがちです。でもすごく大事なことを東レACSさんはやってくれてます。アパレルという土壌をもった組織だからこそ、この地味なソフト開発に力を傾けられるのだろうと感謝しています。

例えばですが、仮に今、この東レacsさんの3Dソフトがなかったら私の仕事の質は、かなり落ちるか時間がかかっていると思います。導入して4年くらい経ちますが、このソフトなしでは大変なことになります。仕事の精度やかける時間が大きくかわり、もう逆戻りなんかできません。一般的なパターンを作成するCADと同じです。また一から線を手引きすることなど考えられません。

最近、ある動画編集ソフト会社さんからレビューを書いてくれないかという依頼がありました。

書くのは仕事ではありませんから、本当に使ってみないと簡単には書けません。あたり前のことですが今日書いているのは自分なりに使ってみての東レACSさんの評価です。機会があったら是非、一度トライしてみてください。

いつもトワルを組んで、上手く行かずに、もう一度パターン修正をして組み直すのか、このまま先へ進むのかと毎回悩んでいる人には本当に使える道具です。サポートもすごくしっかりしてます。

長澤祐一

プロなのに、

ここのところ弁護士、税理士さんに会って相談ごとをする機会がありました。

今日はプロなのに、、という話です。

怒られるかもしれません。私が細かいのかもしれませんが、対応が今ひとつなのです。相談するために資料を先に送っても先に読むこともなく、無駄な時間を使うことや、確認事項を聞いてもネットで調べてすぐに出てくることがわからなかったり、頼んだ相手が悪かったのか、少しも解決しなかったり、わからないことが多く、後からネットで調べて、なんだ簡単に出てくるじゃないか、、、というようなことがほんとに多いのです。

これでプロなのかな?とほんとに思います。

以前、私達の技術職の仕事では出し惜しみができない職種であることを書きました。

各先生方が情報の出し惜しみをしているのかもしれません。しかし、出し惜しみには感じませんでした。明らかに不親切、または能力不足ということが多かったのです。

能力不足や不親切は、ときに害になることもあります。

私達が打ち合わせを大事にする理由は、提案力次第でお客様の望むもの、または望む以上のものが出来上がるからです。

どんなに私が綺麗に作っても、それがお客さまが本来欲しがっているもの、またはお客様の考え以上のものを提案できない限り意味がありません。

もちろん作りは大事なのです。しかし、提案力もそれと同等に価値があります。

私のところはデザイナーとお客様の三人で必ず打ち合わせします。私一人で対応することはありえません。たまたま休みだからなんてこともありません。それくらい三人での打ち合わせが大事だからです。

男性が対応するお店や工場もあるでしょう。でもはっきりいって疑問です。

女性の洋服に対する知識や着用場面、さらにはコーディネート等を考えれば、デザイナーに相当な知識が必要になります。

どんなに男性が勉強しても難しいと私は思います。仮に女性であっても、この提案やアドバイスができるのはほんの一握り、、、いやもっと少ないと思います。叱られるかもしれませんが、当社デザイナー以上は私は知りません。

いいんですよ。自分で判断されて好きなものを買うのは。しかし、ファーの場合、なかなかいろんな場面を想定したり、毛皮の素材感を考慮した提案をすることは簡単ではありません。

今日のテーマのプロなのに、、、最初にでてきた諸先生方のことを考えると、万が一でもこの諸先生方と私達が同じレベルであることなど許されません。

とにかくお客様のためにどうあるべきかを常に考えることが私達が私達である最大の目的です。

まだまだ、ほんとうに足りないと感じます。時間は以前よりもあるはずなのに、まだまだやりたいこと、、お客様にして差し上げたいことが完全ではないのです。

この記事をどんな方が読むのかはわかりません。しかし、何かしらの仕事をしているならプロとしてどうあるべきかを考えてみてください。

私達が生き残ってきたのは、私の絶え間ない技術開発もひとつですが、当社デザイナーのお客様に寄り添った考え方と提案力、これが全てです。仕事さえしてればプロであるという意見もあるでしょう。

しかし、そのプロではありません。プロらしくありたいのです。

本当にプロであり続けることは難しいです。  長澤

たった一回のこと

投稿間隔が短いですが、書けない時期が続いたので書けるときにはアップしておこうと思います。

昨年、ホームページをリニューアルしました。その時にどんなホームページにしようかととても迷ったのです。

自己紹介を載せることを家内が要望を出し、業者さんへ依頼したのです。

ところがです。業者さんがいうには、何か業界で賞をとったとかがあればと言われたのです。まっ、ここはすぐ誤解が解けたのですが、何か賞でもとらないと自己紹介も書けないものかと、その時には思ったのです。

そんなことはないはずです。自分なりの紹介コメントやページにすればよいはずです。特に自分を膨らませることもなにもなく当たり前のことを書けば良いはずです。

そう思いながらいろんなところを見てみました。以前から知っていたところも含めて再度確認をしたのです。

そんな中で良く目にしたのは内容は書きませんが、自分を大きく見せることばかりが羅列してあり、これでは逆効果では?と思うものが結構ありました。

自分をよく知ってもらうことは大事です。しかし、必要以上に大きく見せようとする記載がときどき見受けられました。

実は、私が昨年グーグルのリスティング広告を初めてやってみたのですが、その時にも、特に業者さんにクレームはつけませんでしたが、職人歴30年の技術者と謳われたのに冷や汗をかきました。

他のホームページでも職人歴45年だとか書いてあるところもたくさんあり、よくありがちなキャッチフレーズでした。

私達の仕事が業歴が長ければよい商品が作れるなら良いのですが、毛皮の業界にあっては業歴の長さと商品の良さとは比例しません。もちろん業歴で言えば40年くらいはやっているわけで、それでこんなものかと思うと、とても業歴の長さなど書けません。

以前、驚いたことがありますが、そこそこ有名なデザイナーさんが、某国内有名ブランドに在籍していたことを書いて、某国内有名ブランドさんから裁判を起こされ、結果は負けなかったようなのです。

しかし、負けなかったとは言え、事実を知れば結構恥ずかしい話です。某ブランドへ在籍していた期間は2~3ヵ月だったと聞きます。たかだか2ヵ月程度の在籍でそのことを自分の略歴として謳うのであれば、それじゃ訴えられても無理はないかな、、、とも思います。

ちなみにその某デザイナーさんが、私達と一緒に某有名百貨店の毛皮の展示会に出たことが一度ありました。そのたった一回出たことを会社業歴プロフィール欄に大きく書いてあるのです。

今日のタイトルの たった一回のこと というのは、このことです。

私のところなんか恥ずかしながら、某百貨店に20年在籍して辞めてから、やっとのことで業歴として記載させてもらったところです。これだって散々悩みました。

そんなことを知ると、そのデザイナーのホームページに記載してあるたくさんのことが、なんか薄っぺらく感じてしまいます。

ただ、知らないユーザーからみるとすごいな~ということになるのでしょうね。

しかし、そんなところに惹かれてしまうような方は、私達の顧客にはなりません。

よく、雑誌掲載記事もたくさん載せているところもありますね。

すべてがそうではないと信じたいですが、私もブログを始めたばかりの10年くらい前ですが、結構たくさんの取材の申し込みがありました。知っている人もいらっしゃると思いますが、その大半が取材といっても、お金を取って記事を掲載するというパターンが多く、そのなかにはそこそこの有名人がきて取材します。そのかわりお金がかかります、、、というのもあり、取材という名目の相手にとって都合のよいビジネスなのです。

私のところが他と同じようにやることは残念ながらありません。

そんなことをしたら、せっかくの商品力が薄っぺらくなってしまいます。必要なことは伝えますが、余計なことを伝えて商品の価値をわざわざ、落とそうとは思いません。

しかし、ぱっと見のインパクトというか、そんなものにもつい頼りたくなるというのも本音です。今現在はネット上でも、これまでにない本当の信頼関係を築けるようにと考え模索しています。

それにしても、ネットで商品や自分を表現するのは難しいと感じます。

長澤祐一

東レacsさん CAD 3d の凄さ

今日はCADとアパレルCADと関連した3Dソフトということについて書いてみます。

もともと今使っている島精機のCADとCGを導入したのは多分20年前くらいです。

数年後に機種本体をアップグレードしてWindows2000からWindowsXPにして本体もスペックアップしてパントーンも入り多分100~150万くらいしたと思います。その後は、そのまま使っています。さすがに現在は、他の用途では使えるレベルのパソコンではなく、モニターはナナオに変えましたが、ウィルスソフトは対応していなくなってしまい、ネットワークに繋がずに単体で使用している状態です。

その当時でデジとプロッターも含めて、多分900万前後したような記憶です。もう少し安かったかもしれません。ただ、これ以前のCADとCGの業務用コンピューターは多分2000万以上していた記憶です。丁度私が買ったときに新機種としてSDSONEが出たばかりで思わず購入を決めました。

その当時から3DCADにも興味を持っていて、いくつかのソフト会社さんからも無料で試用させてもらったりしていました。

しかし、その頃の3Dは、やはり使えるというようなレベルではありませんでした。

現在も、その傾向が強いメーカーが多いですが、当時の3Dは、ボディに三角メッシュで出来た生地を単純に着せ付けて、柄を乗せてみたりして、あくまで仕上がりイメージをシミュレーションするものが多く、パターンメイカー(パタンナー)がトワルチェックに使用できるレベルではありませんでした。

4年くらい前に、久しぶりに大きなアパレル機材の見本市にメーカーさんに誘われて行ったのです。

島さんやユカさんをメインに見学しました。

ユカさんもかなり気になっていたのです。

島さんもユカさんも何度も見に行き、今ひとつと考えていたときに東レさんと出会いました。

島さんもユカさんも3Dといってもトワルチェックが出来るような仕組みとは思えませんでしたので、がっかりして展示会場をうろうろしていたのです。

もともと、各社3Dといっても、着せ替え人形のようなものを作っていたのです。私にはそう見えました。どんなにリアルな3Dでもパタンナーが求めるものとは違います。

パタンナーが必要としているトワルチェックが出来るような3Dではありませんでした。

どことは言いませんが、まともにトワルも組めず、アイロンで本来の形も表現出来ずに、どう見てもパタンナーではあり得ないような、酷いトワルを画像にして、これで、3Dでシミュレーションした画像とどうやって比較するの?と思うような酷い内容でしたので、あ~ここは一生続けてもパタンナーが望む3Dは出来ないなと当時は感じたのです。

もう一社も、高額で有名な3Dのソフトを入れて、毎年のソフト更新代が30万、、とかいう話で、なんじゃそりゃ??と思いました。ここも、パタンナーが一般的に使っているボディさえも、その時は3Dボディのデータがないとも言われ、これでは、ただの着せ替えのための3Dで、トワルチェックが出来ないだろうと感じました。

それぞれに大手メーカーでありパソコンもかなり画像処理能力の高いスペックが必要であったりと、価格もそれなりでした。今はコロナがあって、その後大きな見本市があったかどうかは確認できていません。そのため、その後どのくらい進歩したかは不明です。今回は少し否定的な言い方です。ごめんなさい。現在は変わっていればと期待します。

しかし、前回の内容や実際のトワルの画像を見る限りでは、このレベルのトワルと3Dのトワルを見て比較する意味があるのだろうか、しかもそれぞれに優秀な方たちが企画作成に参加したなかでの、この結果は、そもそも元の考え方から違っているようで仕方がありませんでした。

そんながっかりさせられた中で、これまで気に留めることがなかった東レacsさんのブースに何気なく立ち寄り、ひとりの男性の営業さんの話を聞いてみました。

これが素晴らしかったのです。パソコンの能力もグラフィックボードの能力も他のメーカーと比べると、一般的なパソコンの能力で充分に3Dシミュレーションができ、一番すごいと感じたのは、パタンナーが一番どこに時間を取られ、一番早く結果を見たいとおもう、その部分に焦点をあててソフトが開発されていたことです。

他のメーカーにありがちな、パソコンの能力を最大限に使い、いかにリアルな3Dシミュレーションをするかという部分を売りにしたものが多いなか、普通のパソコンで、パタンナーが一番欲しい情報をすぐに得ることが出来るという、パターン作成に特化した3Dソフトになっていて、顧客ボディも作りやすく、やる気さえあれば、こうしたいという本人の求めるものが明確になっていれば、おそらく、多くの時間をかけることなく習得できそうな、そんな画期的なソフトです。

天竺は縦糸と横糸でできていますが、3Dトワルが同じような構造なのか、三角メッシュなのかは解りませんが、着用させるのも無重力を交互に使ったり、軸固定を使ったりすることで、着せ付けも楽になりました。

このブログでもよく書いていますが、他社のホームページやインスタグラムでの商品やトワルの着せ付けた写真が、あまりにも酷いことを書いてきましたが、トワルのボディーへの着せ付けは意外に難しく、パターンそのものが悪く拝むのか、ボディへの着せ付けが悪く拝むのかが意外に素人には解らないものです。

こんなことが、3Dソフトを作っている大手メーカーさんのところでも起こっています。こんなぐちゃぐちゃのアイロンもまともにかかっていない、さらに着せ付けもまともに出来ていないトワルをどうやって3Dトワルと比較するのかと、4年くらい前の見本市でレベルの低さを見せられて愕然としたのを思い出します。

きっと東レacsさんも、まだまだ当分、自分たちに追いつけないと感じていたと思います。

逆に一般的なパソコンの能力が上がってきたことで、これまで若干弱みに映っていた部分(パソコン本体の能力)も今後は追従し、追い越すことも考えていらっしゃるのかと感じています。それくらい今のパソコンの能力が高いと言えます。しかも中級レベルでも充分に動きます。

まさに、パタンナーのためのCADであり3Dソフトと感じます。

今回は私のブログでは珍しくべた褒めですが、本当に優秀なソフトです。

コロナの影響もありサポートも個別対応していただけるようで、以前会社に都度電話をして聞いていたことを考えると、すごく聞きやすくなりました。

さらに価格もとてもリーズナブルです。個々のパタンナーが使うことが出来る価格です。

20年前には、CADを懐疑的に見ていたプロのパタンナーや講師もいらっしゃいました。

手で線を引き、生地でトワルを組んで、、、と それが当たり前の時代で、縫い代付けを何年も修行と称してやったり、それが習得と言われ、寿司屋の職人さんのような感じがしていました。

しかし、極論かもしれませんが、先生方には怒られるかもしれませんが、手で線を引いたり、トワルを裁断したりしない世代が当たり前になる時代も来るのかもしれません。

実物大で線を描き、生地を裁断しないと理解できないという理屈も分かるのです。

しかし、デジタルツールを使うことで何時間もかかって体験する作業が、あっという間に体験できるとすれば、これまで何年もかかって体験してきたことが、より短期間で出来るのです。いずれ使う側はデジタルツールの中の体験を仮想なのか現実のことなのかの区別がつかなくなるのでしょう。それくらいに普段の道具になるはずです。

もともと私が作る毛皮には地の目がなく、場合によっては、どの方向へも伸びもたりします。そんな私の仕事だからかもしれませんが、私自身がほとんど紙ベースでパターン作成をしたことがありません。パターンを勉強し始めたころパターンの学校に行ったときに紙ベースで作業をしたくらいで、その後CADを使い始めてからは、ほとんど紙ベースで作業はしてません。

パソコンの3DやCAD上で、豊富な体験をした新しい世代が生まれるのだろうなと想像しています。

もしかしたら、私が知らないだけで、すでにそうなのかもしれません。

今後のことになりますが、古い入出力機材がシリアル→USB変換で使えるのかが解れば嬉しいです。

以前、パソコンを使いだしたころのことを書いた記事もありますが、その道のプロだったりする人がデジタルなツールに意外に懐疑的であったりしました。実際多かったのです。

おそらく、自分達が築いてきた実績や技術が否定されてしまうような感情があったのかもしれません。しかし、大昔に宇宙のアニメがあり、そのなかでやっていることが、今は現実に出来るような時代です。

デジタルという四文字に込められた意味は幅広く、、そして奥深く感じます。

毛皮という、素朴な素材でも何かしらデジタルツールと関わっていく必要があるはずです。

そんな中で、費用も個人レベルで充分に使えるという東レACSさんのアパレルCADは感心されられます。こんな素晴らしいツールを提供してくれてありがとうという気持ちでいっぱいです。

実際にこの3dCADで作成しだしてからのパターンの安定感は素晴らしいものがあります。

以前は、裾の床上がり(地面からトワルの裾までの距離)は、仮縫い時の着方や姿勢に問題があって発生していることが多いと考えていましたが、3Ⅾで確認して以降は、ほとんど前後や脇の差が無くなりました。

勝手に自分のパターンのせいではなく着方で数値が変化しているのだと決めつけていたのです。

それが目からウロコでした。3Ⅾで確認修正したパターンでは、ほぼ毎回数値が大きく狂うことはありません。仮縫い後の、都度の修正が本当に減りました。

私の仕事のなかでは久しぶりの大ヒットツールです。

今回は以前から書きたかった東レacsさんのことでしたが、支離滅裂な部分もあったかもです。特に読み直しも書き直しもせずにアップ致します。夏が終わったばっかりですが、毛皮のシーズンを目の前にして作業に追われています。おかしな部分があったらごめんなさい。

長澤祐一

適正な価格とは?

今日は、適正な価格とは?というタイトルです。

毎回難しいテーマになりますが、どうしても気になることなので書いてみます。

先日ある動画に適正な価格と謳うものがあり、少し気になりました。

適正な価格とは何でしょうね。その動画では価格が安くなったことを適正と表現していました。

私達も以前、百貨店に在籍していたのですが、百貨店以外にも小売店等に卸している場合には、中間マージンというのが正しいかどうかは別にして、当然ですが販売する側の利益が存在します。

中間マージンをカットするといいますが、そういう言い訳をする側のほとんどが、小売り側がする、おもてなしも含めた多種多様なサービスや保証もかなりの部分でカットしています。

確かに毛皮という素材の商品が、過去も現在も多少、馬鹿げた価格が付いている場合もあります。

しかし、その部分は別にして、適正とは何だろうか?と考えてしまいます。

以前、数回前に価格について書いたことがあります。今回もほぼ同じなのですが、適正とは何だろう?すごく信頼を築けそうな言葉です。

問題はその中身なはずですが、そこには誰も触れません。

百貨店に20年在籍していて分かったことは、百貨店は一般的なネット通販とは大きく違うという点です。

もちろん、ポップアップのようなスポットで平場に出るような業者さんにはわからないことが多いのですが、毛皮サロンに20年もいれば、お客様との関係を繋げるなかでたくさんのことを学びます。

一般的に適正価格という言葉を使う場合に、比較するものがあるはずですが、いつも感じるのが、提供する内容が違うのに単純に価格の比較だけをして自分達は適正だと主張する場合が多くみられます。

例えば毛皮商品の提供であれば、素材は?作りは?購入後のアフターは?とこれ以上に比較すべきたくさんの項目があります。

どんなに安くても、素材や作り、またはデザインが酷ければ適正なんて言えないはずです。そんな言葉がネット上では普通に使われ信用されてしまいます。

それを見抜けないと、信用して粗悪品を買うことになってしまいます。

私は、自分の商品にも他社の商品にも厳しいですが、半額といわれて買っても意味はないなと考えてしまいます。

半額といっても何万もするものです。

大事なのは、全ての内容でそれぞれに価値が決まるのです。

他社商品やサービスと比べる必要も、比べる価値もありません。

適正なんて書いてあると自信がないのかな?と思ってしまいます。

他に、お客様に伝えるべきことがたくさんあるはずです。

長澤祐一

 

 

技術職の技術の出し惜しみと価格

今日は、技術職の技術の出し惜しみと価格 というタイトルです。

今日も難しいテーマです。

出し惜しみというよりも、出し惜しみが出来ない職業だという意味のほうが正しいかもしれません。

 

例えば、価格に応じてやることが変わるということがあります。

私たちのような、物を作る仕事や、それ以外にもたくさんあります。

最初に書いておきますが、価格に応じて、やる仕事のクォリティーがコントロールできる仕事もあります。

しかし、私のような毛皮を作る仕事では、料金が低くても高額であっても、やる作業の内容に差は出にくいのです。

もちろん、作業に見合った料金設定をするのですが、受けた仕事の作業内容が想像以上に難しい場合もありますから。

私は字が下手ですが、字の上手な人が下手に書けないと同じで、わざと下手には作れないものです。

 

よく、いろんな仕事のなかで料金次第でもっと綺麗に作れますという人もいるかもしれません。しかし、自分の手で作るものや、自分の感性で仕事をするような場合には、わざと下手には作れないものです。

 

明かに作業内容が違っていて価格が違う場合には、それもありですが、普通に絵をかいたり、物を作ったりする場合には自分の持っている能力の最大限を出すのが普通です、、というか普通にやっても力のある人は自然に高いレベルの仕事が出来てしまいます。

言い方悪いですが、手抜きをしたつもりでも勝手に高いレベルの作業になるのが普通です。それが力があるという証です。

 

量的な問題で手間がかかるということは理解できます。しかし、一つの仕上がりの質の部分で言えば最初から高いレベルというか質の高い仕事が出来るひとがいて、逆に何度やり直しをしてもらっても出来ない人もいます。

そんなときに、この料金ではな、、、と心のなかで考えるかもしれません。しかし、よく考えてみてください。出来るひとは最初から出来るのです。

相手の望むものを理解して、最初から納得できるものを提供します。

前々回のブログで手間がかかるから儲からない、、という記事を書きましたが、力があれば最初から納得させる結果が出せるはずなのです。

もちろん私がどうかといえば、なかなか一発OKというのは目指してはいますが、なかなか出来ていません。

それでも、例えばデザインやパターンなどでは、結果を見せる前は散々、考えて作業をやり直したりしますが、お客様の前に出すときは完璧な状態で出そうと考えています。

まだまだ、綺麗な字を書く人のように、サラッと綺麗に仕上げることができません。七転八倒しながらです。

そんなときに料金のことなど頭からは消えています。

そして、出した結果に、お客様も自分も納得したときに初めて充実感が味わえます。

たまたま、お客様が喜んでくれる時もあります。しかしそれは自分のちからで出した結果ではありません。単純には喜べません。

それで喜んだら進歩などしませんから。

私達のような仕事では料金次第でやることを変えるということが本来は難しい仕事なのです。

たまに料金を頂ければ、もっと質の高いものを、、、なんてところがありますね。

でも、初回の作業をみれば、仮に金額を出してもどうかな?と思うこともあります。

ほんとうに自分に備わった技術や能力があれば、料金に関係なく綺麗な仕事ができて、技術を持たなければ、高い料金をもらっても、何度やり直しても出来ないものです。

だからこそ、自分の技術がひとの期待に応えられているのかを継続して考えるのです。

再度、読み返し付け加えます。記載にあるように私が出来ているわけではありません。ただひとつ言えることは、誰よりも時間と自分の現在の能力を使い切るまで、一回一回の ”作り” に向き合っているという自負はあります。

シーズンが迫ってきていて、作業に追われていますので、以前のように、また投稿の間が空くかもしれません。すみません。

 

 

長澤祐一

 

仮縫いや本仮縫いの意味

今日は仮縫いや本仮縫いの意味というタイトルです。

私達のオーダーやリフォームでは、トワル仮縫いや本仮縫いを抜きにして、コートを仕上げることなどありません。部分修正にしても、最低限一回は仮縫いをやります。場合によっては二回、三回となることもあります。

その理由は、最短でベストの状態にするためです。その為に膨大な手間をかけるのです。

最短の意味は、出来るだけ余計な修正ややり直しをしないでという意味です。

仮縫いせずに適当に早くやって、クレームが出たら何度でも直せばいいなんて発想は私達には、ありません。

毛皮はナチュラルな素材の場合は特に、毛の長さや色が頭や背中心、腹など、それぞれに違います。

だからこれほどまでに立体感があって平面の画像で見ても綺麗なのです。

このことを頭に入れてよく考えてみてください。毛皮という素材は簡単に切って継ぎ足すように縫って問題がないという素材ではありません。

特に毛の短めな素材、例えばミンクのようなもの、さらには繊細な毛質のチンチラなどは縫い直しは厳禁です。傷縫いも目立ちます。

私も、時にはどうしてもカットして縫い直さなければならない場合があります。ただし、その時にも素材の皮の厚さに注意し、色の違いを最小限にすることを注意し作業をします。

素材の色、毛の長さに細心の注意を払い縫うのですが、それでも簡単ではありません。

仮縫いもせず、求める仕上がりと違ったならば何回でもお直しが出来ますと言う素材ではないのです。生地のように直接接ぎ目が見えないと言うだけで、縫い直しの影響はフォックス以外で毛の短めの素材であれば必ずでます。特にミシンワークが未熟であればなおさらです。

毛があるからわかりにくいということで、どんなお直しでも、何回でもできるというのは間違っています。

厳しい意見ですが、どんなに価格がリーズナブルといっても、価値のない商品やサービスの提供は意味がありません。

以前、価格の価値という投稿をしましたが、価値に見合わない仕事こそが一番高額な価格なのです。

最後に話を戻しますが、仮縫いや本仮縫いの本当の意味は形式的にお客様を納得させるための儀式ではないのです。でも、そんなところが多いのも現実です。

仮縫いで何をチェックするのかさえ知らない素人がチェックするのです。不安ならその場で聞いてみてください。仮縫い時のチェックは何をするのかを。あれこれ理屈をつけたとしても、まともに答えられるところは少ないと思います。

本来の仮縫いの意味は、仕上がり後の無駄な修正を100%無くすためにあります。

仮縫いをやって、お客様を形式的に納得させるというような業者都合の儀式ではありません。

仮縫いをやれば、お客様に文句を言わせないというような自分都合のものではなく、全ては完璧な仕上がりのためのものです。

ただし、そのためにはプロになるための努力が必要です。

今すでに仕事をしている、、、ということがプロということではありません。

意識と技量がプロであるかが一番重要なところです。

生意気ですが、そう思って私も日々の仕事をしています。

 

長澤