2019年9月10日
商品の撮影という局面とプロの仕事?
最近、商品の撮影という局面があり、なかなか思うように行きませんでした。
カメラマンは撮影のプロであるわけですが、しかし、仕上がってきたファーの写真は正直、期待に添えるものではありませんでした。もちろん、カメラマンは自分はプロなのだから、、、という自信もあるのでしょう。または、たくさんある仕事のなかの一つなのかもしれません。
しかし、ファーに関しては知識がまるで無いわけで、そんなプロが撮った写真が、人を引き付けるわけもなく、期待通りの仕上がりでした。もちろん残念ながら皮肉です。こちらも、もちろん予測はできていたので、立ち会いを申し入れましたが、そこは、プロの仕事場に素人はいらない、、という発想なのでしょうね。
または、組織上の問題もあるのかもしれませんので、そこはハイ分かりましたと言うしかない訳で、自分なら、最大の魅力を引き出すためにわからないことは少しでも聞こうとしますが。
たかだかショールの着せ方、コートのエリの開け方、こんなことさえできず、それはアシスタントが悪いのかもしれませんが、カメラマンに感性があれば、そうじゃない、、と注文をつけることもできるはずです。やる気がないのか、それが実力なのかはわかりませんが辛い仕上がりでした。
プロでありながらプロじゃない
まあ、プロでありながらプロじゃないなどということは、よくあることで毛皮の世界にもレベルの差は大きくあり、自分もどこまで行けばレベルが高いと言えるのかは自分ではわからず毎日試行錯誤していますが、ときどき上で書いたようなことを目にすると、おい!何勘違いているんだ!言いたくなったり、または、あ~やっぱり組織の問題なんだとがっかりしたりすることがあります。
写真を撮ることはプロでも、ファーのどれほど魅力を知ってる?どれほどのデザインを知り、その着こなし方をどれほど知っているというのですか?と言いたくなる訳で、こういう人たちがいかに多く、その大半が謙虚さを忘れ自分が何でもできると思い込んでしまっているか、組織の問題ということで最高の仕事をしようとするところから逃げてしまっているように思えます。
もちろん、カメラマンに関わらず大きな組織には、このようなケースは、たくさんある訳で、ときどき疑問に思うことがたまにあります。
別にものをつくることだけのことではありませんね。いろんなところにプロがいて、プロと勘違いして高飛車に仕事をしているひとたちも多いのが現実です。もちろん、少しフォローしますが、優秀だなあと思える方や、下からの依頼をしっかりと受け止め適切に判断・処理する方も多くいることも事実です。
プロという言い方はおかしいのかもしれませんが、お客様にもマナーが必要な訳で、お金をだせば何でもできると勘違いしているケースも極まれにあります。
昔、半年間だけ起業家を対象にしたビジネススクールで学んだことがあり、そのときに、プロサイドの椎名社長という方が講師でいらっしゃり、お客様にも品質があって、商品買ってお金払わないなんて論外な訳であって、みなさんが会社をやるのであれば、顧客の品質をしっかりと管理してくださいと言っていたのを記憶しています。
もちろん、このブログに入って来てくれて、こんな難しいブログを最後まで読んでくださる人が質が悪いお客様なんてことはないのです。誤解のないようお願いいたします。
要は、買う側にもマナーは必要であり、買う側も販売する側もそれぞれにインフォメーションを互いに、しっかりと出し合って、購入・販売を正しく成立させる役割があるのです。
誤解を受けるといけませんので、これ以上は書きませんが、プロというくくりで言えば、お客様にも、少し通じる部分があるかなと思い書くつもりじゃないことまで書いてしまいました。大半は素敵なお客様ばかりで、学ぶことがとても多いのが本当のところです。
自分のことで言えば、もう少し時間がコントロールできればいいのですが、時間に余裕があればあるだけ使ってしまうというのが、なんとかしたいところです。
小さなアイデアを大切にすることがプロの領域に近づく道
今日は毛皮の写真ではないのですが、私が作業以外でも小さな工夫をしているなかの一つをご紹介して終わりにします。
これは、写真をみてもらうとわかりますが、電源タイマーです。アトリエではお客様の大切なコートや商品、材料を保管していますが、万が一火事になれば大変なことになる訳で、そんなときのために工夫しているのがこのタイマーです。
アイロン、その他の熱の発生する機材やモーター等の機械はすべて、切りタイマーにしています。使う時には、あらかじめこのアイロンを作業で何時間使うかを想定して2時間なら2時間半くらいで切れるようにセットして使います。こうすることで、仮に、別の作業に行ってしまい、うっかりの消し忘れや、退社時の消し忘れにも対応でき、火災のリスクを極力減らしています。
もちろん、タイマーがついてるからといって元の電源を切らないということはありません。地震とか災害で勝手にタイマーが回ってしまったら大変なことになりますから。さらに要らないコンセントは一緒に写っているコンセントを埋めるプラスチックのパーツを使って塞ぎます。作業場はどうしてもカットされた毛や細かい生地の裁断くずがあり、安全とは言えませんから。
当たり前のことですが、意外にやられていない工房は多いのではないでしょうか。作業のなかでの工夫は、もちろんたくさんあるのですが、それ以外でもやれることはたくさんあり、実際にやるかやらないか、それだけのことです。
そんなことの延長線上にプロ意識があると自分は信じて全ての仕事をしています。そして、小さなアイデアを大切にすることがプロの領域に近づく道であればいいなとも思います。
長澤祐一