ロシアンブロードテールのMEN’Sロングコート

今日は5月24日に紹介したロシブロの原皮で作ったメンズロングコートをご紹介いたします。以前、マホガニーミンクでシルクリバーシブルコートを作らせていただいたお客様のコートです。画像が小さくて残念ですが、それでも腑(毛皮の模様)の豪快さは充分に伝わると思います。皮もとても柔らかく、この豪快な腑が動くと圧倒されます。

以前作らせていただいたマホガニーミンクのコートも、お客様には自分の自慢であり、宝だと言っていただいたこともあり、今回の仕上がりにも大変気を使い、細部まで気を配り、そして大胆さを失わないように努力しました。

以前も書きましたが、ロシブロの最大の良さ、凄さは見る角度によって見え方が変わることです。そして、グレーの色も角度によって黒く沈んでみえたり白く光ったり、紫ががったグレーに見えたりと表情が都度変わります。 (さらに…)

ダウンコートの袖丈のお直し

こんにちは、スタッフ服部です。今日はちょっと珍しいお直しをしましたので、ご紹介させていただきます(=´∀`)ノ☆

この珍しいお直しとは・・・ダウンコートのお袖丈つめです!!毛皮のコートの袖丈のお直しはよくある事ですが、今回は一般的な生地のダウンコート(襟とカフスに毛皮付き)でしたのでアトリエとしても初の試みでした(^^;)しかも、袖に飾りベルトのあるデザインの為に(ベルトはそのまま残したいというご希望でした)どのように直せば良いものか…非常に悩まされました。

悩んで・・・考えた結果、一番下のフェザーの入っている縫い目と縫い目の間で生地を切り、必要な長さを縮めた状態で再び縫い合わせるという方法をとることにしました。この方法なら一番下のカマボコ状の幅は狭くなりますが、カフスのすぐ上で目立ちにくく、ベルトもそのままに残すことができます。

このような袖丈や着丈のお直しで生地にハサミを入れる瞬間は毎回とても緊張します。・・・生地は切ってしまったら元には戻りませんので((((;゚Д゚))))ドキドキ

更に今回はハサミで切ったところから次々にフワフワとフェザーが出てくる出てくる(T ^ T)ノ゜。・゚・゜。想像以上にフェザーが出てきて、あっちこっちにフワフワしている様子は一足早く雪の中で作業をしているような気分です(笑)このフェザーも飛んでいってしまわないようにそぉ~っと集めて袋へ一時保護をし、縫い合わせる時にまたそぉ~っと中に詰めながら縫いました(^_^;)

慎重に作業を進めたので、仕上がりは十分綺麗に仕上がったと思います。長さを縮めた分、ベルト上のカマボコ部分が狭くはなっていますが一度抜けたフェザーもしっかり詰めてあり、まさか出来上がっているダウンコートの袖を切って直したなんて思えないのではないでしょうか?

通常であれば、なかなか手をかけることなどないダウンコートですので、今回のお直しはとても慎重に・気配りが必要なものでしたが非常に貴重な経験になりました。

服部

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シルバーFOXマフラー(Silver Fox)

こんにちは♪スタッフ服部です。夏が来た!と思ったらあっという間に立秋が過ぎてしまいました・・・

毛皮の季節も一瞬のように来てしまいそうですね(;´д`)さて・・・今日はオーダー小物のご紹介・シルバーFOXのロングマフラーです。両面が毛皮がご希望のオーダーでした。

FOXを原料としたマフラーで両面が毛皮の物はボリュームの関係でしょうか、なかなか無いようです。

今回は両面毛皮・ロングマフラーということで、特に毛皮の柔らかさ・しなやかさ・軽さがポイントになっております。ロングマフラーですから、軽くクルっと巻けなければいけませんし、重さで苦しくならないようにしなければなりません。

今回は原皮の間に何本ものレザーを挟んでしなやかさを出しております。このレザーを挟んで縫う作業・・・これが横で見ていてもちょっと引いてしまうような大変な作業でした。。。

しかし大変な大変な(笑)作業の後に仕上がったものは、とても上品で良い逸品となりました。

服部

シルバーFOXマフラー(Silver Fox) | PASSIONE

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パフ(PFAFF) 3560

今日はパフ(PFAFF)3560というドイツ製の自動機について書いてみます。パフ社は主にアパレル縫製機器、特に大型機器をたくさん開発している会社です。

今回ご紹介するPFAFF3560は、パフ(PFAFF)社が28年くらい前に、毛皮のビジネスが日本でも勢いを増してきたころに開発された大型のミシンです。毛皮にはレットアウトという、毛皮を斜めにカットしてそれをずらして縫うテクニックがあり、当時はこの加工方法を使ったコートがたくさん売れていて、このレットアウトにとても大きな労力と時間をかけていました。パフ社がこれを人間の手ではなく、機械が全て縫ってしまうという画期的な自動機を出したのです。

価格は全ての費用を足すと、大きめのマンションが簡単に買えるような値段になっていました。しかし、当時、毛皮がどんどん売れていたことや景気もよかったこともあり、高額なミシンにも関わらず国内に10数台入ったそうです。

当時は、このミシンが入ったものの、上手く使いこなすことが出来なかったり、思うように動かなかったりという噂がありました。しかし、ミシンの設定と使い方を工夫すれば使えるのではと思い20年前に、すでにどこも使ってない状態で廃棄したり売りたがっているところがあったので中古で2台買いました。

買った当初は、この機械と毎日格闘するような毎日でしたが、日々の症状をデータ化したりパーツを加工したり、機械全体を調整したりして、やっと最高の状態で縫えるようになってきました。もう、メーカーにもパーツ在庫もない状態ですが2台分のパーツのストックがあり、当面は心配なく使える状態にあります。

ビデオでは縫っている一部分しか見せられませんが大きさは横2.5メートル以上もある大きなものです。当初パフ社はミンクその他の短毛素材のレットアウトという謳いでしたが、当社では高級商材のセーブルで極薄の皮も、このミシンで縫っています。機械は難しいともいえますが、ちゃんと機械が望むように設定・調整をすれば、これほど充てになるものもありません。


パフ(PFAFF) 3560 – PASSIONE

レットアウトを機械でするメリットは伸ばしたい長さに正確に出来るという点です。通常は原皮の左右を縫うのに人間がミシンで縫う場合、人の手の誤差や縫い目が左右で逆になることもあって、それぞれの縫い上がりの長さに誤差がでます。毛皮の皮が伸びる素材ということもあって、縫い上がりの誤差を伸ばしたり縮めたりして調整をしてごまかしています。

長さを調整して、ごまかすことは技術者は一般的な技術と受け止めていますが、実際は皮の左右で、皮を引いている縦横の比率が変わります。コート全体で考えれば至る所でそういう状態の皮が存在する訳です。これが、後の形の変形や歪みの原因になります。

毛皮のコートは一応パターンを使用して作りますが、その後に、生地にバイアスがあるように、毛皮の皮も伸びたり縮んだりしますので、パターンそのままの形を保持しながら、柔らかさや軽さを表現するのは、かなり高度な技術が必要になります。

そんな意味からも、レットアウトがどの皮も予定した長さに縫えるということは、とても大事なことになります。PFAFF3560は人の手ではとても難しいレットアウトを高いクウォリティで仕上げてくれます。もうとっくに寿命は過ぎていますが、いまだに当社では動き続けています。

おそらく、この自動機が動いているのは世界でも当社しかないのではないでしょうか。ミシンが動くところを見たことがないひとが大半だと思いますので、今回は動画でお見せいたします。このミシンで縫ったものが7/7スカングローミンクロングコート、7/19パールミンクロングコート、8/3セーブルショール、8/7ブラックグラマミンクハーフコートです。是非、ご覧いただけたらと思います。

長澤

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島精機 アパレルCAD・CG専用機「SDSーONE」

今日はニット編みの自動機をメインに作っている島精機という会社のアパレルCAD・CG専用機「SDSーONE」というコンピューター、その中のCGの部分についてご紹介いたします。

当社がSDSーONEを買ったのは9~10年くらい前になりますが、その当時は東レやユカアンドアルファのシステム導入も検討しておりました。最終的島精機に決めたのはCGのレベルが他社とは圧倒的に違っていたという理由からでした。価格もそれなりに高額でしたが、その価値はあると判断したからです。

CGソフトでは代表的なフォトショップがありますが、当社でやろうとしていた毛皮の質感をそのままに残した状態での色替え・抜き取りはフォトショップでは上手く出来ませんでした。

しかし、このSDSーONEのCGは私たちの望むとおりの仕上がりが得られ、さらに合成加工も素晴らしく、コートのエリを大きくしたり別の素材に替えてみたりと、大半のことが思うようになりました。特にとても役立っている点がふたつあります。

ひとつは8月3日の記事に載せたセーブル(ワイルドヘビーシルバリー)の4用ショールの画像を見ていただければ解りますが、多くのサイトで載せられている画像は、毛足のあるものの画像の抜き取り処理が大半が端をぼかしながら毛の端の毛羽立ちを表現されています。一般的には毛皮だけを取り出そうとするとこの方法しかありません。

しかし、このSDSーONEのCGではトルソーを半透明にするためにショールだけを一度抜き取りますが、毛の端のわずかな毛羽立ちまで完璧に抜き取れます。一度この画像を拡大してもらえれば毛の端が、ぼかしで処理しているのではないことがはっきりとわかります。

もう一つは私たちが大事な事としてこのCGに注目したのは色を変えることのリアルさが素晴らしかったからです。当社ホームページのTOPにある画像の色を替えたものを掲載しますので是非ご覧ください。

画像が小さくで分かりづらいですが、大きなサイズでみるとどちらが最初の画像か分からないくらいに綺麗に色替えが出来ています。(実際の最初の色は左のネイビーです。右はボルドーに変更させたものです。)

エリの大きさや素材の変更・新色のイメージの確認など、新作の企画には大変役に立つ機能です。
SDSーONEはパショーネの毛皮作りには無くてはならないものになっています。

長澤

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一番良いチンチラはブラックベルベット??

 

今日はチンチラのブラックベルベットと普通のタイプの違いについて書いてみます。

チンチラは毛質の等級とキャラクターの濃さの等級でランクわけされています。

キャラクターの濃さはXD(エキストラダーク)・2XD・3XDまであり、ブラックベルベットを3XDの中に入れるか単独で扱うかは生産者によって違いがあるようです。

まず等級わけについてですが、なんといっても毛皮は自然のものなので、計測したようにぴったりに分けるわけにはいかず、あくまで人間が見たり触ったりして判断して分け、バンドルにされています。写真にある半裁のチンチラマフラーは2XD(ツーエキストラダーク)くらいランクのもので作られています。

この2XDよりも更にキャラクターが濃いものに3XDやブラックベルベットと呼ばれているタイプがあります。これはキャラクターが真っ黒になっており、価格もそれなりに高くなります。

そして、この3XDやブラックベルベットのようなキャラクターの濃いタイプの原皮には、一般的には知られていませんが、毛質の違う二種類のタイプがあります。一つは2XDをそのまま濃くしたタイプ。もう一つはキャラクターの毛質や全体の毛質がさらっとしていて毛が弱いタイプのものがあります。

一般的には2XDや3XDのキャラクターの毛の色は毛先が真っ黒で、先から3mmくらい奥でいったん白くなります。その奥は根元までグレーになりますが、ブラックベルベットの毛の弱いタイプは毛先が黒から始まって、そのまま白にならずに自然にグレーに変化していきます。さらに一般のチンチラとの違いはこのタイプのブラックベルベットとは頭まで真っ黒です。

後者のこのタイプの原皮は多くが毛質が弱く、ボリュームが少な目のものが多いように思われます。ブラックベルベットといっても、それほど綺麗とは言えないものもあります。

もっとわかりやすく言うと普通のタイプのチンチラとブラックベルベットのチンチラのタイプは元々の品種が違うと思った方が良いでしょう。

そして、全てのブラックベルベットが良いのではなくブラックベルベットのタイプにも、それぞれ品質に差があるということでしょう。

ですから、このブラックベルベットタイプの原皮にもボリュームが多いタイプもあり、それはキャラクターが濃い上にボリュームがあるので素晴らしく綺麗です。

ひとつの商品のなかに、この毛質の弱いタイプのブラックベルベットが混ざって作られていることがよくありますが、本来は通常のタイプと一緒に使うべきではないでしょう。

6月26日のチンチラの劣化の原因に載せた写真のチンチラはこのタイプのブラックベルベットではないですが、キャラクターの毛の先が黒から白に一度変化するタイプの3XDの原皮です。この原皮はとてもボリューム感があり、色のグラデーションも見事でした。

このことからも、一般的にチンチラのランク分けの中ではブラックベルベットが良いものだと言われがちですが、そのブラックベルベットの原皮の中にも良し悪しがあると言えると思います。

そして、チンチラの綺麗さを理解するうえで、もう一つ大事なことがあります。これまでキャラクターの色が濃いことが良いと書いてきましたが、それ以外にも特にキャラクターがしっかり通っていながら、キャラクター横のグレーの部分がしっかりあり、さらに腹の毛が白くて綺麗であること。この3色のバランスが良いものが一番綺麗に見えます。

ブラックベルベットの中には真っ黒なキャラクターを持っていても、太過ぎて中間のグレー部分が少なくなってしまい、ただ黒いだけで、黒・グレー・白のコントラストがなく、あまり綺麗にみえないものもあります。

上の写真のチンチラマフラーは2XDですが、この3つのバランスが綺麗にとれていて3XDではなくてもとても綺麗に見えます。このようにバランスの悪いブラックベルベットよりもバランスの良い2XDの方が綺麗に見えることもあり、一概にキャラクターの濃いチンチラが、全てにおいて良いとは言えないと私は思っています。逆に黒過ぎて汚く見えるものもあるくらいです。

下の写真はキャラクター部分の毛の色の変化です。違いがハッキリとわかると思います。次回お店でチンチラを見るときには、是非こんな部分にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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パショーネの真骨頂 | フルオーダーのコート

こんにちは☆スタッフ服部です。今日はパショーネの真骨頂でもある、フルオーダーのコートのご紹介です。 素材はメスのアメリカ産ブラックグラマミンク(ナチュラル)です。

ブラックグラマミンクにはナチュラルからブラック強化の間にブラックの濃度において、いくつかのタイプがあります。ナチュラルは名前の通りに、自然そのままの色味です。色としては黒ですが、茶色っぽい雰囲気があり柔らかい印象を持った色です。

ブラック強化はナチュラルの原皮の黒味をさらに強化する加工が施されており、漆黒。と言えるようなハッキリした黒色をしているものもあります。このナチュラルと強化したものは単品で見ればそれぞれが黒に見え、並べてみると違いが見えてくる・・・というくらいの違いです。

今回はお客様のお好みと、優しい雰囲気が良いということでナチュラルの原皮に決定しました。(パショーネではお客様のお好みや、肌に毛皮の色味を合わせて見た時にお顔映りの良い方を選べるようにブラックグラマミンクは常時2種類をご用意しております)

この原皮を使いデザインはウエストを少し絞ってスッキリした形に、衿はスタンドウィングカラーにほんの少しの味付け程度にタックを入れました。身頃は程良いゆとりを入れつつも袖は細身となっており、ジャケットとコートの間の子として着られるようなイメージです。 (さらに…)

毛のボリューム感

今日は毛のボリュームについて書いてみます。通常、毛のボリュームというのはその種類によって違いがあることは一般的に知られていることでしょう。今日、お伝えするのは、同じ種類の、例えばミンクに限って言えば、、、というようなテーマで書いてみようと思います。

毛皮の毛も、基本的には人間の毛髪と同じ性質を持ってます。ミンクやセーブル、フォックス、チンチラ等、ほとんどの毛皮でボリューム感を表現するのに毛量、いわゆる毛の本数がもっとも優先される項目であることは間違いがないことです。

そして、毛の一本ごとの太さも、もちろん関係しています。しかし、以外に知られていないのが、毛の根元にあるスパイラル状になったうねりがボリューム感に以外に大きく関わっているということです。

全てではないですが、ミンク、セーブルのように、より繊細な毛質になればなるほど、この根元のうねりがボリューム感をだすのに重要な役割を担っています。人でいうとアフロヘアーとストレートパーマがかかったような違いになります。

毛皮でもカラクルラムのようにすでに全体がクルクルしてボリューム感を出しているものもありますが、今回はこのタイプは除外してミンクやセーブルのような繊細な毛質のボリューム感について説明します。

同じミンクの毛でも、根元からストレートになっているものと、少しうねりのあるものがあります。同じ毛の本数が生えているとすれば、少しうねりのあるタイプの方がボリューム感が感じられます。しかし、このうねりがあり過ぎると、手で触ったときのサラサラしたシルキー感がなくなりますのでバランスが大事になります。

そしてここからが大事なことです。毛のボリューム感は毛皮の元々もっているものではありますが、3割くらいは処理の方法で調整出来ます。

先に、人間の毛髪と似ていると書きましたが、人の髪の毛が湿気の多い日には、もともとパーマっ化のある人の髪は少しずつクルクルになったりぼそぼそになったりしますが、毛皮の毛も同じで水分を吸収すると、特に蒸気(スチーム)などによって、毛の根元や毛先もうねりがでたりちぢれたりします。

この性質を利用して、毛のボリューム感を調整することができます。
もっとも良いと思われるのが、毛の本数がたくさんあり、根元が少しだけうねりがでて、毛先は真っすぐになっているものが一番、触り心地がいい毛質と言えます。

ヌートリアやビーバー等のプラクト(抜き毛加工した)した毛皮は、必ず原皮の仕上げの段階で高温の回転アイロンで毛を伸ばします。そして加工時にはそのストレートパーマがかかったような毛質を維持しながら商品にします。

しかし、元々、ぼそぼそしたタイプの毛質を無理に真っすぐにしているため、空気中の水分で徐々に表面は白っぽく、毛はぼそぼそした状態になってしまいます。ですから、時間の経ったヌートリアやビーバーなどは当初とは見る影もないほど毛質が悪くなり綺麗とは言いがたい状態になってしまいます。

このように毛質を整えるのにはスチームや回転アイロンを使用して、根元のうねりを適度にだして、毛先は真っすぐに整えるようにします。よくケーキとかで中がもちっとしていて外側がフワフワ等、そんな表現をよく耳にしますが、あんな感じです。

大事なことは、毛皮の毛も人の頭髪と同じで綺麗に仕上げることで本来の美しさが保たれるということです。そして、毛皮の魅力を熟知して、毛皮の持っている力を最大限引き出すのが作り手の大事な仕事のひとつなのです。

写真は、5月22日に掲載したデミバフミンクの毛の奥の部分が見えるように撮った写真です。毛の根元から2/3くらいが軽くうねっているのがわかります。これがボリューム感に大事な要素のひとつです。

長澤

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あたりまえのことをあたりまえにこなす

ロシアンセーブルヘビーシルバリーで作った4用ショールをご紹介いたします。以前に原皮の説明をさせていただきました。実際にあの原皮を使用して仕上がったものをご紹介させていただきます。

左右のバランス、キャラクター(背筋)の濃さ・太さ、そして原皮そのもののボリューム感、原皮のつなぎ目の自然さ(特に頭同士の綺麗なつながり)シルバリーの量とバランス、悪い部分を全て落とし不自然な毛流れが一切見当たらない等。。。このような仕上がりのものはアトリエで作ったきた中でも、なかなか見当たりません。

アトリエの理念にある「あたりまえのことをあたりまえにこなす」という、その言葉をそのまま表したようなショールです。このシンプルな形にセーブルのショールとして必要な要素が全て詰まっています。

長澤

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ロシアンセーブルファームのシルバリー

ロシアンセーブルの種類のなかに養殖のファームと呼ばれるものがあります。養殖もののために原皮のサイズもワイルドに比べると大きめなものが多く傷もワイルドに比べ少なめです。

今日、写真でご紹介するのは、そのファームセーブルの中でも、ほんとに数少ないシルバリーの原皮です。通常、ワイルドの原皮には、シルバリーと呼ばれないものでも白い刺し毛が少しだけ混ざっているものがよくみられます。

しかし、ファームはワイルドに比べると白い刺し毛が混じるのは、ほんの僅かです。そのファームにも、ほんとにまれに白い刺し毛がワイルドのシルバリーのように綺麗に入るものがあります。

一般的によくみかけられるのは頭の一部分に不自然に入っているものが多くありますが、これは白い刺し毛が入っていたとしても、逆に価値がさがるくらいで、あくまで写真のようにバランスよく入っていることが重要です。

ワイルドのシルバリーもそうですが、なかなか同じタイプのシルバリーを揃えようと思っても、相当な枚数を仕入れてシルバリーのタイプやカラー、サイズ等を揃えるか、毎年でてくる同じタイプ(色、シルバリーの量等)シルバリーを根気よくストックしていくかしか、コートのバンドルにすることが出来ません。

この写真のファームのシルバリーも、何年もかかって集めているものです。まだコートを作れるほどはありませんが、ボレロからジャケットくらいなら作れるかもしれませんが、全て同じシルバリーのタイプとはいきませんので、もう少し枚数が増えるのを待っているところです。

このようにセーブルのシルバリーでガーメントを作ろうとすると、ワイルド、ファームどちらにしても原皮を調達するだけで、とても大きな労力が必要とされます。

資産を何年も寝かすという意味ではワインや他の熟成タイプのお酒に少し似たような部分もあるかもしれません。それだけ、一般のセーブルの商品と比べるとシルバリーのセーブルで作ったコートは価格や価値そのものが上がるのは必然なのかもしれません。

長澤

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