ロシブロの特徴

先日、ロシアン・ブロードテールのメンズコートの仮縫いの事を書きましたが、今回はロシブロ(ロシアン・ブロードテールの略称)の特徴を写真で説明しようと思います。

ロシブロの最大の特徴は、見る方向によって見え方(表情)が変わるという部分でしょう。そして、それは柄が大きければ大きいほど見る角度によって、まったく別のものに変わります。

色も、もともと天然のものを黒に染めたり、グレーの場合は皮の地肌を青く染めて白い地肌を隠すように仕上げています。そのためかどうかわかりませんが、黒もグレーも見る角度によって腑が変わるだけじゃなく色も微妙に変化します。

黒はは常に赤味や青味の染料の量によって微妙に光の反射の加減で変化します。そしてグレーも見る角度によっては青味が反映され紫っぽくに見えたりします。私はその魅力にはまってしまいました。そして買うときには、見る角度によって変わるその魅力(魔力)を求めて原皮を探します。

ロシブロの持ち味は毛が生えきらない段階での腑の面白さですが、一枚一枚全て個性があり、それを自然なかたちにつなげあわせることが私たち技術者の最大の仕事です。

自然な柄は、気持ちを込めて合わせようとすれば、不思議なほど一体感をもち大きな魅力を見る人に放ちます。思わず、わ~~っと言葉がでるような作品。それは、デザイン、毛皮の仕上がり、着心地、変身感などすべてを満たすこと・・・ それは常に私が目指す着地点です。

上の写真は一枚の原皮を左右別々の角度から撮ったものです。写真では魅力の全てをお伝えすることは出来ませんが、少しでもその美しさが感じてもらえれば嬉しいです。

長澤

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マーブルミンク

今日はとても珍しいミンクをご紹介いたします。

マーブルミンクでメスの3サイズです。ちょっと小ぶりですが、とてもショートナップ(刺毛と綿毛の差がない)で綿毛も短く、障り心地が抜群です。

通常、ミンクはホワイトミンクのようなもの以外は背筋が濃くなっていますが、これは背筋が逆に白くなっていて、周りが大理石のように茶色い模様が入っています。それが名前(マーブル/大理石)の由来です。

このミンクはアメリカの一つの飼育業者しか生産していませんので、国内でもあまり見ることはできません。価格は小さい割に3割くらい高いです。

現物は写真よりもさらに可愛い感じで私は見た瞬間に気に入ってしまい、思わず、買ってしまいました。何をつくるかまだ思案中です。

こうゆう柄の入ったようなミンクなので加工過程でのカットもデザインを充分に考えたうえで行わないといけません。優れた素材感を生かすことを考えるのが、とても難しいミンクです。

長澤

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家内の誕生日

今日は家内の誕生日です。しかし、既に昨夜、前夜祭ということで小さなボトルのシャンパンで乾杯をしました。私のバースデーソングつきです。

家内の誕生日には毎年バースデーソングを私が歌うことになっています。・・・というより歌わさせられると言ったほうが良いかもしれません。(とても人前ではできませんが。。。)

家内の誕生日のこの時期はいつも、新作を企画する時期にあたります。この時期はとても忙しく、大きなイベントをすることもなく家で質素にお祝いとして乾杯をします。

今日も夜遅く日本橋から帰って来る家内と一年の健康を祈って乾杯です。

☆ハッピーバースデー☆

二人で飲んだシャンパンはタイミング良くいただいたものだったのですが、これがとても美味しかったのです。よくラベルを見ると・・・「Moet & Chandon」

美味しいはず!あっという間に飲んでしまいましたが、美味しいプレゼントでした。ごちそうさまでした。

長澤

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ロシアン・ブロードテール

仮縫いのため久しぶりに都内へ出ました。メンズ・ロングコートのオーダーのお客様の仮縫いです。素材はグレーのロシアン・ブロードテールです。

既にお手持ちのお気に入りのコートと同じ形をご希望でしたので、1回目の仮縫いはお客様のコートを型抜きしたパターンで行いました。

お客様のコートを着用していただいた時に裾がおがんだ状態だった為、パターンが悪いのか、それとも生地の柔らかさ・重さが原因なのか判断するために、そのまま型抜きしたパターンで仮縫いを行いました。着用していただくと、やはり裾がおがみました。原因はパターンにあったようです。

今回はその修正を確認するための仮縫いでした。結果はうまくいきました。男性の方は肩の筋肉がたくさんついていることが多く、実際にはなで肩ではないが、結果としてなで肩のようになってしまう場合があります。

今回もそのパターンでした。首から肩にかけて筋肉がついていると、前後の中心が持ち上げられてしまいます。その結果、前は重なり・後中心は角が出るか、アームホール部分にハの字のしわが出ます。

修正後は、前後のアームホール部分も綺麗になり、前のおがみによって起きていた正面からみた裾すぼまりな状態も解消され、綺麗なフレアーになりました。

素材はグレーのロシブロですが、皮も柔らかく、腑はうねるような豪快な柄で仕上がりが楽しみです。

長澤

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デミバフミンクの逸品

昨日、原皮屋のM社長からオファーがあり、M社長曰く世界一のデミバフミンク(アメリカ産)だということで見せていただきました。M社長は毛皮業界の中で私が尊敬・信頼できる方が4人いるうちのお1人です。

あくまで個人的な好みですが、M社長が素晴らしいというものと私の好みが違うことがありません。世界一と言い切る限り、箱を開ける前から良品だということは想像はできていましたが、実物をみてほんとに圧巻の一言でした。

詳しいことは、まだ話を聞けてないのでわかりませんが、おそらくM社長が世界一と認めるファーム(養殖業者)の中でさらに、最高の品質のものなのでしょう。

私自身も30年以上この毛皮業界にいますが、正直これだけのものは見たことがありません。原皮に逸品という言葉があてはまるかどうかわかりませんが、まさに逸品と呼ぶにふさわしいデミバフミンクです。

原皮のサイズは1サイズ。とても大きいです。メスでこの大きさは珍しいのですが、まれに0サイズもあるようです。毛質は、雄のボリューム感を持ちながら、メスの柔らかさがあり、力強さと繊細さが同居しています。

アメリカ産特有の青味のある綿毛の色も素晴らしく、キャラクター(背筋)も太くしっかり通っていて、まさに毛皮と言うのにふさわしいくらい毛皮らしさを表現しています。キャラクターがしっかり通っているということは毛皮が毛皮らしさを表現するという意味では大事な部分だと私は思っています。原皮全体に占めるキャラクターの太さのバランスがデミバフというミンクの命であるでしょう。

毛の長さもショートナップ(刺し毛と綿毛の差が少ないもの)ですが、綿毛の長さは長めです。そのぶんしっかりとしたボリューム感があります。まさに触り心地は満点で、写真でしかお見せ出来ないのが本当に残念です。

これから、この原皮でなにを作るかを考えるのが今からワクワク、心が躍動しています。

長澤

毛皮とギター | 褪色(たいしょく)

 

昨年から本気モードでギターを弾きはじめているのですが、全く似たところの無いように思える毛皮とギターの共通点に気づいたのです。

それは褪色(たいしょく)です。

染色された毛皮はよく肩などが強い光によって褪色します。しかし、色全体が均一に落ちていくのではなく、赤・青・黄 それぞれ、バラバラに落ちていきその中で一番早く褪色するのが赤になります。

光と染料の関係なのかどうかは解りませんが、間違いなく赤がどんどん抜けていき、結果、イエローやグリーン、ブラウンに変化していきます。

それは、元の色の赤・黄・青のバランスによって決まりますが。極論を言えば赤がほとんど入らない色、イエローやグリーンのように赤の混ざらない色ろは薄くはなることはあっても、ほとんど変色することはありません。

逆にパープルやグレー等、赤の割合が強いものは赤の褪色のスピードが早く、どんどん黄色やグリーン系の色に変色していきます。

全体に褪色が進めば良いのですが、基本的には光が強くあたった部分のみが変色していくので、ひどいものは着用が難しくなることもあります。ドレープのように陰が出来る部分は特にラインが入ったように褪色しますので、かなり気になります。

レスポールスタンダードという有名なエレキギターがあります。古いものは、数千万というとても高額な値段がついています。このギターの1959年前後に生産されたものでサンバーストという、赤みのある周りの部分から中央に向かって透明にぼかして染められているものがあります。

このギターも光に強くあたったものは年とともに赤が強く褪色(たいしょく)し、薄いブラウンや、褪色のもっとも強いものはレモン・ドロップという名前さえつくような黄色いものもあります。

毛皮とギター、素材は違っても褪色は同じように進むように思います。しかし褪色は同じでも、結果として得られるものには大きな差があります。毛皮は大きく価値を落とす結果になるのに対して、レスポールというギターは褪色が進むことによって、より芸術的な深みがでて、大きな価値を生むというところでしょう。

毛皮のコートがレモン・ドロップになったといって喜ぶ人はどこにもいないでしょうから、ここが大きな違いです。

この褪色の理屈がおおかた正しいかどうか調べていたところ同じように、このことに興味をもって完璧に書いている方がいらっしゃいましたので⬇にリンクを貼せて頂きます。興味のある方は是非ごらんください。

オリジナル・サンバースト・レスポールの構造
http://lespaulfreak.com/

長澤