ホワイトミンクマフラー

今日はストレートのホワイトミンクマフラーについて書いてみます。素材はアメリカンミンク/メスの4サイズです。以前はメスのミンクは3サイズが主流でしたが、今はその上の2サイズが全体のなかで大きな割合を占めています。中にはメスで1サイズや0サイズもあります。

今日のミンクは今では珍しいメス4サイズです。このミンクはサイズは小さいのですがアメリカミンクらしく毛のボリュームは素晴らしい逸品です。そして、サイズが小さいぶん、毛質もとても柔らかく刺し毛も短く、素晴らしい肌触りです。人間の肌も、男性より女性、大人の女性より赤ちゃんの肌が柔らかい、、、というようにミンクもオスよりメス、大きいサイズより小さいサイズのほう、、、というように毛質は繊細になります。 (さらに…)

リフォームにおける刈毛加工(シェアード加工)の問題点

先日、コメントにリフォームの問い合わせがありました。お問い合わせありがとうございます。メールにて返信いたしましたが、メールが拒否されており受け取っていただけない状態にあります。お問い合わせにつきましては出来る限りメールにて、弊社の解る範囲で回答をしております。そのためどうかメール受け取れる状態にて、再度、お問い合わせいただきますようお願い申し上げます。

今回はメールが受け取っていただけないので、当ブログにて掲載できる内容のみを出来るだけ詳細にお答えしてみます。

さて、今回のお問い合わせ内容は

「毛皮マントコート 着丈83センチ 裾一周270 シェアード加工して頂いたら、おいくらですか?」

でした。この問い合わせ内容で、今出来るだけの回答をしてみます。お問い合わせ内容に素材名が書いてありませんので、とりあえず素材はミンクであろうということを前提に回答いたします。

結論から申し上げますと、あまり、お勧めは出来ません。

理由:

刈毛加工をするために一度、裏地、全ての付属を外し、さらにコートもパーツごとにばらし、身頃、袖、エリ等全てのパーツ状態にし、さらにダーツ等もほどき全てのパーツを平らな状態にしないと刈毛加工ができません。

さらに刈毛加工段階でそれぞれのパーツの細い角の部分などはちぎれてしまい毛が短くカットされてしまうことが多いために、角の部分のすべでをレザー等を縫い付けて角の状態をなくさなくてはなりません。そのため、デザイン替えの刈毛加工よりも手間がかかり、その分加工賃も割り増しになります。現状維持のデザインのままでは元に100%戻すのは、以外に難しいのです。

それと、加工賃も一度全て、バラバラにしたものをもう一度形にしていくので手間は最初から作るのとほぼ同じ手間がかかり、一般的には高額になりがちです。金額はここはブログ記事ですので触れませんが、見た目の変化よりも高くつくケースが多いと思います。結果的に刈毛加工しかしていないにも関わらず、高額になるため仕上がりと価格のバランスがとれず、あまり現実にビジネスにはなっていないように思います。

ですから、一般的には料金は上がりますが、デザインを新しくするか、もしくは表生地の中にライナーとして刈毛した毛皮を使うというリメイク的な受注になることが多く見受けられます。そのため、最近はリフォームの業者さんも刈毛加工は料金表からも消えているケースが多く、刈毛して、そのままのデザインに戻すことはほとんどないように思います。

そして、刈毛加工そのものに、問題が多く含まれることもあり、おそらくクレームやトラブルが多過ぎて、メニューから除外されてしまったのだと思います。

仕上がりについて少しコメントします。

一般的には刺し毛のついたミンクを刈ることによって、中の綿毛の色がハッキリしてきますので、最初に作る技術者がよほど、綺麗に色を合わせていない限り、なかなか色が綺麗に仕上がりません。刈り上がった状態を見ると8割はそのままでは使うことができません。毛皮をほどき並べ替えたりしないと綺麗にならず、そのままのデザインに戻すことは不可能に近い状態になります。

当社は、リフォームが専門ではなく、お客様やお取り組み先様へのサービスの一環としてリフォーム、リメイクをしておりますので点数は多くはありませんが、私の経験上では刈毛して、そのままの使えるほど綺麗なものは、これまででも、3点くらいなものです。もちろん、どのレベルを基準にするかということもありますが、私の基準では数点でした。もちろん、値段が高いものが良いかというとそういう訳ではありません。あくまでそのときに使われたバンドル(毛皮の束)の色が揃っていたとか、作られた職人さんの技術が高かったとかいうことが仕上がりに一番影響を与えます。

余談になりますが先日も、毛皮業界では有名なビスカルディというブランドがあり、そのミンクコートのリメイクをしましたが、もとの価格が高額なこともあり毛質は素晴らしいものでしたが、色は刈ったら駄目だろうなというようなレベルでした。幸い、刈るリメイクではなく、素材はそのまま生かすというリメイクでしたので大きな問題もなく綺麗に仕上がりました。要は買った値段が高かった、イコール、刈毛してもOKにはなりません。

そんなこともあり、一般的には表の毛皮としては使うことが出来ずに仕方なく中のライナーとして使うことが多かったのだと思います。

さらに、一般的な刈毛の加工したコートは毛流れが逆毛で作られていて、そのために黒であれば、漆黒の黒というように深みのある黒になります。毛の向きが見る方向や光の方向に対して向いているので光を反射せず色に深みをもたせます。しかし、お客様のケープが万が一、普通の並毛(上から下に流れる)で作られているものならば、一般の商品とは毛の流れが逆になりますので、毛の反射があり、黒でも白っぽくみえるようになります。ですから、写真でみている刈毛のコートと同じようにはみえないのが現実です。

マントの加工方法がレットアウトという細かくカットして縫い合わせているものであれば、縫い目のラインが刈毛することによってはっきり見えてきます。これも、マイナス要因の一つです。

さらにリフォームの場合はカットの毛の長さですが通常は7~8mmくらいで刈ります。理由はすでに縫い目があるのであまり短くすると縫い目がしっかり縫えていない場合、粗が見えてしまいます。商品は一般的には最近は短くなる傾向で当社では6mmくらいです。ただし、リフォームの場合は、メスのミンク等、毛のもともと短いものは頭の毛の短い部分につきましては刺し毛が刈り切れず少し残ってしまいますので、これも問題の一つです。

以上が、すでに商品化されたコートを刈毛するということでの一般的は問題点です。今回のお問い合わせにあたり、他社のサイトもいくつか見ましたが、刈毛のみをしてデザインはそのままに戻すという加工方法での料金表は見当たりませんでした。

上記のいくつかの理由で、仕上がりの割にはお値段が高くつきますので、今回の加工は私どもではお勧めはいたしません。万が一やるというところがあるかもしれませんが、私が書いたいくつかの問題点を業者さんにぶつけてみてください。まともに回答できないところでしたら、その業者さんはお勧めはできません。

お勧めできるとしたら、プラクト(抜き毛加工)でしょう。今のデザインが気に入っていらっしゃるのであれば、形はそのままで刺し毛だけ抜くことができます。価格もおそらく刈毛するよりは安く済むはずです。その理由はプラクトは全て手作業でコートそのままの状態でできるからです。裏地を外したり毛皮をばらしたりすることなくできます。ただし、上の文でご説明させていただきましたが、色については加工前によくチェックしてもらう必要があります。刈毛よりはチェックは甘くしても少しは大丈夫です。これにつきましては説明が長くなりますので省きます。

ひとつ、注意しなければならないのは、マントのミンクのタイプがヨーロッパのものかアメリカタイプのショートナップ(刺し毛と綿毛の長さの差が少ない)のものとではプラクトの手間が大きく違いますので価格も違います。さらに付け加えるならば、アメリカンタイプの綺麗なみんくであればカットしたりプラクトしたりすることはお勧めしません。理由は刺し毛のついたミンクそのものに大きな価値があるからです。

一応、今回のお問い合わせで回答出来るのはここが限界でございます。これで、解らないところがございましたら、再度ご質問頂ければ助かります。何度でも、お答えいたします。次回は写真等がありましたら、もう少し具体的な提案もできるのかもしれませんので是非写真も添付して頂ければと思います。

長澤

追伸:写真は一般的なレットアウト加工したミンクコートを刈毛加工(シェアード加工)をしたものです。これは見てもらうと解りますが、刈ってもとても色がそろっていて綺麗な仕上がりです。このクラスはなかなかありません。これはレットアウトの縫いもしっかりしていて、色合わせも綺麗です。これだけ見ても作った人の技量がわかるコートです。このクラスになると、刈毛以外のどんな加工をしても綺麗に仕上がります。(長澤)

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回転仕上げアイロン(ローリングアイロン)

当社のアトリエのコンセプトに一般的な毛皮縫製工場にない設備をそろえていますと謳ってますが、ちょうどいいコメントがあったのでご紹介いたします。

確かにこの回転仕上げアイロンはなかなかありません。特に日本の毛皮加工工場では価格が高額なのとスペースも結構とることもあり、なかなか導入が出来ません。

しかし、これがあると仕上げのみならず、加工の途中でもいろんな使い道があります。特に最近多いシェアードミンクや抜き毛(プラクト加工したもの)などの素材では、とても有効です。リフォームの記事でも書いていますが、毛皮も人の毛髪と同じで湿気で縮れたり、艶がなくなたり、根元からべたついたりと様々な現象が起きます。特にリフォーム品は時間の経過とともに空気中の湿気で、抜き毛関係の毛皮は全て毛が縮れてしまい、最初の透明感はまったくなくなり、ぼそぼその状態になります。

当社が一般のリフォームと差別化するひとつに、毛質をしっかりと元に戻し、本来の毛の輝きを出そうとしてることがありますが、それをするにはこの回転アイロンが間違いなく必要になります。そうすることで、ただ、形を変えるだけのリフォームに終らずに、毛質もリフレッシュするという、お客様が本来気がつかないところにまで手をかけていくことができます。

このアイロンで仕上げをすると、必ず、ワ~~~っと言わせることができます。一般的にはチンチラを触った方が、その独特な柔らかさに感動の声をあげますが、仕上げをしたミンクでも同じように感動させることができる、そんな機械です。人間が何回アイロンをかけてもブラシをかけても、まったくかないません。実感してみたい方は会社までご来社ください。

ビデオに映っていらっしゃるのは細井健一様で、毛皮業界のなかでも有名な方でいらっしゃいます。ビデオでも解るとおり、とても毛皮に対して知識が深く、細井氏は日本人で唯一、国際毛皮連盟の理事を8年間任期を努められた方です。

長澤

↓ おしゃれファー最前線 毛皮のローリングアイロンでメンテナンス
http://ishiifur.blog101.fc2.com/blog-entry-289.html

細井健一様 インタビュー動画 YouTube

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コラボではなく調和

アトリエの紹介のところにも書いてありますが、デジタル化すると便利な部分も多くあり基本的には絶対にすべきだと思っています。しかし、最近やり過ぎることで効率を上げるためのデジタル化が効率を悪くしてしまうこともあり、一度、大きく見直すべきときだろうと判断し、取り組んでいます。

例えば当社アトリエで、なくてはならないCADですが、最近、見直さなければと思うことがひとつあります。CADはデジタルそのもので、長さの単位は0.1mm(アパレルcadでは)まで表示します。これがくせ者です。

普段、私たちのアトリエが使う、紙ベースのパターンでは0.1mmまで計ることはありません。というよりも鉛筆の太さが0.1mmの区別が出来る線が描ける訳ではないので、当然0.1mmの表現はできません。しかし、CADだと小数点第一まで表示しますので、どうしても全てのパターンの寸法を一致させようとしてしまいます。CADを操作していると、どうしてもそこまで拘りたくなります。

パターンを作るものの性とでも言えばいいのでしょうか、普段紙ならわからない誤差が気になってつい修正しようとしてしまいます。受注品については拘らずにやってみようと思い始めたところです。原型については、その後の展開で、そのわずかな誤差が大きな差になりかねないので合わせるしかないのですが、一般の作業については気にせずにやってみることにしました。

CADだけではありません。一般のデータ入力でも、ついつい正確に記録をと思っていると以外に時間も無駄にしてしまい、さらに一つのデータをついつい複数記録をしてしまい時間を無駄にしてしまいます。例えばスケジュール管理、納期管理、作業日程等、書き出すとあっちもこっちもです。そして、以外にデジタル化したはずが、入力ミスや転記ミスで大きなミスが出たりします。データを記載するためのファイルの一本化を徹底してしないと、逆にミスが多くなります。

そして、データの記載場所が一本化されないことで、アナログの道具と同じように、どのファイルに書込んだかを探す結果になり、デジタル化が無駄な時間を作ってしまいます。アナログの道具は目に見えますが、ファイルは見えないので検索してもでてこないときもあり苦労して探します。

最近、このいくつかの落とし穴から、なんとか抜け出そうともがいています。アナログとデジタルのコラボを目指してましたが、今はコラボではなく調和です。

写真は愛機マックプロです。これはほとんど仕事では使ってません。ブログを書いたり、ギターのプロツールス等に使っていて、スピードも早くとても気に入ってます。いまだに解らないところがありますが、とりあえず使えてしまってます。このとりあえず使えてしまってるというところがマックらしい感じがしてます。いまだに本来のdeleteキーの使い方が出来ずにバックスペースとしての使い方しか出来ません。このマック、思いっきり二度程落としてしまい、本体が凹んでますが、まったく壊れる様子がありません。我ながらいつもそうなのですが、大事に使うというよりも使い倒してしまう傾向にあり、もう下取りもしてもらえる状態ではなくなってしまいました。

長澤

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アトリエの配置換え

今日は道具の片付けについて書いてみます。最近、アトリエのなかを大幅に配置換えをしました。これまでは島精機のSDSーONEが私の作業位置から少し離れていましたので、今回はこのCAD/CG専用機を私の作業台としている大きなバキューム台やミシンのすぐそばに移動しました。

これによって、毛皮を作りながらパターンを作成する、またはその逆にパターンを作りながら毛皮を加工するという、常にパターンと毛皮の加工方法が一体となり同時進行の作業ができるようになりました。

そして、このブログ記事も仕事をしながら思いついたことをすぐ書くということもできるようになり、わずかなアイデアももらさず書き留めることができています。

今日の写真は作業台の横に道具を片付けられるようにしたものです。25年くらい前になりますが、埼玉県の栗橋町というところに住んでいて、独立する前の会社で働いていた頃、何故か私は社長の息子ではないのですが、町の商工会青年部というところに入れられてしまい、さらに、そこには小峰工業株式会社という会社の小峰陽吉社長というかたがおられ、その小峰社長が中心となり、工業現地研究会というものを開催し、青年部もそこに属し勉強会をしておりました。

栗橋町という小さな町の勉強会でしたが、この小峰社長(現在は会長)のちからのすごさは今も記憶に残っているほどです。今は小峰会長はネットで調べたら財団法人 アジア学生文化協会というところの非常勤理事をやっていらっしゃるようで、蒼々たるメンバーのなかで会長の名前をみつけたときには、つくづくいいひとに教わっていたんだとあらためて思いました。

そこで学んだものは、当時のトヨタのジャストインタイムはもちろん、それ以外にもコンサルタントの先生がきたり、各参加企業の仕事場をみたりと大変勉強になったことを思い出します。その勉強会のなかで、4Sという言葉を聞き、その内容は整理、整頓、清潔、清掃 で四つのSからとったものでした。さらに、それを進化させた形に、5Sというのを習い、それはこれまでの四つのSの中心にくるという、躾の頭文字からとった5個目のSでした。

如何に、4Sを謳っても、それを実行する躾がなければ4Sは機能しないということが研究でわかったということでした。何を隠そう私もこの躾に苦労しております。もちろんスタッフの躾ではなく、私自身の躾がいまだに発展途上の段階で、毎日片すべきところに片せずにおります。

こんなことで少しでも、片付けが上手くなり、自分を躾けることができますようにという思いで、作業台の横に、この道具片付け位置を作りました。もちろん効果ありでした。ものをいくら片付けろと言っても、そこに片付ける合理性がないと、なかなかひとは片付けてくれません。整理整頓ではなく、以外に、ただの整列になっている場合が多いのです。合理性を持たせる整理整頓はなかなか難しいものです。しかし、はまるとここしかないという感じになり、片付けることが気持ち良さに変わります。

追記 まだやれてないですが、本来は道具を掛ける板に道具の形のラインを描くと完成です。そうすれば誰でも、どこに片付ければよいかがわかります。この誰でもわかるというのが大事なのです。

長澤

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展示会とチンチラマフラー

こんにちは☆スタッフ服部です(´▽`)ノ10月に入って、やっと少し秋風を感じられるようになってきましたが…そろそろ毛皮アイテムのご準備はお済みでしょうか?アトリエでは秋口からお使いいただける小物が徐々に仕上がってきており、特に今年の新企画で登場したチンチラのカラーマフラーは人気商品となっております♪

先日は店外催事があったので、この機会に新色としてハーベストパンプキン(オレンジ)やグリーン・ターコイズブルーに染めたチンチラのマフラーを追加用意して行きました。今までの新色分と一緒にテーブルに陳列すると、まるで虹のよう(笑)7色よりも多いですが、見ごたえのあるラインナップとなっております☆ (さらに…)

アップル社のキャッチコピー

一昨日、業界で私の尊敬する一人である、取引先の社長に、ご来社いただきました。社長との初めて顔を合わせたのは、正確ではありませんが、おそらく14~5年前に出展した最後のアウターウェア東京という国際見本市でした。もちろんそれまでにも、仕事に必要なものをいろいろと仕入れをさせて頂いておりましたので、仕事上でのお付き合いはありました。

しかし、それまでは電話でお話をさせていただいていただけで、お会い出来たのは、その見本市が最初でした。それ以降、とても可愛がっていただき、これまでにも、ご来社していただき、いろいろなことを教えていただいたり、社長が気になった記事をFAXで送ってくださったりと、ことあるごとに気にかけて頂いております。

あの見本市のときに、社長に私たちのブースのテーブルに座っていただき、名刺交換をさせていただき、少しの時間でしたがお話させていただいたことを記憶しています。今のように、大切なお付き合いをさせていただけることになるとは思ってもおりませんでしたが、当時ひとつだけ私のなかに強く残るものがありました。

それは、当時のアップル社のチャッチコピーをテーブルの上に残してお帰りになられたことでした。社長がわざと忘れたのか、置いていったのか、それとも本当に忘れたのかは、社長本人には確かめてないのでわかりませんが、私はそのキャッチコピーに釘付けになったのを今も鮮明に覚えています。当時も今も毛皮業界にアップル社のキャッチコピーを持ってくるようなひとはおりませんから、とても驚きでした。

そして、そのコピーのなかに当時、自分の目指す何かがあったように感じ、会社の壁に貼ったりしていて大事にしてきました。もう軽く10年を越して紙も焼けて黄ばんで劣化してしまっていて、それでも配置換えの度に壁からはがし、都度捨てることなくずっと持っていました。

今は社長が時折、FAXで送ってくれる記事と一緒に大切にとってあります。社長が帰られ、頂いた記事を整理しているときに、久しぶりに目にすることができました。

私のなかで一度は大きな挫折もあり何かを目指すという強い気持ちも消えてしまったようなときもありましたが、久しぶりに読み返してみると、自分の中の思いはなにも変わっていないのだということを感じさせてくれました。

それと、もうひとつ感じたことは、当時の15年くらい前のアップルの状況を知っているひとは思い出して欲しいと思いますが、そんな当時にあのキャッチコピーを読み何人のひとが今のアップル社を想像できただろうかと思い、そして、そんななかでも自分の思いを信じて信念をもって頑張った人たちがいて、今のアップル社があるのだと思うと、この15年はアップルやマックユーザーにとっても、とても感慨深いものがあるのだろうという、そんな、いろんなことを思い、感じさせてくれる、ありがたい、A4のコピー紙に写ったアップル社のキャッチコピーでした。

余談ですか、私も昨年からマックを使っていて、デザインの素晴らしさ、このワクワク感は他のコンピュータでは味わうことが出来ません。

長澤

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特殊なしつけミシン「PFAFF343」 

特殊なしつけミシンPFAFF343

パショーネのアトリエには一般的な毛皮縫製工場にはない設備を揃えていますが、今回は、その一般的な毛皮縫製工場にはないというタイプのミシン、特殊ミシン「PFAFF343」をご紹介いたします。

このミシン、一般的には紳士服等の工場さんにあるミシンかもしれませんが、毛皮の工場では、ほとんど見かけません。紳士服の前芯などを取り付けるために一時的に粗止めをするためのミシンで、針を送る機能がなく、ランダムに手で自由に動かし針を落とすというミシンです。

特殊なしつけミシン「PFAFF343」 は、アームタイム(腕ミシンともいいます)で、テーブルから上に縫う部分が飛び出しているミシンですが、当社では、この腕ミシンタイプで使うだけではなくフラットなテーブルの状態でも使いたいので、テーブルを抱かして使っていました。

しかし、毛皮のコートでは小さいテーブルの上にのりきらず滑り落ちてしまうこともあって、最近、新たにテーブルを継ぎ足しました。白い部分がそうです。パショーネでは、大半の機械は、そのまま使うことはありません。どこかしら自分仕様にして使っていきます。特に機械が好きというわけではありませんが、使いやすさや効率を求めて改良していきます。(与えられた機械をそのまま使うだけでは独自の技術は生まれてこないからです)

毛皮作りにはとっても手作業が多く、どうしてもたくさんの作業時間がかかります。ただし、そのなかでよく見ると機械化できる部分が結構あります。一般の工場では費用対効果でみて合わないものは敬遠するのかもしれませんが、私たちは、それがどんなに小さな作業でも、機械化できそうなものは徹底して機械化を進めています。それが人の感性を生かした、最良のもの作りを行う助けになると信ずるからです。

そうすることによって、本来、人間の一番大事な感性や技工を生かすために費やさなければならない作業に、充分に時間を使い私たちの個性を仕事に生かしていけるからです。できる限り、人でしか出来ない仕事に時間を使おうという意識がそうさせています。

効率を上げて儲けるということも大事なことですが、どちらかというと、機械で出来ることは機械に任せ、人の手でなければ出来ないことに大切な限られた時間を使う・・・、これが私たちパショーネの設備投資に対するコンセプトです。

長澤

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バランスの良い、デンマーク産チンチラ

デンマーク産のチンチラ

今日は良いチンチラの原皮を仕入れました。写真のチンチラがその原皮(デンマーク産の40サイズのチンチラ)です。

チンチラについては以前も書きましたが、今回はまた少し違う視点で書いてみようと思います。

チンチラには黒い背筋があることは、チンチラを知っているならほとんどの人が承知のことと思います。そして、この黒い背筋によって価値が変わることも一般的によく知られていることです。

ただし、黒いだけでは最高のランクとは言えません。今回は、その一般的な常識の黒いだけでは最高の物とは言えない理由を書いてみます。

チンチラの背筋は当然、薄いよりは濃い方が良いのです。私が思う本当に良いチンチラとは、そのキャラクター(背筋)の濃さ・その横のグレーの部分・腹の白い部分のバランスがよくとれています。

背筋の色以外にも、これはあまり知られていない事ですが…黒い背筋の部分の毛がうねるように毛が曲がっているものがあります。その割合は(私の経験上では)これまで見た原皮の半分以上は、このうねりのあるタイプでした。

また、反対に全くうねりがなく毛が真っすぐに生えているものがあります。もちろん、後者のほうが圧倒的に綺麗です。 何故かというと、並毛で見ると黒い毛がうねっているとギラギラと乱反射して見えます。真っすぐなものは乱反射せずに深く沈み込むように黒く見えます。この違いはとても大きいでしょう。

この、毛にうねりのないタイプで…更に三つの色のバランスが良いものが私は最高のチンチラだと認識しています。おそらく、一般の職人さんは、このことは気にしていないでしょう。気にしてると限りのある原皮の枚数では商品が作れませんから。

これは、毛にうねりがなく・三つの色のバランスが良い原皮をそろえることが出来て、よい技術で作れば素晴らしく綺麗なものが出来上がるということです。

付け加えますと、チンチラの毛がうねっているのは背筋の黒い部分のみです。黒い分だけ毛が弱いのかどうかは…解りませんが間違いなく、うねるのは背筋だけです。

ミンク等はスチームをあてればうねった癖がとれますが、このチンチラの背中のうねりは、どんなにスチームをかけてもとれません。生まれつきの個体それぞの性質のようです。

今回の原皮の写真は癖が全く無く・背中心がしっかり濃く・グレーの部分もバランス良く・腹も真っ白・・・と、いわゆる三拍子がそろったタイプです。このタイプの原皮を探すことは意外にも難しいのです。例えるならば、50枚のバンドルの中に1割程度と…少しくらいなものです。

それ程に、どこからどう見ても綺麗な原皮というのは少ないのです。コートを作るほどの数はなかなか揃いませんので、私はいつも小物で最高のものを作る時に使います。

6月25日のチンチラのショールは、珍しく納得のいく原皮で作ったものです。このランクで、これだけの枚数をそろえようとすると、バンドルをたくさん買うかバンドルをばらしてもらって選ぶかしかありません。(原皮屋さんにはきっと、嫌がられることでしょう。それでも、こんな原皮が欲しいのですが・・・)

そして、今回のデンマーク産と他の産地との違いを説明するのは非常に難しい事ですが、確実に何かが違います。デンマーク産のチンチラは、高いですが、やはり買う価値があるものです。

長澤

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サファイヤミンクのバッグ & ポーチ (リフォーム)| Sapphire Mink Bag & Pouch

こんにちは、スタッフ服部です。やっと少し秋を感じられるようになってきたような気がします。アトリエもこれからの毛皮シーズンに向けて奮闘中です(^-^)/

さて、今日はバッグのリフォームのご紹介です。お手持ちのコートをリフォームした際に余った毛皮でバッグと小さなポーチを作りたいというご希望でした。

バッグはミニサイズのボストンバッグのようなデザインで、ファスナーの位置を下げ口が大きく開くようになっておりますので小さいながらも使いやすい仕様に仕上がっていると思います。持ち手は組紐をご希望でしたので、毛皮の色に合うものを探しました。

毛皮と異素材の組み合わせを行うことはよくある事ですが、ナチュラルの毛皮と同系色で違和感の無い色合わせを行うことは意外にも難しいことがあります。黒・茶・グレー。。。等と一言で表すことは簡単ですが、実際には毛皮と付属として使用する素材の両方に赤み・青み・黄みなどの色の違いがあります。

それぞれの素材を組み合わせた時に、違和感なく仕上がるようにすることは簡単ではありません。今回も何色もの紐の中から3色の紐に絞込み、最後の持ち手を取り付ける段階で最終的に全体の色のバランスを見て選び抜いております。

最終的には淡いシャンパンゴールドの組紐にし、毛皮をメインにしながらオシャレ感のある組み合わせになったと思います。また、組紐を合わせることで和装にも洋装にも合うバッグとなり、コーディネートも合わせやすいバッグに仕上がったと思います。

セットでご希望の小さな猫ちゃんポーチはカットビーズでお顔とし、ヒゲも取り付けました(=‘x‘=)こういったお顔付きのポーチは初めてのお作りでしたが、可愛い表情に仕上がりました。

リフォーム等の際に毛皮が意外にも沢山残ってしまった場合にはこういった小物を考えてみると、更に冬のお洒落が楽しくなるかもしれませんね(*´▽`)ノ☆

服部

サファイヤミンクのバッグ&ポーチ(リフォーム)| sapphire mink Bag & pouch

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