工場直売という心地よい言葉の落とし穴と パショーネの立ち位置

最近、インスタグラムのプロフィールでも工場直売、、というような文字が海外業者にも多く見かけます。
今日は、毛皮という商材に限定した上で、この辺のことを書いてみます。

私のところも、工場直売といえばそうですし、小売りといえば小売りです。卸価格で提供しますという、いわゆる卸直売ですともいえなくもありません。何故かといえば、ほとんどの商品を自分で作って、それをすべて自分達で販売しているからです。過去に卸だったり、委託加工業だったり、百貨店に常設してパショーネブランドとして販売したり、その合間に、ブログから入っていただいたり紹介から入っていらっしゃったりした、お客様とお付き合いをさせてたいただいたりと、様々な形態、業態を経験してきました。

工場直売が悪いということを書くために今日の記事を書いたのではありません。
工場直売がイコール安い、、、というイメージを売る側も買う側も持っていますよね。
百貨店を一度でも経験すると百貨店は一切のリスクを負わないという現実が解ります。毛皮も含めて、ファッション関係は流行というものが存在します。百貨店は流行りを求め、さらに華やかさや、より変わったものも求めます。もちろん売れ筋もです。そのためにメーカーは毎年新作を企画して商品化をし、店頭に並べます。毛皮も同じことをしています。メーカーはその売れ残りのリスクも考えて価格を上げざるを得ません。そのため価格は高目になります。ただし、百貨店のすごいところは徹底して顧客フォローをします。毛皮商材に限っては、私達が経験したなかでは、ここまでするのか?という感じです。もちろん、メーカーがいればメーカー負担のもが多く、場合によっては直接、百貨店がリスクを持つということもあり、お客様にとってはありがたいことなのです。
一般の小さな小売店などが絶対に出来ないところまでやります。というか、ほとんどメーカーがやらされます。

最近、よく見かける工場直売や、卸価格で、、、というようなことで販売しているところがありますが、小売りとの違いは何なのでしょう。その意味は毛皮で言えば、適切なアフターがあるか?ということになろうかと思います。売りっぱなしであれば、工場直売という、その販売形態も良いのかもしれません。アフターといってもいろんなものが存在します。電気製品のようなものであれば発生しませんが、毛皮はあくまで見た個人の判断によって決まることが多いこともあり、何かお客様が不安や不満を抱えていれば対応する必要があるのですが、それをまったくしない発想であれば工場直売や卸直売もありなのです。そう割り切っているところもあるのでしょう。私達も、このことについては何度も考えましたが、工場直売という発想で極端に安く提供しようとはしていません。より安心に買っていただくために必要な価格というのは、やはり存在します。
巷に、たくさんあるネット特有の安さを売りものにしたところとは別のものと考えています。

ひとつ付け加えますが何故、卸が自分達で販売しようとするのか、これは、小売り側にそもそも大きな問題があるようにも思えます。私達がいた業界では、本来顧客サービスや企画は小売り側がやるのが当たり前なのですが、徐々に小売り側が、その役割を放棄して新企画やサービス、クレーム処理、等を卸側に求めてきたころに一部、起因するように私は感じます。本来一番利益率の高い小売り側がたいして役割を持たなくなってしまったということです。利益率の高いところほど、会社が潰れていきました。呉服などは特にそう感じます。

話を戻しますが、工場直売が有効なところもあります。毛皮でも、品質の良さを特に厳しく求めない商圏もあるでしょう。それはそれで良いのです。再度書きますが、私達は一見、全ての商材を自社アトリエで作成する分、工場直売とみられますが、売りっぱなしの工場直売ではありません。オンラインが出会うきっかけであっても、お客様と実際に会うことがあれば、またはオンライン上でも、アフターのことや商品説明も、おもてなしも含めて質の高い対応をいたします。オンラインショップは入口であり、それで終わりではないのです。

今後、少しずつオンラインでなにが出来るのかを考えてまいります。そして、少しずつですが、金額の対価として商品以外にどんなことが提供できるのかを記載してまいります。少しお待ちくださいませ。

最後にもう一つ、くどいですが付け加えます。上で記載してきたことからパショーネの商品は高いのか?と誤解を受けるかもしれませんが。そうではありません。実際に手に取ってみてもらえば解りますが一般的な価格・価値相場からいえば全てにおいて、とても割安であり、何よりも大事なことは私達が作りだすものは他では同じものが手に入らないということです。   長澤祐一

商品の現物確認について

つい先日、オンラインショップでニュースをアップしました。個別の商品のことではありませんが、大事なことなので、このブログにも記載いたします。読んでみてください。

商品の現物確認について

こんにちは。今日は商品のアップではありませんが、ひとつお伝えしたくて、ここに記載いたします。商品につきましては可能な限り特徴や詳細を記載しております。しかし、完璧ではありません。最終判断をするのにどうしても現品が見たいと思うお客様がいらっしゃると思います。その時には、パショーネのアトリエ(埼玉県川越市)までご来店いただければ、昨年四月まで20年在籍していた百貨店時代に出品していた商品も含め、ご覧いただくことができます。もちろん、大手問屋のような幅広い点数はありませんが、絶対にパショーネでしか見れない商品があります。ご予約をいただきご来店いただければ、このオンラインショップの商品以外も含めて試着していただいたり、毛皮素材や生地素材も含めてアトリエにあるもの全てを見ていただくことができます。さらにご自分のお持ちのファーについて質問やリメイクの相談や質問があれば、お持ちいただければ対応いたします。
お客様への対応と商品説明につきましてはデザイナーと私がいたします。もちろん、他店にありがちなしつこい販売員のような接客はありません。ご来店いただいたお客様が半日でも一日でも楽しんで、お帰り頂くことを必ずお約束いたします。

私達の、このオンラインショップは、新しいお客様との出会いを求めて始めましたが、このショップを進めていくなかで様々な問題点や課題が見つかります。これからも、日々考えながら私達だけのオンラインショップにしていこうとも思っています。本来は、都内にて実店舗があれば良いのですが、アトリエに併設した接客スペースでなければパショーネの本来の良さが発揮できません。そのため、どうしてもアトリエまで来ていただくことになってしまいます。都内、もしくは関東近県のお客様であれば、なんとか来ていただくことが可能かと思っております。ご来店が一日がかりになってしまわれるお客様もいらっしゃるかもしれませんが必ず、来たことそのものに、必ず、ご満足いただけるものと確信しております。
このオンラインショップのスタイルは、今後も今の時流と毛皮という素材の両面に併せられるよう少しずつ変化させてまいりますのでお待ちくださいませ。次回は、ご来店いただけない遠くにお住まいのお客様への対応を考えたものを報告させていただきます。お時間いただきますがよろしくお願いいたします。

アトリエまでは、都内池袋駅から東武東上線で急行に乗っていただき35分で霞が関駅まで来ていただければ、お迎えに上がります。ご連絡いつでもお待ちしております。       長澤祐一

 

以上ここまでが、オンラインショップのニュース記事になります。オンラインショップを始めるときにも書きましたが、やはり、私達の商材をオンラインで一切触ることも見ることもせずに購入決定をすることは、とても難しいと感じます。ショップ開設当初から一般的なオンラインショップでは上手くはいかないだろうとも感じていました。オンラインショップはあくまで商品の紹介や価格のお知らせ、さらには商品以外のサービス等のお知らせ、紹介をするツールとして利用して、その先は、また新たな方法を検討するしかないのかとも感じています。ただ、今回の提案だけですべでが解決できるとも思っておりません。いつか、アトリエまで足を運ぶことができないお客様のためにも他の方法を検討する必要があると感じています。このことにつきましては、いつか検討をしたうえで、またショップニュース、またはこのブログにてお知らせをいたします。                  長澤祐一

 

コメントに、しびれました

コメントに、しびれました。

前々回、インスタグラムでとても嬉しいコメントやDMを記事にしましたが、つい先日も、泣けるようなコメントをいただきました。

https://www.instagram.com/chrisrwer/という英国のマスターからいただいたコメントです。
画像は、レットアウトという皮を斜めに細くカットしてずらしてコートの長さを出すという作業です。https://www.instagram.com/p/COl_8xSJfdq/

頂いたコメントは

“Stranding” is the infinite art of “letting out” fur skins. Here you can see it has been done by a furrier with the highest skills. This the finest piece of stranding I have seen in many years. An absolutely amazing piece of work.

です。Google翻訳では、

「座礁」は、毛皮の皮を「出す」無限の芸術です。ここでは、最高のスキルを持つ毛皮業者によって行われたことがわかります。これは私が長年見てきた最高の座礁です。絶対に素晴らしい作品です。

と翻訳されました。

Strandingの意味は座礁と出ますが、しかし、この場合は、その後の 毛皮の皮を出す letting out” fur skins とありますので、レットアウトした後の仕上がりのことを言っているのか、前後の文脈ではそうとれます。レットアウトして作ったコートのことを意味しているようにも思えます。座礁とどうつながるかは不明ですが。

彼は英国のマスターで、写真を見る限りでは私よりも年齢が上だと思われます。
英国では、国内で中古の毛皮さえ販売禁止になっているような状態らしいのです。正確ではないかもしれません。
彼の投稿のハッシュタグの最後に良く見かける#noUkfurbanとありますが、日本国内以上に毛皮に対する風当たりの強さがこのハッシュタグが常につく理由なのでしょう。

毛皮禁止について深くは言いませんが、日本にも魚を生き絞めして、鮮度を保ちながら料理にしたり、生きたまま食べる、踊り食いとかいう食文化もありますが、それらも大切な日本の文化であたりまえのこととして認められています。毛皮も様々な局面から見ることができますが、大切な文化のひとつです。毛皮を着るひとには自信を持って着てもらいたいと、そう願います。

そんな英国のファーマスターからみて、毛皮の歴史がとても浅い日本のマスターが作ったものが、どう映ったかはわかりませんが、これまで私のなかでくすぶっていた僅かな技術的な迷いを払拭してくれるような、そんなコメントでした。マスター、ありがとう、感謝します。

インスタグラムでの、たくさんの海外からのコメントをみても、毛皮を理解する力と良いものを素直に評価する姿勢は、日本国内の姿勢とは真逆のように感じます。真似はするけど賞賛はしない。そんな風に感じることが多いような気がします。インスタグラムのフォロワーに中国や韓国からのアカウントもいくつかありますが、ここは日本と同じようです。中国のフォロワーに一人だけWhatsAppでつながってるフォロワーがいますが、まともにやりとりをしているのは彼くらいです。

ひとつだけ最後に書きますが、このコートは私の中では最高でないのです。最高のレベルを綺麗な画像で見せたら、どんな反応があるのか楽しみでもありますが、私のアップする画像のレベルが高いのがあたりまえになってしまっているのは自分で自分の首を絞めているようで、最近は毎回、多少プレッシャーを感じたりしています。

今日のブログは短いですが、最後に一言書きます。以前から、私は国内の技術者や毛皮業者にたいして、厳しいことを書いていますが、ものづくり日本ということを誇りに思うならば、もう少し頑張って欲しいとも感じます。一般のひとが毛皮に対して知識がないことを良いことに驚くほど質の低い商品やサービスが提供されていることには、いつもとても残念に感じています。     長澤祐一

 

ミンクは毛が短いほうが価値があるという誤解

ミンクは毛が短いほうが価値があるという誤解。この記事は当社オンラインショップの昨日のニュースに投稿したものですが、結構知らないひとが多いので、ここにも載せてみます。画像はここには載せませんので、是非ショップのニュースで見てください。

一般的にいうとミンクは毛が短いほうが価値があると言われています。ただ、この短いという意味には、いくつか誤解があります。いわゆるショートナップといわれるアメリカンミンクのようなタイプのミンクの本当の意味は毛が単純に短いということではありません。ショートナップの本来の意味は綿毛に対して刺し毛の飛び出す長さが、とても短いという意味です。一般的にサガミンクは綿毛から飛び出す刺し毛の長さが長いとされていますが、最近ではヨーロッパのミンクもコペンハーゲンファーのようにアメリカンタイプのように刺し毛が短いものが多くなりつつあります。
しかし、フェンディのようにヨーロッパ系のブランドの多くはアメリカンタイプの刺し毛の短いタイプではなくサガミンクのようにすごく長い毛のミンクを好んで使っています。アメリカンタイプのシルキーといわれるものよりも毛が長く、より毛皮らしいものを好んで使います。一度フェンディのショップにでも行って見てみると、それが良く分かります。今回のこのウィスパーピンクのボレロも毛が長いタイプを使っています。写真でも解るように拡大して撮ってある写真がありますので前回アップしたダスクブルーボレロと比べてみてください。毛皮を少し知ったひとはショートナップをことさら良いと思い込んでいますが、実はフェンディはミンクについては真逆のスタンスを取っています。フェンディの発症の地がイタリアであるためにヨーロッパ系のミンクを好んで使うのかは分かりませんが、そういう事実があるということも認識したうえでショートナップについて話す必要があります。

ここまでがニュースで書いたことですが、少し付け加えようと思います。ショートナップの意味は上で書きましたが、このブログでも以前書いています。それ以外で書いてないものというと、綿毛と刺し毛も含めた全体の毛の長さです。ショートナップという基準でいえば、やはりアメリカンミンクの最高ランクのものには敵いません。特にブラックグラマ系のミンクのほんとうに綺麗なものは刺し毛も綿毛もほとんど同じくらいの長さになります。このクラスは一般のひとは、おそらくですがほとんど見ることはないと思います。

デンマークのミンクも素晴らしいのですが、さすがにこの最高ランクのブラックグラマミンクには敵いません。私が、敢えてデンマークのミンクとアメリカのミンクのわずかな違いを言うとすれば、他の業者のひとは感じないと思いますが、綿毛が長いと感じます。その分、触り心地は、ふっくらとした柔らかなボリューム感があり刺し毛はアメリカほど短くはないのですが、触り心地はアメリカと同じように心地よいのです。まあ、これは実際に業者の方が触ってみたくらいではわからないくらいの差ですが。私は実際に色を合わせたり、お尻同士や、腹同士を縫い合わせたりしますので、必ず、綿毛の長さをミリ単位で測ります。その結果はミンクの個体差はあるとはいえ、相対的には上に記載したようにデンマークのミンクのほうが少しだけ綿毛が長いと感じます。

フェンディも長い刺し毛の長いタイプだけを使っているというわけではありません。時々ショートナップのものを使っているときもありますが、相対的にいうと長い毛足のあるものを多くつかっているような気がします。短い毛のミンクも時々見受けられますが、アメリカンミンクのような超ショートナップのものは、私は見たことがないのです。某百貨店時代に毛皮サロンのそばにフェンディがありましたので、よく見に行ったことがあり、店長から顔を覚えられてしまい嫌味をいわれたことがあります。💦 フェンディの商品については、また別の機会に書いてみます。

毛皮の中でも、オスとメスの区別やサイズの細かい区別、さらには色の種類、毛の長さ、、、というように、ここまで細かく区別されている毛皮素材はとても珍しく、だからこそ細かい知識が必要になるのです。

今日はこれくらいでやめておきます。

長澤祐一

 

ブラックグラマミンクのショートナップ

 

インスタグラムのコメントやDM、そして、インスタグラムの、この二年間

緊急事態宣言がスタートして、こんな時なので少し時間があり何か書いてみようと考え、今日はインスタグラムのコメントやDMで届いた、私達の作る商品や毛皮の技術力に対しての評価をこのブログで載せてみます。コメントは普通に見ることができますが、DMは私しか見れないことと、私個人宛に届いたDMなので書いた本人の表示はいたしません。信じるかどうかはコメント全体の評価をみて判断してください。

今回の記事は、いわゆる手前味噌になるのかもしれません。よくショップやホームページにお客様の声とかを載せているところがありますが、あれは私はダメです。とても出来そうにありません。作り話のような、自分で勝手に編集できる、お客様の声なんてブログやショップに掲載できません。今回の記事は、DMは別ですがコメントは誰が書いたかはインスタグラムを見ていただければわかります。私が勝手に編集したり書き足したりはできませんから。

インスタグラムを始めて最初は、当然ですが反応がなく、2018年9月くらいまではほとんど投稿もたまにしかやらずにいました。元々始めたきっかけは某有名百貨店日本橋本店の毛皮サロン、国内最高の毛皮サロンといわれているそのサロンに常設していましたが、国内での知名度はなかなか上がらずにいました。もちろん、そのサロンのなかではたくさんの素敵なお客様と出会うことができ幸せでもあったのですが、それでも、すでにお客様になっていただいている方達のためにも、もう少し国内で知ってもらうことが出来ればとも思っていました。国内での評価は上げようと思っても、やはり一般のひとの毛皮の知識は海外に比べ、さらに乏しく、ブランディングも当然、経営規模からいって難しいと感じ、それなら、海外の毛皮の業者や毛皮ファンに自分達の価値を評価してもらおうと、2018年の暮れくらいから再度、気合いを入れて投稿を始めたのです。

先日4月6日にオンラインショップを立ち上げましたが、その時に出品したパロミノミンクのバッグがきっかけでした。海外、国内でいくつかお問い合わせをいただき、まだ、フォロワーも10人もいない、そんななかで、このアカウントを見に来る人がいるんだと、正直、驚いたのを記憶しています。
なら、世界の毛皮業者や毛皮ファンに見てもらうことが出来るかもしれないと、気を入れなおして投稿を始めめました。

一番最初に海外からのコメントをくれたのは irene_veche_fur というインスタグラムを見る限りではファーショップのオーナーだと思うのですが、ギリシャの女性の方でした。ギリシャと毛皮は国内の一般の方は知らないかもしれませんが、私達毛皮関係者にとっては毛皮の聖地のような場所で、そこからコメントが来たのは驚きでした。

https://www.instagram.com/p/B1yUx1zH2K_/   Very nice colorというこれだけのコメントでしたが、その時はとっても嬉しかったのです。それをきっかけに海外からのフォロワーを少しだけフォローバックし、海外フォロワーとのやり取りが始まりました。

次にインスタグラムでの転機は、ロシアの若い技術者でした。彼が始めてコメントをくれたのが

https://www.instagram.com/p/B3y9V4GJ4MM/  この投稿です。絵文字でしたが、彼は、ロシアの技術者で実際に毛皮を作っていて、その彼が海外では誰も知らないこの私の技術を一瞬でも評価してくれたことは嬉しかったです。その後、彼とはあとに書きますが、いろんなやり取りをしました。

その頃から、少しずつフォロワーも増えていき、コメントもいいね!も増えていくことになったのです。もちろん、まだまだの数字ですが、このインスタグラムは上でも書いたように、ほとんど誰にも教えずに、数人の友人のフォロワーだけでスタートし、そこに少しだけお客様にも連絡を差し上げ数名のお客様がフォロワーになっていただくという、ほんとに数名からのフォロワーのスタートで、今のような数字は(まだ多いなんていう数字ではないですが)当初は考えていなかった数字です。しかも、数えてはいませんが、フォロワーの9割は海外のフォロワーの方達です。これは当初の目標である海外からの、しかも毛皮業者からの評価を見てみたいという目的を僅かですが達成できたようにも思います。

ひとつ、参考までに samantha というアカウントの女性がいます。彼女のプロフィールを見るとわかりますが、フォロワー15万 フォロー中800人くらい。この彼女を世界のたくさんの業者や毛皮ファンがフォローしていますが、その彼女がフォローバックしている毛皮業者は、sagafurskopenhagenfur そして、私のところだけです。もちろん、向こうからフォローがあって、DMが、Do you have WeChat? と来て その当時 WeChat を知らない私は、いろいろと誤解をしながらもDMで会話を続け、現在に至っていますが、どうして、私を知っているんだ?と聞くと、サマンサは以前から、貴方のブランドは知っていると言ってくれてものすごく驚きました。いずれ、フォローが外れるかもしれません。それでも、この日本という毛皮の認知度がとても低い国の技術者としては嬉しいこととして自分の記憶に残せます。ひとつ、補足しますが、彼女はサガファーのデザインスクールをでたり、世界の毛皮業界の様々な仕事をしているようです。彼女が送ってくれたブログやホームページを見ると、彼女が鞣し工程で六価クロムを使うこと、これが環境に影響するということも勉強したようでデザインだけではなく幅広く毛皮のことを勉強したようです。

 

遅くなりましたが、やっと本題に入ります。全部コメントやDMを拾いきれるかわかりませんがやってみます。()の中に翻訳いれます。
翻訳はグーグル翻訳です。 単純に美しい、可愛い、パーフェクト はいっぱいあるので省きます。

 

https://www.instagram.com/p/B5FobyTJuLi/  excellent video. thank you for teaching! ( 優れたビデオ。教えてくれてありがとう! )

https://www.instagram.com/passione.co.jp/?hl=ja  It’s perfect, beautiful and attractive. I’d love a scarf like this, you make a wonderful work 😉 ( それは完璧で美しく魅力的です。私はこのようなスカーフが大好きです、あなたは素晴らしい作品を作ります😉 )

https://www.instagram.com/p/B6fBfVFJZb3/  ( 最高レベルの品質 👌( これは元々日本語できました。 )

https://www.instagram.com/p/B7BMebGJtj7/   ( すべてが端正、正確であるので、すばらしいマスターです 🙏 )

https://www.instagram.com/p/B7dgosxJHnf/   our love for fur makes us go to new experiments( 毛皮への愛情が私たちを新しい実験に向かわせます )

https://www.instagram.com/p/B8Vn9yeJoeH/  Изящная, благородная красота! 👏( 優雅で高貴な美しさ! )
Как всегда на высоте👍. Очень красиво🔥 ( いつものように👍。とても美しい🔥 )

 

https://www.instagram.com/p/B9EO3VMJHhH/   ювелирная работа 👏🏻( ジュエリーワーク )

https://www.instagram.com/p/B9l2WDPpLid/    you have a great sense of proportion and taste   ( あなたは素晴らしいプロポーションと味覚を持っています )

https://www.instagram.com/p/B935RvFJ7ij/     hands of the master expensive   ( 高価なマスターの手 )

https://www.instagram.com/p/B-pk60Zp6tE/    Ohh woow, really gorgeous!!   ( ああ、すごい、本当にゴージャス! )
Великолепная работа. Браво👏👏👏🌹🌹🌹 ( 素晴らしい仕事。ブラボー )
Очень красиво и женственно👏  ( とても美しくフェミニンです👏 )

 

https://www.instagram.com/p/B-zPGymJoA-/     Nice color  ( いい色 )

https://www.instagram.com/p/B_7liKAJMPP/   Всегда, очень жду Ваши работы👋  ( いつも、本当にあなたの仕事を楽しみにしています👋 )

https://www.instagram.com/p/CANPyJuJ8nm/   Идеальный подбор шкурок 👍   ( スキンの完璧な選択👍 )
https://www.instagram.com/p/CBIkyc3pkmw/  ( 🔝🔝🔝🔝🔝 )

https://www.instagram.com/p/CCiqeP5JEDa/  Красивая шаль👏👏 Мне нравится  ( 美しいショール👏👏私は好きです )

https://www.instagram.com/p/CGFDh2oJRGw/    Вау! 🔥За такой красотой и стилем кропотливый труд! Браво👏 ( うわー! 🔥そのような美しさとスタイルのために、骨の折れる仕事!ブラボー )
Невероятная работа. 🔥🔥🔥🔥😍😍  ( 信じられないほどの仕事。 🔥🔥🔥🔥😍😍 )

https://www.instagram.com/p/CGZ6nnxJY2j/  Слов нет, сложные технологии вам подвластны! А пальто очень, очень красивые🔥🔥🔥  ( 言うまでもなく、複雑なテクノロジーはあなたのコントロールの範囲内です!そしてコートはとてもとても美しいです🔥🔥🔥 )
his is a miracle, a dissolution, a classic of the genre  ( 彼は奇跡、分解、このジャンルの古典です )

https://www.instagram.com/p/CAuglZkpSro/   Первый раз вижу такую обработку . Спасибо, что поделились опытом🤗  ( そのような処理を見たのはこれが初めてです。あなたの経験を共有していただきありがとうございます🤗 )

 

https://www.instagram.com/p/CGroyq_pOoI/  I admire your work and your camera🤗😉😍  ( 私はあなたの仕事とあなたのカメラに感心します🤗😉😍 )

 

https://www.instagram.com/p/CDwG-cOJOJS/  ( 興味深いねマスター 事実上直ちに蒸気発生器とは対照的に結果が生じる。 私は同じことをしようとします))
Классно, конечно, 👍👍👍👍но рискованно ( もちろんかっこいいですが、危険です )

ここで彼女とやり取りをDMでしていますので載せますね。

Молодцы, что используете все новое в обработке меха.! И изделия ваши красивые и изящные. Всю душу вкладываете. Таких мастеров мало.!!!

( 毛皮加工の新しいものすべてを使用するためによくやった。そして、あなたの製品は美しく優雅です。あなたはそれにあなたの魂全体を入れます。そのようなマスターはほとんどいません。 )

このやり取りは、毛皮に強いスチームをあてるのは一般的にはとてもリスキーだということを私にメッセージしてきて、私がリスキーだが正しく使えば大丈夫だと伝えたら、上の答えが返ってきました。

コメントやDMの中でもとても印象的であり、日本人技術者でも私のやっていることが理解できないのに、よく理解してくれたと嬉しかったです。

この後は、一杯ありすぎるので、私が印象に残ったものだけ載せてみます。

 

下記はあるロシアの技術者とのやり取りです。彼がhttps://www.instagram.com/p/CK8WWr2pU0J/ これをみて、毛皮の裏側を見たいといい、それで画像を送ったらDM にメッセージをくれました。

Боже, какая тонкая работа!!! Это ручная работа? Не компьютерная?  ( 神様、なんて繊細な仕事でしょう!!!これは手作りですか?コンピューターじゃない? )

Это очень круто, спасибо!  ( これはとてもクールです、ありがとう! )

О, благодарю, конечно ,это помощь, я тоже все время учусь, и хочу учиться. ( ああ、もちろん、この助けに感謝します、私もいつも学びます、そして私は学びたいです。 )

相手の年齢はわかりませんが、特にロシアの技術者は貪欲に学ぼうとしていて少しでも役に立つことができればと、つい思ってしまいます。本来は競争相手なのですが。

この動画にもういくつか嬉しいコメントがありますので紹介しますね。

ハイエアロバティックス (これは曲芸といういみですかね。)👏🏼👏🏼👏🏼  これをくれたのはロシアの若い女性の技術者で、私のことを見本だと言ってくれています。少し意味不明ですが、なんとなく私のやることを参考にしているとのことで嬉しくなりますね。よく、DMをくれて作り方をこれならどうする?と聞いてきます。もちろん丁寧に教えます。

あとひとつ、これはイギリスの私よりも高齢のマスターです。
Beautiful, beautiful work, if only people could see the skill that goes into making a garment like that, sorting and sizeing and matching the skins, the exquisite stranding and cutting in and nailing, crafts that have been passed down over the centuries.

( 何世紀にもわたって受け継がれてきた工芸品である、そのような衣服を作る技術、皮の仕分け、サイズ調整、マッチング、絶妙な撚り合わせ、切り込み、釘打ちなどの技術を人々が見ることができれば、美しく美しい作品です。 )

このコメントも嬉しかったです。何故なら、皮の仕分け・サイズ調整・マッチング(色合わせ)・絶妙な練り合わせ(これは多分、縫い合わせる毛の長さをぴったりに合わせるという意味だと思います)・切り込みとはカッティングのことですね・釘打ちとは毛皮を形に貼るのに昔は釘で止めていたのでネイリングと言っていた、その意味です。 毛皮技術の全てを書いてくれて評価もいただけたことは、技術者としても嬉しく思いました。

最後に、一番嬉しかったDMを載せて終わりにします。まだまだあるのですがきりがないので。

Вы лучший мой учитель   ( あなたは私の最高の先生です )

これは一番の友人で、私のインスタグラムがここまでフォロワーが増えたのは彼のおかげとも思っています。
最初のころのコメントにも載っていますが、いつも日本語でコメントを載せてくれて、最近は私の投稿でのコメント数が増えたこともあって、きっと自分の役割は終わったと思ってくれてのことか、彼自身が忙しいのかは不明ですが、コメントはくれません。しかし、時折、DMで会話したりするなかで最近、もらった言葉でした。半分以上、お世辞なのか社交辞令なのかとも思います。最初のころに彼は、チンチラコートの自分の作り方をわざわざ、自己紹介も入れてビデオをDMに送ってくれました。こうやれば早く作れると自分の技術をビデオで知らせてくれたのです。コロナで将来、毛皮技術者のためのセミナーをしたいと、その時はオンラインで出てくれとも。ロシアは毛皮産業では世界一の国です。中国で作られたものが日本では大半ですが、おそらくロシア国内の消費やヨーロッパ各国への輸出でいっぱいあるのでしょう。作る着数は私の非ではないはずです。その彼から言われたこの言葉は、私の技術者生命が終わる前に、こんな言葉が聞けたことを嬉しくおもいます。

久しぶりに時間があったのでたくさん書いてしまいました。最後まで読んでいただいてありがとうございます。コメントはまだまだあり、これでも多過ぎたと思っていますので、ここでやめておきます。インスタグラムにも私達のことをほとんど知らずに写真の良さでフォローしてくれた方が国内でもいらっしゃると思います。そんな未来のお客様達のためにも少しでもパショーネの”能力とクォリティの立ち位置”が理解してもらえればと書いてみました。

今後も、このブログ、インスタグラム、そしてオンラインショップと、国内にいる毛皮ファンのためにも大切な情報を発信していこうと思います。
是非、また見に来てください。                          長澤祐一

本日、パショーネのオンラインショップがオープンいたしました。

本日、パショーネのオンラインショップがオープンいたしました。下記にショップのサイト内にNEWSというコメント欄があり、そこに記載したテキストをそのままコピーして載せます。

私のブログを何度も見ていただいている方にはお分かりだと思いますが、いつもよりも短めですが、私達の精一杯の思いを込めましたので読んでみてください。そして興味があるときにはパショーネ・オンラインショップを覗いてみてください。

パショーネオンラインショップ
https://fur-passione.stores.jp/

オンラインという言葉の意味を正確に理解すれば、ここで毛皮の魅力を伝えきることが出来るのかと、そう思います。しかし、その壁を乗り越えて毛皮素材の本当の魅力をここで伝えていくつもりです。

私達パショーネが、創業から30年の間でここに至るまで、20年くらい前に、当時、大手ファーメーカーが何社も日参して出店を懇願していた、あの日本一の百貨店の毛皮サロンに小さな私達の会社が商品力のみの評価で出店、そして常設できたこと、さらに最近では、ここ2年間、インスタグラムで海外の毛皮のプロにどう評価されるかを問うて来て、海外には、あまり見られない私達の繊細な商品作りが十分に、いや予想以上に理解され、たくさんのDMやコメントで評価されていることの確信をもっての、このパショーネオンラインショップのスタートです。

これから一点ずつですが自分たちが納得したものを出品していきます。その一点一点に私達パショーネの思いを込めて提供いたします。一枚一枚の画像や、このわずかなテキスト文字や商品説明の中から、商材の魅力や情熱を感じ取り、さらに私達の”思い”を共有していただき、その先の、ご購入に至っていただけるようなことがあれば、本当に幸せに思います。

長澤祐一

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“PASSIONE” オンラインショップ

弊社 “PASSIONE” オンラインショップを立ち上げます。

パショーネオンラインショップ
https://fur-passione.stores.jp/

もう、どれくらいこのブログを更新していないかが記憶にないほどの期間、このブログをほったらかしの状態でした。昨年四月に、それまで20年ほど、お取引させていただいていた某百貨店様を無理を言って辞めさせていただきコロナで動けないなかアトリエの大改装をし、新しいスタイルに生まれ変わるべく一年近く時間をかけて準備をして来ました。

その最終段階に私達にとっては始めてのオンラインショップの立上げがあり、その間、これまで自分たちで決済システムをもたなったこともあったり、インスタグラムで海外からの購入依頼があっても何一つツールがなく販売することができず、ペイパルや海外送金・入金のために専用の金融機関と契約をしたりと、これまでまったくやったことのないことの連続で、ほとんど毛皮を作る作業が出来ない状態にありました。

やっと、オンラインショップ立上げの最終段階に入って来たところです。他のサイトを見れば素晴らしく綺麗なショップがたくさんあり、その都度、何度も奥歯をかみしめながら、今出来ることをやろうと、そう自分に言い聞かせてきました。

もともと最初から何でもパッと出来る方ではありません。そのかわり、じわじわと少しずつ詰めていくことをこれまで通りにやるだけでしたが、それにしても時間がかかりました。ショップに掲載するのはミンクバッグ一点のみです。

普通じゃあり得ないことなのでしょうが、私達にとってはこれで精一杯でした。立ち上げは、これで行こうと決めていたミンクバッグを作って、素人が素人のセッティングでiPhoneで写真を撮って、それを選び出しサイズや要らない余白をカットしたり、ショップの文言を考えたりと、たかだか一点をアップするだけでも、作ること以上に時間を取られ、ショップをどんな方向に進めていくかも、まったく想像がつかないなかでの作業でした。

逆に言うと、今後どんな風にでも出来るという意味では、とてもやりやすいスタートだと現在は考えています。

ショップの自己紹介(ABOUT)でも書きました。オンラインショップは実際に商品を手に取って見れないという、これまでの対面販売から見ると大きなハンデがありますが、このオンラインショップが今後どんな役割をしてくれるのかをショップを作り込むなかで見出していくことになるのだろうと今は期待感をもって作業をしています。

これまでも、毛皮を作るところで、いろんな道具や機械、デジタル機材を使いこなしてきて、やっと3Dシミュレーションもまともに使えるレベルになり、お客様と距離があってもオンラインでお客様ご自身でやる採寸を確認、アドバイスをすれば、より正確なパターンが作れ、さらにはそのパターンを3Dシミュレーションで試着し仮想仮縫いも出来るかもしれない。

そんなふうに未来が想像できると、バッグ等の小物の販売からスタートしたとしても、その先には、ただ写真をみて買っていただくだけではなく、もっと高度な販売方法があるのではと期待することもできます。

お客様が触れなくても、ネットでつながった状態で、オンライン接客ツールを使って、お客様の代わりに触って見せてあげたり、試着してあげたり、自由にいろんな角度から要望に合わせて見せてあげたりと、お客様との距離を少しでも埋めることが可能な時代に進んでいます。

接客マナーの厳しい百貨店で培った私達の接客が、対面ではないけれども、もしかしたら活かされるかもしれないと期待もしています。今ここに書いたことは、私が実際にやれていないだけで、おそらく、すでに他所ではやっているのことなのかもしれません。

私達”PASSIONE”のオンラインショップのスタートは、そのための第一歩であり、これまでの既存のお客様とも、会わずに会話や打ち合わせができ、ほんとに大事な最終局面で対面接客をし最終決定をしていくこともできる。そう考えれば、ネットの進化は新しいお客様の開拓だけではなく、すでに今いる既存のお客様をさらに有効に生かしていけるともいえ、もう一度書きますが、PASSIONEのオンラインショップは、そのための大事な第一歩なのです。

是非一度覗いてみてください。

現在の出品はバッグ一点。もう一つは、同じバッグのオーダーができるコーナーです。

今日のブログにも写真を一枚載せますが、たくさんの人に見ていただきたいと思う、本当に綺麗なバッグです。

長澤祐一

プロでありながらプロじゃない

商品の撮影という局面とプロの仕事?

最近、商品の撮影という局面があり、なかなか思うように行きませんでした。

カメラマンは撮影のプロであるわけですが、しかし、仕上がってきたファーの写真は正直、期待に添えるものではありませんでした。もちろん、カメラマンは自分はプロなのだから、、、という自信もあるのでしょう。または、たくさんある仕事のなかの一つなのかもしれません。

しかし、ファーに関しては知識がまるで無いわけで、そんなプロが撮った写真が、人を引き付けるわけもなく、期待通りの仕上がりでした。もちろん残念ながら皮肉です。こちらも、もちろん予測はできていたので、立ち会いを申し入れましたが、そこは、プロの仕事場に素人はいらない、、という発想なのでしょうね。

または、組織上の問題もあるのかもしれませんので、そこはハイ分かりましたと言うしかない訳で、自分なら、最大の魅力を引き出すためにわからないことは少しでも聞こうとしますが。

たかだかショールの着せ方、コートのエリの開け方、こんなことさえできず、それはアシスタントが悪いのかもしれませんが、カメラマンに感性があれば、そうじゃない、、と注文をつけることもできるはずです。やる気がないのか、それが実力なのかはわかりませんが辛い仕上がりでした。

プロでありながらプロじゃない

まあ、プロでありながらプロじゃないなどということは、よくあることで毛皮の世界にもレベルの差は大きくあり、自分もどこまで行けばレベルが高いと言えるのかは自分ではわからず毎日試行錯誤していますが、ときどき上で書いたようなことを目にすると、おい!何勘違いているんだ!言いたくなったり、または、あ~やっぱり組織の問題なんだとがっかりしたりすることがあります。

写真を撮ることはプロでも、ファーのどれほど魅力を知ってる?どれほどのデザインを知り、その着こなし方をどれほど知っているというのですか?と言いたくなる訳で、こういう人たちがいかに多く、その大半が謙虚さを忘れ自分が何でもできると思い込んでしまっているか、組織の問題ということで最高の仕事をしようとするところから逃げてしまっているように思えます。

もちろん、カメラマンに関わらず大きな組織には、このようなケースは、たくさんある訳で、ときどき疑問に思うことがたまにあります。

別にものをつくることだけのことではありませんね。いろんなところにプロがいて、プロと勘違いして高飛車に仕事をしているひとたちも多いのが現実です。もちろん、少しフォローしますが、優秀だなあと思える方や、下からの依頼をしっかりと受け止め適切に判断・処理する方も多くいることも事実です。

プロという言い方はおかしいのかもしれませんが、お客様にもマナーが必要な訳で、お金をだせば何でもできると勘違いしているケースも極まれにあります。

昔、半年間だけ起業家を対象にしたビジネススクールで学んだことがあり、そのときに、プロサイドの椎名社長という方が講師でいらっしゃり、お客様にも品質があって、商品買ってお金払わないなんて論外な訳であって、みなさんが会社をやるのであれば、顧客の品質をしっかりと管理してくださいと言っていたのを記憶しています。

もちろん、このブログに入って来てくれて、こんな難しいブログを最後まで読んでくださる人が質が悪いお客様なんてことはないのです。誤解のないようお願いいたします。
要は、買う側にもマナーは必要であり、買う側も販売する側もそれぞれにインフォメーションを互いに、しっかりと出し合って、購入・販売を正しく成立させる役割があるのです。

誤解を受けるといけませんので、これ以上は書きませんが、プロというくくりで言えば、お客様にも、少し通じる部分があるかなと思い書くつもりじゃないことまで書いてしまいました。大半は素敵なお客様ばかりで、学ぶことがとても多いのが本当のところです。

自分のことで言えば、もう少し時間がコントロールできればいいのですが、時間に余裕があればあるだけ使ってしまうというのが、なんとかしたいところです。

小さなアイデアを大切にすることがプロの領域に近づく道

今日は毛皮の写真ではないのですが、私が作業以外でも小さな工夫をしているなかの一つをご紹介して終わりにします。

これは、写真をみてもらうとわかりますが、電源タイマーです。アトリエではお客様の大切なコートや商品、材料を保管していますが、万が一火事になれば大変なことになる訳で、そんなときのために工夫しているのがこのタイマーです。

アイロン、その他の熱の発生する機材やモーター等の機械はすべて、切りタイマーにしています。使う時には、あらかじめこのアイロンを作業で何時間使うかを想定して2時間なら2時間半くらいで切れるようにセットして使います。こうすることで、仮に、別の作業に行ってしまい、うっかりの消し忘れや、退社時の消し忘れにも対応でき、火災のリスクを極力減らしています。

もちろん、タイマーがついてるからといって元の電源を切らないということはありません。地震とか災害で勝手にタイマーが回ってしまったら大変なことになりますから。さらに要らないコンセントは一緒に写っているコンセントを埋めるプラスチックのパーツを使って塞ぎます。作業場はどうしてもカットされた毛や細かい生地の裁断くずがあり、安全とは言えませんから。

当たり前のことですが、意外にやられていない工房は多いのではないでしょうか。作業のなかでの工夫は、もちろんたくさんあるのですが、それ以外でもやれることはたくさんあり、実際にやるかやらないか、それだけのことです。

そんなことの延長線上にプロ意識があると自分は信じて全ての仕事をしています。そして、小さなアイデアを大切にすることがプロの領域に近づく道であればいいなとも思います。

長澤祐一

 

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途中経過を極力、見ないで我慢する

毛皮の作る時に注意しないといけないこと

今日は毛皮の作る時に注意しないといけないことを書いてみます。毛皮は裏側で作業します。皮面で線を引いたりカットして縫ったりです。でも、肝心なのは表側の毛なのです。それで、当然、私は何度も毛の方を確認します。カットして縫ったら毛の確認は絶対に必要です。

表の毛の色、毛の長さ、毛の質感、とにかく綺麗に馴染んでいるか、自然に見えるかを確認する作業をします。縫いっぱなしだと、毛が自然に見えないのでスチームをかけながらブラシをかけて何度も確認します。

ここで、少し注意しなければならない素材があります。繊細な素材、例えばセーブルやチンチラなどは、ブラシを強くかけると毛が切れてしまうことがあるのです。仕上がるまで何度も確認するためにブラシをかけますが、かけ過ぎると、毛のボリューム感がいつの間にかなくなってしまうことがあります。

ブラシに切れた毛や抜けた毛がつきますので、ブラシをすればするほど毛が少なくなるわけです。もちろん、ひとに分かるほどじゃないのですが、その素材の元の凄さを知っていると、時々、あっ、やってしまったと後悔をします。人にはわからないレベルでも自分ではわかるのです。

そのときのショックはものすごいものがあります。素材は元には戻りませんから。現在の状態を見たい、見たいと何度も確認するためにブラシを強くかけ過ぎると毛のボリュームがなくなり、気がついたときには、もう元に戻らない時もあります。やっぱりつい安心したくてブラシをして確認したくなるのです。もちろん、一般的には誰も気が付かない範囲のことなのですが、それでもプロであれば、そこは気がつかないといけません。

ブラシを確認作業でかけすぎない

そうならないためにどうするかというと、単純なことですが、ブラシを確認作業でかけすぎないということしかないのです。この我慢をすることが意外に難しく、ついつい確認と言いながらブラシをしてしまうのです。私も以前は、何度も仕上がりが怖くて確認作業のためブラシをかけすぎた経験があります。そして何度も後悔をした経験があります。

先日、インスタグラムのDMから、毛皮の仕事をしていらっしゃる男性か女性かはわからないのですが、DMがありました。毛皮の作ることに興味があり、お仕事もされていらっしゃるようです。この毛皮の業界のなかできっと貴重な存在だと思います。今日はそのひとに、これから毛皮を作るときに参考になればと書いています。

個別のテクニックも大事なのです。しかし、意外に誰もきにしてないようなことなのですが、今日書いていることはとても大事なことです。コートを仕上げていくときに、何度も確認したくなる。

これをできるだけ我慢して、もちろん最低限の確認は必要ですが、我慢しながら、自分のやっている作業をしっかりと毛の長さ、色、質感を常に意識し、毛が仕上がったときに下を向くのか、横なのか、上を向くのかで、自然になじむ、なじまないを判断し、頭のなかでシミュレーションしたことが現実になるように作業をしていくのです。

そうすることで、最後の仕上がり状態が最高の状態で仕上げられるのです。私は、このことで今でも本当に悩みます。もっとよくできたんじゃないだろうかと。毛質はファーの命ですから。

ブラシをかけ過ぎていけない素材のなかにチンチラがあります。毛の質感を綺麗に残すのが一番難しい究極の素材です。作り手によってはブラシなんて論外だろうというひともいるかもしれません。しかし、場合によっては、ブラシが必要な場合もあります。このチンチラは毛ぐせなどないように感じますが、背中心の部分に強い癖がつき、取れないときがあります。

世にでている汚いチンチラのほとんどは、この癖がとれていません。この癖を一般的にはとることができませんが、私はとります。ほとんど、とることができます。この癖を取った状態はチンチラの命ですから。でも、それだけではありません。毛の全てがコントロールが難しい素材です。そして、扱い方で、目も当てられないほと、ひどい状態になる場合もあります。毛も抜けやすい、切れやすいという、超難関素材です。

途中経過を極力、見ないで我慢する

今日のテーマに戻りますが、途中経過を確認することは大事なのですが、やり過ぎないということを本当に注意することです。世の職人さんには傷やハゲもたいして見ないひとも一杯いますが、それはダメですが、やり過ぎ、毛・皮をいじめ過ぎも良くないのです。ここの、さらっと確認しながら我慢して、自信をもって作業していくことが一番難しいのです。手を抜いて確認を省くこととは、まったく違いますからここは、しっかり認識しておくことです。

今日は、私が今でも苦しんでいる、悩んでいることを書きました。これから毛皮を始めるひと、すでに始められているひと、そんな誰かに役に立てればと書いてみました。

最後にもう一回、仕上げのブラシ、ひとによってはアイロンを毛にあてる(私は必要に応じて使います)、スチームをあてる等、いくつかありますが、夢中になって、やり過ぎないよう気をつけ、その作業を少し省くためにも、頭のなかで仕上がりをイメージして毛の長さ、色、質感を確認して組み立てていくことです。

これをするには、各素材別の毛の長さ、質感、色の部位による変化、毛の向きの強さ(場合によってはどっちにでも向く毛もある)等を覚えて頭のなかでシミュレーションすることができるようになることです。もちろん、それでも悩みますが。

最近、インスタグラムにもアップしたチンチラのショールを載せます。チンチラ画像がインスタグラムにも反乱してますが、ひどいものが多いです。国内業者のものをたまにみますが中国で作っているかはわかりませんが、がっかりするものばかりです。最近、フォロオーをしてもらったところにチンチラの業者(海外)さんがいますが、さすがに一社だけですが、綺麗だとつい、いいね!をしてしまったところがあります。

もちろん、相手も、自分のその写真に自信をもっていらっしゃるのでしょうね、逆いいね!されました。ほんとにそこは綺麗です。見る度に私でもドキッとします。チンチラの真髄を知っていないと、ああは作れませんから。また、書きます。

長澤祐一

 

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一見簡単そうな、取り外し仕様のカフス

今日は、インスタグラムに最近載せた、カシミヤのコートに取り外し仕様で取り付けたカフスのことで書いてみます。

一般的なものは、どちらかというと簡易的に作られたものが多く、とりあえず、取り外しにしてあります、、、という程度のものが多く、完璧な作りのものがありません。言葉が少しきついですね。どちらかといえばいい加減なものが多いですとでも書けばいいのかもしれません。でも、本音じゃないことを書いてもしょうがないので、はっきり書きました。

仕上がるまでのストレス

取り外しのエリもそうですが、やはり完璧なものを作るのは毎回、仕上がるまでのストレスはきついのです。

後から付けたカフスやエリでも、まさに最初から取り付けられていたように完璧に作るのですが、ほとんどのものは、最初から取り付けられていても、はっきり言って、完璧だといえるようなものはありません。

この手の、丸みのあるものや立体的になっているエリ等を作るのは、ものすごく難しいのです。もちろん、どうでも良いものはいくらでもできます。でも、そんなものを目指して作っても意味がありませんから、必死に完璧を目指すのです。

今、この手の立体的なものや丸みのあるものは難しいと書きましたが、その意味を少し説明いたします。生地が例えば紙のように薄いものであれば、そう難しいものではありません。しかし、冬物のコートとかになると、ウールやカシミヤを殆どの場合使いますね。例えばカシミヤを使えば、薄いもので袖口の厚みは3mm、厚いもので4~5mmくらいあります。

そうすると袖口の外側と内側で約2cの長さの差ができます。単純に、一枚を少し円錐形に作って、袖口の中に返せば、当然、2cの差があるわけですから、カフスの見返し分として2~3cくらいを袖口の中に返せば、裏側でものすごい分量でだぶつきます。これを解消しないといけません。特に袖口が細いコートの場合には、本当に難しいのです。中でカフスの見返し部分が余ったりすると、手がうまく通りません。

たかがカフス、されどカフス

たかがカフスなのですが、厚み分を加え、内外の周長差をつけて作るのには、普通の手でパターンを引いていては、正確なパターンが作れず、それどころかコストがかかり過ぎで仕事にもなりません。たかが取り外し仕様のカフスといっても、画像に載せますが、かなりのパーツ数が要ります。結果としてCADが必要になってしまいます。

さらに、素材によってはしっかりとした芯を入れないと、袖口からずるずると落ちてきてしまったりします。芯の硬さも微妙ですし、どこまで入れるかもものすごく繊細です。入れ過ぎれば、袖口が下がってしまうし、不足しても下がってしまいます。

基本的には、袖口の裏に毛皮が3cくらい帰り、その先にボタンホールのついた生地の見返しをつけ、コート袖口の裏に返って裏地が縫われているギリギリのところにボタンをつけて、そこだけでピッタリと安定させないと、余計なところにもボタンやループをつけなければなりません。

さらに、カシミヤの生地がやわらかいとさらに難易度は高くなります。写真のカシミヤもかなり薄いものです。薄いと何が問題かというと、カフスを止めるボダンを見返しだけだと落ちでしまいますから、表側にも少し針をかけますが、表にあたりがでないようにしたり、かなり神経を使います。さらに、カフスの重みでも袖全体に歪みが出たりします。このくらいはしょうがないと作る側は思うのですが、お客様はそうは思いませんから、何とかしなければ、ご満足いただけないのです。

一番下にパターンをスクリーンショットした画像を載せますので、興味のある方は見てください。袖口の厚みや外径内径の差をつけて、立体的に袖口にぴたっと合うように作るには、1枚のパターンではできません。

写真上から三番目の袖口側から撮った写真を見れば、袖の中で毛皮が余って蛇行してないのがわかります。

たかがカフスです。少し円錐形になってるだけなのですが、中にピッタリに返すということを考えると、意外に難しいのがわかりますね。綺麗に作れたカフスは、袖口に取り付けなくても、取り付けたように綺麗に形になります。

毛皮のコートやその他の小物を作る場合

今回はカフスですが、毛皮のコートやその他の小物を作る場合でも、立体的なもの、素材に厚みのあるものを扱う場合には、必ず内径外径の寸法差を素材厚みに応じて計算して作る必要があります。バッグなどもそうですね。袋物のバッグなどは、あまり気にせず一般的には作られていますが、ちゃんと作ろうと思うと、バッグのパーツ数もとんでもなく多くなります。

参考までに、パロミノミンクで作ったバッグの画像を最後に追加しますが、そんなことを考えながら見ると、こんなバッグでも面白いかもしれません。ちなみにこのパロミノミンクのバッグがインスタグラムでは一番アクセス数が高く人気があります。

今日は、久しぶりに書きましたが、最近、車のメンテナンスのことを知りたくてユーチューブでいろいろ見てると、本当にたくさんのひとがいろんな動画を上げていて、ライブなんてものまでありますね。ライブに参加するひとが1000人超えてたり。すごいです。動画でカフスの作り方なんかやってもいいかと思いましたが、きっと誰も見ないだろうと思うと、無理かな?と思ってしまいます。

少し、真面目にアップしないといけないとも思っています。また書きます。また、見にきてください。

長澤祐一

 

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