「毛皮小物の裏地付け」パターン解釈と、その奥深さ

passione7_3_2015

今日は、珍しく小物の裏地を付けた写真です。アトリエでも、小物の数は少ないですが作ります。この受注はカシミヤコートのテーラーカラーの上えりに乗せエリとして取り付けるミンクのカラーです。

みなさんも毛皮の裏地付きの小物をお持ちでしたら見てみてください。意外に裏地が毛皮から吹き出していたり、裏地がたるんでいたり、毛皮の寸法と合っていなかったり、なかなか綺麗に裏地がついているものが少ないはずです。

どうしても、小物を作るところは、数を作らなければならなかったりして、ものすごいスピードで仕上げられているので、なかなか細かいところまで気を使って作ることができないのです。 (さらに…)

ミンク2枚をジョイントするテクニック

新作の作りで少しブログの更新が滞りました。また今日から少しずつ書いていこうと思います。

せっかく新作を作ってきたので、少し新作で使ったテクニックを書いてみます。今日はミンクを2枚ジョイントしてからレットアウトした写真を紹介して、それについて書いてみます。

ミンク2枚をジョイントするテクニック

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写真1は仕上がったコートです。裾にカーブでミンクが三列はめ込んでありますね。使ったのは日本のミンクです。多分50本くらい買ったなかから6本選んでます。日本のミンクの生産は詳しくは知りませんが、一社しかないようで、その生産量もとても少なく、4月くらいに東京オークションというのがあり、そこで落としてもらったものです。 (さらに…)

【エリのジョイント編】Russian Sable Coat for heavy silvery

今日は前回に続いて、ロシアンセーブルの作りについて書いてみます。

最近のロシアンセーブルコートは、ほとんどが中国で作られているせいか、それとも、セーブルを作るための基本的な技術をもった技術者が少なくなったせいか、正確には解りませんが、毛の長さ、色、雰囲気を全ての接ぎ合わせ部分でチェックして綺麗に仕上げるというコートが、ほとんど見られなくなりました。

セーブルのテクニックとしては、私がいつも言っている、あたりまえのことをあたりまえにこなす、、、ということにもつながりますが、こんなことは基本中の基本なのです。しかし、今は価格も下落し、そして技術も下落したと言わざるを得ません。有名百貨店でさえも、今はシルバリーチップがこれだけ入ったものは見ることはできませんし、作りもほんとに雑なものばかりです。 (さらに…)

Russian sable fur coat (heavy silvery)

ロシアン・セーブル・ヘビー・シルバリー(Russian sable fur coat heavy silvery)の作り

今日は、昨年作ったセーブルコートの作りの一部分をテーマに書いてみます。素材は大変珍しいワイルド3番色のヘビーシルバリーです。青味があってとても綺麗ですね。

ワイルドセーブルの加工で難しい作業のなかのひとつがアゴの部分の黄色く毛の悪い部分をどう取り除くかです。ファームセーブルにはアゴの黄色い部分が少なく綺麗で、ワイルドは多いからです。

しかし、ただカットするだけなら簡単なのですが、写真のようにキャラクター(背筋の黒い部分)が浮き上がるように作らなければなりません。

ということは、接ぎ合わせる原皮の色、毛丈、雰囲気、すべてが綺麗に合わないとキャラクターが浮き上がるようには見えてこなく、原皮一本ごとに見えてしまいます。それでは、綺麗に見えないのです。 (さらに…)

【毛皮クリーニング】オガの効果と汚れ具合

今日は毛皮のクリーニングで使う、オガについて書いてみます。

毛皮用のオガは何種類もあり、用途によって使い分けをしているようです。私のところでは、スペースの問題もあり、そんなに何種類ももっていませんが、それでも三種類くらいの、細かいものから粗目のものを持っていて、素材によって使い分けています。

写真を見てもらうと、色が少し違うのが解りますね。左の少し赤みのあるのが新しいものです。右のオガは青みがついていますが、これは、使用済みのもののオガです。

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新しい原皮を使って作られたコートなどからは、このように色が変化したオガになることはありません。これは、リフォーム品を溶剤で洗い、オガと一緒にドラムがけして乾かしたときにできた、汚れたオガです。 (さらに…)

アトリエでの毛皮の保管方法

今日はアトリエでの毛皮コートや原皮の保管状態について書いてみます。

普段、褪色だの、やれクリーニングだの、と細かいことを書いていますが、じゃ、アトリエではどんな保管をしているのかと疑問に思われるかもしれませんね。

以前は、アトリエでも一般の会社と同じようにカバーに入れるか、むき出しでラック保管かというのが現状でした。コートを一点カバーかけして保管は当たり前なのですが、5年前くらいから少しずつ、ラックにも黒い生地をかけて光がほとんど入らないようにしています。 (さらに…)

毛皮を軽くする

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今日のテーマは「毛皮を軽くする」です。軽くする方法は最近の傾向は、毛皮の分量を減らし、オーガンジーのような軽い素材と組み合わせたりする方法が主流ですね。でも、これは、私にとっては、なんとなく逃げているようにしか思えずにいます。

私がいつも書いている軽さは、このことではなく、毛皮そのものを軽くする方法です。毛皮そのものを軽くできれば、他社がやっている軽い素材との組み合わせをすれば、もっと軽くなります。

そんななかで今日の写真はセーブルの皮を手作業で鋤いたものです。道具は、職人さんならわかると思いますので載せません。 (さらに…)

チンチラのクリーニング後のリフォーム

今日は前回の記事にあった、有機溶剤で洗ったチンチラコートをロングマフラーに仕上げたビデオです。

二点、リメイクを受けて、一点は少し黄ばみがあり、コートにするのはやめました。内容はビデオを見てもらうしかありませんが、柔らかさと毛の風合いです。

大事なことはビデオで、すべて言いたくないことまで言ってますので、書く事はほとんどないのです。

チンチラは場合によっては、新しいバンドルでも、劣化のあるものが、たまに混じります。そんなこともあり、リフォーム品のほとんどが劣化してると言って過言ではないのです。 (さらに…)

毛皮のクリーニングをどこまで知っているか?

今日は、また面白くない、毛皮のクリーニングのお話です。すみません。ほとんどの毛皮のサイトでクリーニングについて書いてありますね。

そして、その内容のほとんどは毛皮はパウダークリーニングがいいと書かれています。しかし、そのサイトでパウダークリーニングがいいと書いた、どれだけのひとが実際にパウダークリーニングを自分でやったことがあるのでしょう。この私も実はやったことがないのです。

やったことがあるひとは、私の予想では、ほとんどいないでしょう。ほとんどが業者任せですから。それくらい、どこかに書いてあることをただ記載しているというのが現実です。 (さらに…)

ロシアンブロードテールの作りについて(パーツ割り編)

ロシアンブロードテールの作りについて(パーツ割り編)

今日は、以前少しだけ書いたロシアンブロードテールと島精機PGM(CAD)というタイトルの内容を少し掘り下げて書いてみます。

写真1はCAD上で、後ろ身頃の原皮の割り振りを書いたもので、矢印右側がバーツを分割したものです。 この割り方で気になるのは背中が一枚の毛皮の幅でカットされていて、その左右は何故細いのか?ということです。

ロシブロパーツ割り

これはイスラエル等で作られる手縫いプレートにも、よく見られますが、中心や身頃前端に安定感を持たせる意味で真ん中やプレート端に一枚皮を持ってくることがあります。 (さらに…)