工場直売という心地よい言葉の落とし穴と パショーネの立ち位置
最近、インスタグラムのプロフィールでも工場直売、、というような文字が海外業者にも多く見かけます。
今日は、毛皮という商材に限定した上で、この辺のことを書いてみます。
私のところも、工場直売といえばそうですし、小売りといえば小売りです。卸価格で提供しますという、いわゆる卸直売ですともいえなくもありません。何故かといえば、ほとんどの商品を自分で作って、それをすべて自分達で販売しているからです。過去に卸だったり、委託加工業だったり、百貨店に常設してパショーネブランドとして販売したり、その合間に、ブログから入っていただいたり紹介から入っていらっしゃったりした、お客様とお付き合いをさせてたいただいたりと、様々な形態、業態を経験してきました。
工場直売が悪いということを書くために今日の記事を書いたのではありません。
工場直売がイコール安い、、、というイメージを売る側も買う側も持っていますよね。
百貨店を一度でも経験すると百貨店は一切のリスクを負わないという現実が解ります。毛皮も含めて、ファッション関係は流行というものが存在します。百貨店は流行りを求め、さらに華やかさや、より変わったものも求めます。もちろん売れ筋もです。そのためにメーカーは毎年新作を企画して商品化をし、店頭に並べます。毛皮も同じことをしています。メーカーはその売れ残りのリスクも考えて価格を上げざるを得ません。そのため価格は高目になります。ただし、百貨店のすごいところは徹底して顧客フォローをします。毛皮商材に限っては、私達が経験したなかでは、ここまでするのか?という感じです。もちろん、メーカーがいればメーカー負担のもが多く、場合によっては直接、百貨店がリスクを持つということもあり、お客様にとってはありがたいことなのです。
一般の小さな小売店などが絶対に出来ないところまでやります。というか、ほとんどメーカーがやらされます。
最近、よく見かける工場直売や、卸価格で、、、というようなことで販売しているところがありますが、小売りとの違いは何なのでしょう。その意味は毛皮で言えば、適切なアフターがあるか?ということになろうかと思います。売りっぱなしであれば、工場直売という、その販売形態も良いのかもしれません。アフターといってもいろんなものが存在します。電気製品のようなものであれば発生しませんが、毛皮はあくまで見た個人の判断によって決まることが多いこともあり、何かお客様が不安や不満を抱えていれば対応する必要があるのですが、それをまったくしない発想であれば工場直売や卸直売もありなのです。そう割り切っているところもあるのでしょう。私達も、このことについては何度も考えましたが、工場直売という発想で極端に安く提供しようとはしていません。より安心に買っていただくために必要な価格というのは、やはり存在します。
巷に、たくさんあるネット特有の安さを売りものにしたところとは別のものと考えています。
ひとつ付け加えますが何故、卸が自分達で販売しようとするのか、これは、小売り側にそもそも大きな問題があるようにも思えます。私達がいた業界では、本来顧客サービスや企画は小売り側がやるのが当たり前なのですが、徐々に小売り側が、その役割を放棄して新企画やサービス、クレーム処理、等を卸側に求めてきたころに一部、起因するように私は感じます。本来一番利益率の高い小売り側がたいして役割を持たなくなってしまったということです。利益率の高いところほど、会社が潰れていきました。呉服などは特にそう感じます。
話を戻しますが、工場直売が有効なところもあります。毛皮でも、品質の良さを特に厳しく求めない商圏もあるでしょう。それはそれで良いのです。再度書きますが、私達は一見、全ての商材を自社アトリエで作成する分、工場直売とみられますが、売りっぱなしの工場直売ではありません。オンラインが出会うきっかけであっても、お客様と実際に会うことがあれば、またはオンライン上でも、アフターのことや商品説明も、おもてなしも含めて質の高い対応をいたします。オンラインショップは入口であり、それで終わりではないのです。
今後、少しずつオンラインでなにが出来るのかを考えてまいります。そして、少しずつですが、金額の対価として商品以外にどんなことが提供できるのかを記載してまいります。少しお待ちくださいませ。
最後にもう一つ、くどいですが付け加えます。上で記載してきたことからパショーネの商品は高いのか?と誤解を受けるかもしれませんが。そうではありません。実際に手に取ってみてもらえば解りますが一般的な価格・価値相場からいえば全てにおいて、とても割安であり、何よりも大事なことは私達が作りだすものは他では同じものが手に入らないということです。 長澤祐一