ネットでみかける最高級、最上級という言葉の陳腐さ

ここのところ投稿をさぼっていたので二日連続で投稿します。

高級、最高級、最上級、超レア等、ネットショップではよく見かける言葉です。見る度にまたかと思います。例にもれず毛皮のサイトも似たような言葉が出てきます。ネットの毛皮全部が高級品なら、普通のものはないことになり、逆に最高級品が全部なら最高級品と言われる特別な商品はないと書いているようなもので困ったものだと、いつも思ってしまいます。

もちろん、ちゃんとしたものもたまに見かけますが、これでオーダーなんかできるのかというような仮縫いトワルの写真や、仕上がったコートの画像をよく見かけます。話少しそれますが、仮縫いトワルを写真に撮るにしても使うボディが、これを使ってトワルの検品をするのか?というくらい酷いボディを使っていたり、ボディへトワルを正しく着せ付けるのは結構難しいのですが、こんな着せ付けで、裾が拝んでも逃げていても、どうでもいいのか?というような酷い写真を平気で載せる、これで仮縫いトワルの検品や最終で仕上がったコートの検品が出来るのだろうか?といつも思います。

何十年やってもオーダーは今でも私は難しいと感じます。しかし、お客様の側ではそれ以上に素人だからわからないという事態が生じます。業者を信用して、疑うことなくきっと綺麗に仕上ったのだろうと思い込み納得するという、微妙な空気がその場にいなくてもなんとなくわかります。それくらいいい加減なオーダーが多く見られます。

トワルもまともにボディに着せ付けることが出来ない、まともにアイロンもかけられない。検品するために必要なボディも持たない、そんな人達が仕上がってきたパターンやトワルをどうやって検品するのですか?

または仕上がってきた毛皮のコートをどうやって検品するのですか?確かにオーダーをやっていますとは言えますが、言えるのと出来るのは違います。パターンを何処かに依頼して、作る職人を探して、原皮を用意して、それで出来るというなら誰でもが業者としてオーダーが出来るということになります。でも、そんなに簡単ではないですよ。オーダーを極めるとなると。

あげくの果てに、こんな仕上がりの写真なら何故サイトやインスタグラムに出すのだろうというようなものが本当に多いです。私のところで仮に、そんなひどい仕上がりになって上ってきたら、絶対に画像なんか恥ずかしくてネットに出せません。出せるということは、その酷さが解ってないということの証ですから。

オーダーを完璧に仕上げるのは、そんなに甘くはありません。

こうやって書くと、一見、他人を批難しているように見えますが、実際には自分自身のオーダーやすべての仕事への厳しさ、難しさを自覚しているところです。

ごめんなさい。話が大きくそれました。

話を戻します。超何とか、最高級、超レア、もっとありますよね。パショーネオンラインショップの商品説明やニュースという記事がありますが、全部チェックしていませんが、多分、超とか最高級とかの言葉は使っていないはずです。

そんな言葉が要らないような商品と説明をしています。

だいたい、超レアとか書いてあるものでも、たいしてレアじゃないものがあったり、セーブルであればなんでも最高級とありますが、実際は食品と同じでピンキリがあったりする訳で、ものすごく幅が広いのが現実です。

超最高級なんて書いたら、自分のサイトがいかに陳腐かをわざわざPRしているようなものになります。楽天なんかのショップじゃよくありますが、例えばビッグブランドのホームページで、最高級なんて多分ですが、見ないですよね。超、、、なんてきっとありません。使えば使うほど安っぽくなりますから。

Googleの検索ロボットがこの陳腐な言葉をどう理解して、検索で拾われやすくなるのか、またはならないのかは私にはわかりませんが、仮に検索で引っ掛かりやすくなるとしても、超何とかとか、最高級なんて私は意地でも使いません。

丁度都合良く、それが差別化になると良いなくらいに思っています。  長澤祐一

 

 

使用素材の明確化の必要性

今日は商品に使われる素材について書いてみます。一般的には例えばミンクであれば、どういう種類の原皮を何枚使用しているとかが記載されるべきなのですが、ほとんどの売り場やオンラインショップでも、そこまで記載されることはありません。

自分的に言えば少し残念な気がします。毛皮は作るものによって、頭の部分が残ったり腹の部分がたくさん残ったりします。商品のデザインや作り方で残る部分が出ることが多いのが毛皮製品です。

その残皮をスクラップといって買い求めてリサイクルのように、その残皮で製品もたくさん作られています。主に中国やギリシャで作られるものが多いのですが、稀に国内でも作られています。ギリシャなどでは、小さなピースを集め仕訳・整理して、プレートにされることが多く見られます。インスタグラムのDMにもギリシャや中国のフォロワーから残皮を売ってくれと依頼があります。

例えば、ヤーンと呼ばれるネットに3~4mmのテープ状にカットされたセーブルを使い作る商品がありますが、腹の部分だけが綺麗に余りますので、それを大量に集めマフラーにしたりもします。もちろん、毛皮を100%使い切るという意味ではとても良いことなのです。

ただ、ネット等ではそういうものの販売については、本来であれば原皮の詳細を書く必要があると思うのですが、セーブルマフラーとしか書かれないケースが多く見受けられます。もちろん全部ではないのですが。

最近ファーマークという、いわゆる原料の生産地、鞣した場所、その他その毛皮の生産に関わったところが記載されたタグが付くことがありますが、それも大事なのですが、販売する側はもっと、元素材のどの部分から作られたものなのかを記載すべきだろうと思います。それによって同じセーブルでも価値が大きく変わるからです。どんなに長いロングマフラーでも、セーブルの頭だけを使って作られたものも良く目にしますが、本来のセーブル本体を使ったものから比べれば価値は大きく下がります。それを、価値のあるセーブルをリーズナブルに提供しますというような言葉で半分騙して売るようなことはすべきではないはずです。買ったお客様がどこかで恥をかくことがあるかもしれません。私達のように商品をみて原皮の頭なのか、腹なのか、一番価値がある胴体の部分なのかがすぐにわかるひとは別にして大半の顧客側に立った人たちは記載がなければ、それぞれの価値が解らないのが普通です。

もちろん、全てを教えればいいのかというと、知らなくてもいいものもあるはずです。そして、教え、伝える私達にも大きなリスクがかかります。私も現実に悩んでいます。どこまで伝えれば、本当の商品価値が伝わるのか、そして夢を壊さずに販売ができるのか。特にオンラインショップという場所で、テキストで書いたものは簡単に記憶から消せません。そして、知りたいと考えるひと、知らなくても良いと考えるひと、オフラインであれば、それぞれを見ながら対応できます。しかし、オンラインショップでは一方通行になりがちです。悩みます。

ファーマークも聞くところによるとかなり厳しい基準でマークを申請し提供されるということですが、何故か私は、表紙だけを変えようとしているだけのように感じます。申請・登録の基準が厳しく、小さなメーカーは、ほぼつけることができません。今流行りの、跡を辿るという意味では正しいのかも知れませんが、そんなことよりも、各メーカーや販売元がもっと丁寧な使用素材の説明をするべきではと感じます。そして以前も書きましたが自社が行う全てのことに対して、他の何かをもって証明したりしなければならないという仕組みを変えるべきであろうと感じます。私のところではファーマークは手に入りませんが、元々つける気はありません。自分の商品の良さや信頼性は自分のところの商品力やサービス内容で築くしかないと考えています。それが小さくてもブランドとして生き残る唯一の道であり私達の意地でもあります。

 

パショーネのオンラインショップでは、ほとんどの商品に使用原皮の内容と枚数を記載しています。たまに漏れているものがあるかもしれませんが、極力、商品の内容は細かく書くように努めています。

 

下に、原皮の使い方で頭や腹が余ることがあることの以前の記事がありますのでリンクを貼っておきます。作り方や作るものによって原皮の余る部分が出るということの参考になるかもしれません。よかったら見てください。  長澤祐一

ホワイトミンクマフラー

 

 

 

 

 

 

 

 

毛皮のバイオクリーニング

こんにちは。最近では珍しく10日以上更新ができませんでした。ごめんなさい。

今日のテーマは文字通りバイオクリーニングです。国内のクリーニングでは、私が見ている限りでは依然としてパウダークリーニングオンリーですね。

私のこのブログはプロのかたも見てると思うので、バイオクリーニングの詳細は書きません。しかし、国内サイトではどこを調べても毛皮に関するバイオクリーニングのことは出ていません。

それは、何故だかわかりますか?

簡単です。一般的なクリーニング屋さんじゃ出来ないからです。

私は、この薬品を海外から仕入れましたが、国内にはありません。

それと、その方法ですが、やはり毛皮を知らないパウダークリーニング専門の業者さんには難しいと感じます。もともとの毛質が素材によってどう違うのか、良い状態、悪い状態さえしらない可能性の高い業者では難しいと思うのです。

海外ではプラス匂いをとったり、黄ばみを取ったり、黒く色をクリーニング作業の一環で染めることが出来たりと、さすがに海外の技術の進歩はすごいものがあります。

色を染めるなら色落ちが、、、と思いますが、多分、酸化染料を使うのかもしれません。さらに70%酢酸を使うこともあり、もしかしたら毛の組織を破壊することに使うのかもしれません。あくまで推測ですが。組織を破壊したところに染料をいれていくということなのかどうかはわかりませんが、きっと色が定着することで色落ちがしないのかもしれません。毛皮の歴史が長い分大量のリフォームやリメイクが求められ、新しい技術が作られてきたのだと思います。

私は、実際に海外から取り寄せてみたのです。実際に私のところにくるクリーニングは、そのほとんどが私の商品なので当然綺麗ですし、汚れたりしているものがなく、なかなかその効果を現実に明確に見ることができないのですが、理屈から言えば汚れは取れるはずです。詳細は言いませんが。

黄ばみを取ることも、これは取るというよりは、クリーニングをして汚れによる黒ずみを落とし、青味を少しずつ付けるという手法ですが、確かに画像で見る限りはきばみが取れています。綺麗なサファイアミンクの色になっています。

いずれ、私のところでもビジネスとして立ち上げるかもしれませんが、しばらくはテストを繰り返してみようと思います。何故なら、これはクリーニング屋というより私達、毛皮を作る人間の仕事だなと感じたからです。海外でも、私が確認したほとんどが毛皮を修理したり作ったりするところでした。

このバイオクリーニングは、国内業者さんがやっているパウダークリーニングとはまったく考え方が違います。最終的にドラムをかけてムダ毛等を取ったりはするかもしれませんが、訳の分からない、効果がどれほどなのかもわからないパウダーなどは一切使わずにやります。

基本的には、毛皮を良く知るひとたちだからこそ出来るクリーニングだなと感じます。ですから、クリーニングは受けるが、全て専門の業者に出しているような小売店さんや小売りサイトさんではクリーニングする現場がない訳ですから無理なのです。一般的な業者さんの薬品とオガをいれて機械に入れ、あとは危険なグレージングマシンにかけて、エアーガンでポケットに入ったオガを取り除くというような毛皮のクリーニングではありません。

バイオクリーニングの作業自体はリアルに毛そのもののクリーニングです。

最後にひとつ伝えますが、私がいつも書いている毛皮のクリーニングは、ことある度に書いていますが、リフォームをすることが前提で毛と皮そのものも含めたクリーニングですが、今回のバイオクリーニングは純粋に毛の部分のクリーニングです。

毛皮コートをお持ちで、このバイオクリーニングに、ご興味のあるかたは遠慮なくお問い合わせください。お待ちしております。

長澤祐一

 

僅かな差が 大きな差に

すみません。一つ追加します。(2021/9/5)

最後の方だと一度読んだ方が気が付かないかもしれないと思い最初の部分に記載追加します。以前、ミンクは毛が短いほうが価値があるという誤解という投稿でも書きましたが、今日の某ブランドのミンクの毛もショートナップではなく、サガミンクによくある刺し毛の長いタイプを使っています。私のミントグリーンのコートも多分ショップかインスタグラムでですが少し刺し毛が長いタイプだと書いています。ピンクのコートの背中側の画像の裾の部分を見ると刺し毛が長いのがわかります。パショーネのコートも刺し毛が少し長いタイプですが、毛の癖が綺麗に取れているので、凄く綺麗なのが分かりますね。売り場でも知識の乏しい販売員がショートナップの良さだけ売り物にする場合がありますが、実はそうでもないのです。ショートナップももちろん素晴らしいのですが、サガミンクに見られる刺し毛の長いタイプも綺麗に作られると、それはそれで美しさが分かります。ショートナップにしても、刺し毛の長いタイプにしても、毛の癖がちゃんと取れてミンク本来の力が出れば綺麗なのです。

ここまでが、追加です。ここから下が元々の投稿になります。この下も読んでもらえると、より理解できるとおもいます。

 

以前、出店していた百貨店毛皮サロン在籍中、某有名ブランドFE???でお買い上げになられたコートのお直しをメーカー側がやれず、サロンに在籍していたリフォームの業者さんに依頼があり、そこでも出来ないといわれ、困って、私のところに持ち込まれたことがありました。

同じデザインを色違いで二点買われたようで、二点のお直しを同時に依頼されましたが、お直し自体は、なんで出来ないと断られたのだろうという程度のものでした。仕事を終えて、とりあえず写真を撮ったのです。

もちろん、作業中にも感じましたが、そのブランドが撮ったモデルが着用した画像や、ショップに飾ってあった時のイメージとはあまりにも落差があり、同じ仕様の同じデザインのコートなのに、芯の貼り方や最後の始末の仕方が違っていて、おそらくはイタリア国内で作っているのだろうと思われるのですが、作り方が違うということは、一つの工場で作ったのではなく外注加工で作られたものだと想像ができました。

普段は、よくそのブランドの店頭で見るくらいなので細かく作りまでは見ることが出来ませんでしたが、その時はじっくり見ることができ、もともとイタリアの毛皮そのものの基本的な加工技術(あくまで基本的な加工技術です)が繊細で綺麗だとは思ったことがなかったので、特に驚くことでもなかったのですが、それにしてもあの高級感のある売り場で見る印象とはだいぶ違うなと感じたものでした。正直、素材も作りも私が見る限りでは、少し残念な気がします。しかし、いつも発想は斬新です。それ故に惜しいな~と思うのです。元々海外ブランドの毛皮コートは素材の硬さや重さのあるものも多くあり国内の小柄な女性が着るには難しいと感じていました。

同じ皮系の素材として靴やバッグがありますが、どのブランドも、とても均一に高いレベルで作られていますが、毛皮は原皮一枚ごとの個体差が大きく、全てを均一に作るのはとても難しい素材です。国ごとに技術レベルも違いますが、それ以上に個々の技術者のレベルに大きくばらつきがあり、それが顕著にでる素材なのです。私のとこでも何度か外注加工を試みたのですが、仕上がりに納得がいかず結局自分で直すことが多く、その難しさをいつも感じ、外注に出すことを断念しています。

今日アップしたブランドのこのピンクのコートの何が一番残念かというと、染色時に起こる毛癖が付いたままの状態で作られています。細かい毛の癖ですが、これがこのコートが一番残念な部分です。モデルさんの髪の毛が寝ぐせが付いてたりしたら駄目なのと同じなのですが、ほとんどのケースで染色時に毛に強い癖が付きますが、これをなかなか完璧に綺麗に取り除くことが出来ません。もちろん私のところではできますが、やはり設備も技術も必要になります。癖を取るのに蒸気を使いますが、蒸気だけでは100%は取れません。熱をかけることのリスクもかかるので自信がないと出来ないのです。よくある毛皮用のスチーマーで7割くらいは取れますが、残りの30%の毛癖を取ることが見栄えとしては、より大事になります。そして大きなリスクもあり、一般的にはその三割を取るのを断念します。染色における熱と毛に染料を入れるために使われる薬品のによるダメージは厳しいのだと想像できます。

 

 

たかが毛癖なのですが、とても大事なところです、ここに某ブランドのコート画像とパショーネのコート画像を両方アップしますので、その僅かな違いが大きく仕上がりに影響することが分かってもらえると嬉しいです。

 

これ以外の画像は直接インスタグラムのリンクからみてください。

染色では色の濃い方が癖が強く出やすいのですが、下のリンクを見てもらえば毛の癖がしっかりとれることが確認できます。

 

以前、アップした染色時についた毛癖取りについての投稿もここにリンクを貼っておきますので見てください。

毛皮の染色後の毛癖取りと仕上げ

 

チンチラマフラーのクリーニング

今日もクリーニングについての投稿ですが、一般的なものではありません。

以前、毛皮の編み込み(ヤーン)タイプのクリーニングを書いたことがあります。https://www.passione.co.jp/blog/yarn-muffler-cleaning/  今日は、この続きを書いて見ます。

クリーニング前

 


ヤーン(編み込み)タイプにはセーブルやチンチラの大判のショールやストールがあります。これは、どちらかというと首に直接触れずに、和服のように少し抜き気味に着用することが多いので、汚れ方としてはかなり軽いか、もしくはほとんど汚れないというケースが多いのです。しかし、細めのマフラーになると首に直に巻き付けることが多いので、チンチラにしてもセーブルにしても、皮脂がべったりと付いてしまうことがあります。

写真は以前使った写真ですがセーブルの編み込みタイプが皮脂がべったりついてしまったものです。この手のクリーニングはアトリエで何度もやっているにも拘わらず、小さなマフラーのクリーニング記事を掲載するつもりがなかったので写真がないのです。すみません。チンチラのクリーニング前と後があればよかったのですが。よく考えれば、こんな皮脂の汚れで困っていらっしゃるひとがたくさんいるにも拘わらず、、、なのですが、当時はお取引先の受注品の作業に追われっぱなしで、この手のクリーニングで毛皮ファンの役に立とうと考えておりませんでした。

以前の、取引先(百貨店)ではリスクが超高いものは万が一があるとクレームもすごく、私一人の問題ではなくなってしまうのでとてもビジネスにはならず、かといって、百貨店に出店していたこともあり、このブログでオープンに仕事としてアピールし価格を表に出すこともできなかったので、百貨店の本当に親しいお客様のものくらいしかクリーニングをしていませんでした。

お客様のものをやるという、その理由のひとつに販売した時期がわかるということでした。劣化がするような状態ではないことが分かっているからです。それと親しいお客様であればチンチラやヤーンの繊細さ故の弱さがあることもご理解いただき、そのうえでのクリーニングになりますので、繊細な作業にはなりますが、ある程度の安心感をもったなかでの作業でした。

しかし、やっと時間もでき、さらにこのブログで、価格を提示してもよい環境にもなりましたので、今後は少しずつ自分のところでしか出来ないようなクリーニングやお直しも受けようと思います。

まず最初に、チンチラは購入後どれくらい経過しているか、または保管の状態はどうであったのか?これによっても劣化の度合いが違います。ヤーンでも皮脂が皮に染み込んでしまって、それが原因で劣化が進んでしまっている等、様々な状況が考えられます。

最初にお聞きすることは購入から何年経過しているのか?さらに写真を撮っていただき見せていただく必要があります。

それ以外にも確認事項があります。クリップやカギホックがついていると、ヤーンはドラムに入れてクリーニングしたときにヤーンの細い毛皮を引っ掛けてしまうので一度取り外したりと、ものによって手間が全く違うのです。さらに表から見て大丈夫と思っても実際に現物を見ると皮がすでに劣化していてクリーニングの意味がなかったりもします。

そのため、チンチラにつきましては、どんなものでも一度現物確認が必要になります。それによって価格が決定します。一応の目安としては状態がよく留め具もついていないものでチョーカーのように短いもので6,600円プラス送料からになります。大き目のものや留め具を中を開いて取り外さなければならないものは11,000円プラス送料くらいか、それを超える場合もあります。さらにストール系になると、古いものは裏地も替えないといけないという場合が多く価格は都度現物を見てということになります。おおよそは見積もりがでますが、ここには書きません。遠慮なくお問い合わせくださいませ。すべては現物確認をしてからになります。

価格につきましては、よくある、 6,000~ と単純な表記もありますが、この手のもののほとんどが6,000円で収まることなどなく意味があるのだろうかと思ってしまい、私はできません。少し細かいですが、様々な条件を聞いた上で判断したいと考えています。

よくネットにもチンチラのクリーニングがYouTube等でありますが、ひとによってはパウダーのようなものやコーンスターチのパウダー等を使います。自分もこれをやりましたが、皮脂が完璧にはとれないのと、付けたパウダーが完全に取れないという、結果としては中途半端なものでした。さらに業者さんがやるパウダークリーニングもありますが、パウダークリーニングで使う有機溶剤の量では落ちないのと、クリーニングドラムに入れるならば留め具は最低でも外すか保護する必要があるのと劣化に業者さんが気付くことが出来るかどうかという問題もあり、安易に受けて適当な仕事をするか、怖がって全てを断るかのどちらかになる気がいたします。

それくらいチンチラは難しいのです。例えば新品で買って2~3年で皮脂でべたべたになった場合は費用を少しかけてもクリーニングすることで2~3年は使え、結果的に5~6年使えるというパターンが一番理想的と思います。あとは購入価格や品質によって、さらにクリーニングをして長く使うかどうかの判断になろうかと思います。もちろん、ヘビーに使えば一年でべたべたになりますから、毎年クリーニングが必要になります。クリーニング費用も掛かりますが、その分たくさん使用するわけであきらめもつきます。お客様によってはスカーフ等を上手く使い地肌に直接付かないような使い方をされていらっしゃるケースも見受けられます。

写真上が、皮脂でべたべたになったセーブルの編み込みマフラーです。下が綺麗にクリーニングされた状態です。上の写真の状態で使う気はしませんよね。

何かございましたら、遠慮なくお問い合わせくださいませ。

長澤祐一

カテゴリーについて

今日は、このブログについてお伝えいたします。最近、更新もしながら過去の投稿やブログ全体をチェックしたりしていましたが、意外に探したいものが見つからないことがありどうしようか考えていました。

まず分かったことはカテゴリーワードの設定が欲を出して一つの投稿に複数のカテゴリーワードを設定していたことに気付きました。
これだと、例えばリフォームを読みたいのにクリーニング記事まで出てきてしまって、本来、読んでもらいたい投稿、または読みたい投稿に、なかなかたどり着かないという状態になっていました。

そのため、極力、カテゴリーワードはひとつに変更致しました。ただし、リフォームとクリーニングのように、どうしても二つのカテゴリーワードが必要な場合もあり、その場合のみ複数のカテゴリーワードになっております。それでも、これまでのように、どうでもいいようなカテゴリーワードが複数設定されることはなくなりましたので、今後はサイト一番下のカテゴリー欄から見たいものを選択してもらえば見たいものに早くたどり着けるかと思います。

それと、一つお詫びしなければならないのですが、携帯からサイトに入られる方にはモバイル仕様のサイトが立ち上がりますが、カテゴリーを表示する設定がなく、サーチ機能しかありません。リフォームやクリーニングは検索をかけてもらえればすぐに出てきますが、それ以外で私が書いているものをカテゴリーワードで検索するには一番下にあるディスクトップをクリックしてもらい、ディスクトップ用サイトに入っていただき一番下のカテゴリー欄にて、お探しいただきますようお願いいたします。
お手間おかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

以上のように、見たいものはカテゴリーから選択してもらえれば、ほぼ読みたいと思うテーマに沿った投稿が見つかると思います。これで、無駄になっていた見たいものを探す時間が節約できるかと思います。

私自身が、このサイトを再構築する能力がありませんので現状のシステムのなかで、出来る範囲で見やすい、探しやすいように今後は修正をしてまいりたいと思います。百貨店での仕事や、その百貨店を辞めた後の一年間はアトリエリニューアルやオンラインショップの立上げ等をやっていて、なかなかこのブログに何年もの間、手が付きませんでしたが今後は少しでも読みやすい、少しでも探しやすいブログに変えてまいります。

もちろん、世の中は動画の時代でもあり、このテキストだけのブログにどれほどのひとが集まるのかは分かりませんが、このブログを探してくれた方は、一度に集中して何ページも続けて読んでいただけているようで、私自身嬉しく思っています。
元々、たくさんの人がこのサイトに入ってくることなど当初から想定も期待もしておらず、今のままで良いとも思っています。

逆に言えば、この難しいブログであるからこそ、いい加減な問い合わせがほどんど来ないとも言えます。
それで良いと思っています。

 

長澤祐一

リフォームについて

ここ最近、リフォームに関連する以前の投稿は削除し書き換えをしようとおもいます。

昨年四月に、某百貨店毛皮サロンを辞め、川越の自社アトリエに新たに商品の展示や接客スペースを作り、今年4月に新たに立ち上げたオンラインショップも含めて新しいパショーネをスタートしました。そんなこともあり古い記事を読み返し現状にそぐわないものは削除し書き直そうと思います。

上にも書きましたが当社は昨年4月まで某百貨店の毛皮サロンで20年以上、オーダーの担当をしておりました。オーダーといってもオーダーサンプルの商品を多数展開しており現物販売も含めてオーダーでの商品提供もしておりました。当然、その百貨店は毛皮では日本一といわれた毛皮サロンでしたのでリフォーム専門の業者さんもいて、私達も私達のお客様につきましてはオーダーもリフォームもやるというようは仕事の内容でした。

当社がリフォーム専門のメーカーではないこともあり、このブログでも大きくリフォームをPRすることはありませんでしたが、それでも、このくどいというか細かいブログ記事を見て頂き問い合わせを頂いたお客様だけには百貨店という窓口を通さずに直接、リフォームやオーダーをお受けしてまいりました。そんなこともありリフォーム専門の他社さんのように決してたくさんのご依頼を受けてきたわけではありません。

百貨店とのお付き合いがあるころは毎年の新作の作成と受注品をこなすという、今では考えられない忙しさでしたから、ブログからご依頼を頂いても何年もお待たせしたりと、大変申し訳ない事態になったこともありブログもほとんど更新せずにおりました。

昨年より1年かけて新たな業態を模索し、ようやく始まったリニューアルしたアトリエと新規に立ち上げたオンラインショップをメインにした商品の販売、そして、このブログを読んでいただきオーダーまたはリフォームをご検討中のお客様のためにも、もう少し解りやすい仕組みを今後は作ってまいります。内容につきましては、よくある汚い見本画像の羅列(ごめんなさい)や、ただ安ければよいというような価格ありきの内容ではありません。内容につきましては今後検討しアップしてまいります。今しばらくお待ちくださいますようお願いいたします。       長澤祐一

 

毛皮の原皮と商品の扱い方について

今日は、最初から謝ります。ブログはあくまでブログ用に記事を書くと、先日公言したばかりですが、今日はその約束を破ります。

理由は、どうしてもパショーネの商品に興味のある方には必ず読んでいただきたいからです。

 

インスタグラムにもアップしましたが、このブログにも今日はアップしようと思います。

インスタグラムのコメント欄を全部読む方は少ないと思いますから、そんな意味でここにもアップします。

ここから下がインスタグラムのコメントです。画像が見たい方はインスタグラムを見てください。https://www.instagram.com/passione.co.jp/  本日2021年8月19日の投稿です。

 

こんにちは。コメント最後まで読んでいただけると嬉しいです。今日は商品のアップではありません。でも、素材はまたチンチラです。もう飽きた!と言れるかもしれませんがチンチラの投稿が目的ではありません。

今日の画像のテーマは二つあります。チンチラの原皮が綺麗でボリューム感があることはもちろんのことですが、画像の二枚目三枚目にはもう一つの意図があります。

パショーネでは原皮や商品の取扱いには、かなり気をつかっています。

その理由は、今在庫としてある原皮や商品は、いつか買っていただくお客様からの、お預かり品のようなものだからです。

商品をショップで綺麗に展示することも大事です。しかし、展示によって蛍光灯の光で色焼けしたり退色したり、または汚れたりするリスクがあることを常に頭に入れておく必要があります。

原皮も同じように気を遣います。二枚目と三枚目画像のようにバンドルごとに黒い生地をかけて光や汚れから守ります。少量だから出来るのだろうとも言われるかもしれません。確かに専門の業者さんの扱う数量とは比較になりません。それでも総原皮枚数で言えば、千の単位は簡単に超えます。それを全て生地をかけて同じように管理するのは大変な作業です。それでも、将来のお客様のためにやらなければなりません。カバーをかけることが大変なのは、バンドルを見て、それが何の種類か、何色かが瞬時にわからないという不都合があるからです。でも、それは原皮のためではありませんよね。自分の作業が都合よく出来なくなるという、管理する側の自分都合から発生していることです。

パショーネが商品の魅力にこだわるのはあたりまえのことですが、商品や原皮そのものの扱いにも気を使います。毛皮を綺麗に飾ること、華やかに見せることも大事です。しかし、そこには常に商品や原皮そのものの価値が下がるというリスクを意識しなければなりません。クオリティが高いという意味は、そういう地味な部分もできて初めて言えることだと思って仕事をしています。自分の商品だからといって、香水をつけて毛皮の試着はありえません。でも、ちゃんとそこまで気をつけて毛皮商品と接していますか?私達は、私はあたりまえのことですが、デザイナーも香水は付けません。神経を使うということはそういうことです。繊細な仕事とはそういうものです。見えないところを何処までやるのかです。

 

以上、ここまでがインスタグラムのコメントです。

 

なかなか気を付けようと思っても、一般的には出来ていないことです。国内業者さんにも見受けられますが、海外などでは当たり前に床に原皮を置きます。私達は昨年4月まで日本橋にある某百貨店毛皮サロンに常設していましたが、常に、綺麗に見せることと飾ることのリスク(褪色・変色)との間で大きな葛藤がありました。今は、それはなくなったといっても、アトリエでお客様をお迎えするときに常に綺麗に商品を展示したかたちで置くのかどうかを悩みます。現在はオフシーズンなので全て保管状態になっていますが、シーズン中にはどうするかを考えなければなりません。

基本的にはラックにかけて一時的に展示したとしても、お客様に見せる瞬間以外はラックに黒い生地をかけての展示になるかと思います。

宝飾品のように磨けば戻るという素材ではありません。知れば知るほど扱いに神経を使います。

 

毛皮商品の色焼けにつきましては、また後日このブログでアップいたしますのでお待ちください。  長澤祐一

 

ブラックミンクと、その染色や仕上がりの特徴について

今日はブラックのミンクについて書いてみます。

黒のミンクで代表的なものの一番がアメリカ産のブラックグラマミンクでしょう。私はこの分野の専門家ではないですが、もしかしたら専門家が知らないことも伝えられるかもしれませんので、是非最後まで読んでみてください。

まず、ブラックグラマミンクについて書いてみます。産地については専門ではないので詳しくは書きません。知っている範囲で書くとすればアメリカ(北米)ですが、すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、ほぼブランド化してしまっているようです。一般的にはパールミンクとかパステルミンクのように色としての名前がありますが、ブラックグラマミンクは色の種類というよりは一つのブランドのようになっています。ナチュラルでここまで濃いミンクはおそらくないのでしょう。以前は軽く強化(黒くする)されているものもあったような気がしますが、最近のブラックグラマは本当に刺し毛が短くシルキーで綺麗です。しかし、ブラックグラマミンクは黒ではないのです。離れてみるとほぼ黒にみえますが、基本的に真っ黒という毛皮はいません。茶を思いっきり濃くしたダークという色がありますが、それをさらに濃くして刺し毛が綿毛に埋まってしまうくらい短くなったものです。ショートナップとよく言われますが、ブラックグラマミンクのそれは他のものとはまったく違うといえます。もちろん生産者ごとに品質の差はあるようですが、他の色のミンクのショートナップとは違います。私のインスタグラムでもdixonminkさんというアカウントがあり、よくDMでもやり取りをしますが、素晴らしいミンク生産者です。私のもつ在庫に素晴らしく綺麗なブラックグラマミンクがありますが、それが彼が生産したものかはわからないのです。でも、私の持っているものも素晴らしく綺麗です。

次に染めてあるミンクについて少しだけ説明します。

よく私のオンラインショップの商品にも強化という説明書きがあります。出来るだけ解りやすく説明すると強化とは、漢字で見てわかるように強調するとか強めるとかになります。例えば、ダークミンクを黒に近づけるための処方になります。ですから、薄い色のミンクからは強化では黒くはなりません。元々濃いダークやデミバフミンクを強化することで黒に近づけるということです。ですから、色の濃いダークに比べて少し薄いデミバフミンクだと、強めの強化をするようですが、色をよく見ると少しだけブラウン系の色なのが分かります。良くミンクにブルーイングすると言いますが、これも同じく青味を付けるとか青味を強調するとかの意味になります。ホワイトミンクをより白く見せるためにホワイトニングするとも言われます。全てが同じ系統の薬品を使うかは私は分かりませんが、相対的に見て強調するという意味です。

ブラックに戻ります。黒くする方法に二種類あり、一つは染色です。一般的には染色は酸性染料を使うと言われています。
しかし、強化とは、酸化染料を使っているそうです。染色は確かではありませんが、50??度前後のお湯のなかで染めるらしいです。温度を上げると綺麗に色が定着するらしいですが、皮を痛めてしまうことがあり、とても難しい作業のようです。酸化染料は水の中で色を付けると聞きます。酸化染料の一番わかりやすいのは人間が使う髪染めのなかに、よく最初はクリーム色していて、空気中の酸素に触れて黒く発色するものがありますが、あれが酸化染料です。毛皮の場合は鞣し工程のなかで水の中に毛皮を入れて強化するのだと思いますが空気中の酸素ではなく水のなかで染料が酸化発色しミンクの毛を変化させるということらしく、その分真っ黒にはなりにくいと言われています。だから強化なのかもしれませんね。

 

この強化のメリットは染色のようにお湯につけずに色を付けることができるためにクロム鞣しという処理をせず、通常のドレッシングという鞣し工程の過程で色を強化することができ、仕上がった皮が染色にくらべて柔らかく仕上がるというのが最大の特徴です。

ただ、この強化だと黒っぽくはなるのですが、真っ黒にはなりません。よく見ると濃いブラウンです。これをブラック強化と一般的には言われています。

さらに、酸化染料で染める方法がもうひとつあります。染色工場でやる方法です。上のほうでも書きましたが、これは水のなかではなくクロム鞣しをして、耐熱の皮にしてからお湯の中で染める方法です。これは同じ酸化でも、真っ黒に染めることが出来ます。その代わり少し皮が固くなったり皮の伸びが悪くなったりします。ブラック強化と一長一短の特徴があり、用途によって使い分けるしかありません。

それから、一般的には黒は染色工場さんでも酸化染料で染めるようですが、皮が固くなるのを嫌い私は酸性染料で染めてもらっています。これは通常の赤や青のような染料で染めるようです。もちろん黒という酸性染料があるのかは分かりません。調合して黒にしているのかもしれないのですが、私は刈毛用として酸性染料の黒染を依頼していました。
その理由は、刺し毛が綿毛に比べ染まりにくく、どうしても綿毛は黒になるのですが、刺し毛が黒になりません。グリーンっぽくなったりします。黒の染料が三原色を均等に合わせて作るからなのかどうかは不明ですが、わずかなバランスでグリーンっぽくなったり他の色が出てしまいやすいのです。そのために刺し毛をカットしてしまう刈毛でしか酸性染料では染めません。黒染めの酸性染料染めが何故いいかは、皮が酸化染料の染色よりも柔らかく仕上がることが私にはとてもメリットがありました。当時の担当者さんには苦労をかけたようですが、それでも仕上がりが柔らかいということには代えられませんでした。

ちなみに酸化染料で染めたブラックは皮は硬くなりがちですが、しっかりとドライクリーニングをすれば柔らかさはでます。
さらに、酸性染料で染めたミンクの刺し毛がグリーンっぽくなったりしましたが、酸化染料で染めたミンクの刺し毛はちゃんと黒になりやすいという結果が出ています。酸化染料自体が三原色を組み合わせた染料ではなく詳しくは分かりませんが薬品に近いのかもしれません。間違っていたらごめんなさい。

毛皮のブラック染色とブラック強化の説明は私が知る限りでは以上です。強化そのものの意味がよく分かりにくいことと、酸化と酸性染料の違いなど染色方法で皮の柔らかさや色の出かたが違うことなど、とても複雑で分かりにくいですね。

今回のことについても、あくまで私の感性で感じたことなので、他のひとが同じように感じるかどうかはわからないのです。

そして、手法の説明も完璧ではないはずです。しかしひとつ言えることは、仕上がった結果に対する説明に関しましては絶対の自信をもって書いています。そこだけご理解いただき信頼してもらえると嬉しいです。    長澤 祐一

毛皮の皮の劣化とクリーニング その6  その他

劣化に関する最新記事をアップ致しました。是非見てください。https://www.passione.co.jp/blog/%e6%af%9b%e7%9a%ae%e3%81%ae%e6%ad%a3%e3%81%97%e3%81%84%e4%bf%9d%e7%ae%a1%e6%96%b9%e6%b3%95%e3%81%a8%e5%8a%a3%e5%8c%96%e3%81%ae%e6%84%8f%e5%91%b3/

今日は、数回に分けて書いてきたなかで、さらに書き切れなく、一つのテーマとして書くほど長くもないという単発的なことをいくつか書いてみます。

毛皮の劣化やクリーニングについて、私が書いてきたことが正しいかどうかは、私自身も100%の確証はありません。
その理由は、毛皮の性質からいうと、毛と皮の両面から考える必要があり、学術的に正しいといってもそれが絶対とも言えないのが現実です。その理由は、毛皮自体に個体差があり、鞣し作業でも個体ごとに作業の差があったり、さらにはその後の保管状況によっても差が出たりと、あらゆる局面で差があることが、劣化やクリーニングに対してのそれぞれに考え方が違う要素になっています。
さらには、今現在の一般的な毛皮のクリーニングに使われているパウダークリーニングという手法も、もう何十年も前に、当時の専門家が考えた手法であり、その当時と今では、一年を通じての気温も違い、当時は毛皮の歴史も浅く今のように劣化した毛皮がたくさん出たということもないという、そんな時代と現在とでは、本来であれば考え方が変わってもいいはずですが、業界が小さいということもあり新しい考え方が出てくるほどでもないのかもしれません。

今回私が書いたことの証明が出来るとすれば、私自身が作った商品で見てもらうほかなく、劣化で言えば、私が納品したものが年数を経ても硬化したり劣化したりしないという、そのことでしか証明が出来ないという気の長い話になるのですが、そこは、これまで記載してきた記事を読んでいただき託してもらうしかないと考えています。

脂を抜く作業をたまにですが上手くいかず、抜き過ぎる場合もあります。そんな時には柔軟剤を皮に多めに入れてから再度有機溶剤とオガで脂を抜きなおすこともあります。その時に、柔軟剤を入れて皮を縦横に伸ばして皮の繊維に十分に柔軟剤が行きわたるようにします。繊維が縦に伸びている状態だと十分に細部まで柔軟剤がしみ込まないことがあります。このように手もみをして、この状態で再度ドライをします。これで、また柔らかさが戻ることがあります。絶対ではないのですが、もうダメかと思いながらもやり直してみる価値はあります。

オガに水分を含ませてドラム(回転式洗浄機)を長時間回すとドラムの中の温度が上がります。化学的なことはわかりませんが、オガが発酵のような状態になるのかもしれません。しかし、少量の水をオガに染み込ませることで毛に効果があるように感じます。例えば静電気防止剤や艶出しは水溶性液体で、これを水で薄めて使うのですが、水だけでやっても毛に少量の湿気が加わり、しっとりとして綺麗になります。ただし、水分が抜けていくときに一番繊細な毛の先がカールすることがあります。特にセーブルのような繊細な刺し毛を持っている素材の場合には起こりやすいのです。ですから、今は艶出しも静電気防止剤も使っていません。人間の髪の毛は少しオイリーなほうが良いと言われますが、毛皮は人間の髪の毛よりも何倍も細くて繊細です。ですから今は余計な薬品は使わずに仕上げています。
よく、ヌートリアのような抜き毛になったものをクリーニングに出すと毛がパサパサになって戻ってきてがっかりされるお客様がいらっしゃいますが、元々の状態に戻ったということなのです。クリーニング段階で何をすればそうなるのかわかりませんが、仮にあるとすればパウダークリーニングで有機溶剤系以外の水溶性の洗剤または艶出し等が使われると人間の髪の毛と同じで毛が僅かにウェーブがかかります。というか戻ります。元々ヌートリアのような抜き毛素材は、高温の回転アイロンで人間の髪の毛で言うストレートパーマをかけたような状態にして毛艶をだしていますので、水分が少しでも入ると毛は元に戻ります。パーマではなくドライヤーで髪を伸ばした状態なので水分を含むと縮れる性質なのです。そのためにヌートリアのような抜き毛素材はクリーニングに出して戻ってくると白っぽく艶のない状態になり、がっがりされることがあります。私もアトリエに回転アイロンがあり高温にしてヌートリアの毛を伸ばしますが、製品になったものは出来ません。理由は、毛を伸ばすためにアイロン部分を200度くらいか、それ以上に上げないと綺麗に毛が伸びません。しかも伸ばすために薬品を使うこともあります。クリーニングにくるものは商品になり裏地などが付いたカフスだったりコートに取り付けられたものがほとんどのため、裏地や他の生地を傷めるリスクが高過ぎて本格的に毛を伸ばす仕上げが出来ないのです。

毛皮につく匂いのほとんどが人間からつくものと、湿気から発生するカビ、そして香水です。女性の方は信じたくはないでしょうが匂いの発生元の多くは人間からなのです。クローゼットのなかは、ご自分では絶対に大丈夫だと思っていると思いますが、一回でも着たものをクローゼットに入れれば匂いは移ります。そしてそのなかで匂いが蓄積します。空調があるからといって安心もできません。洋服や毛皮を密着させた状態では部分的に湿気はたまって、カビの発生原因となるからです。
香水は、ご自分のものですから仕方ないとしてもカビは気になりますね。
ご本人は気付かれてないかもしれませんが、大半の毛皮コートにカビが生えています。ですから、よく保管中に不織布のカバーがかかった状態で倉庫に保管されているケースがあるかと思いますが、あれはかなり危険です。私のアトリエでも顧客のコートをクリーニングと保管を承ることがありますが、一番気を使うのが汚れではなく匂いです。コートを密着させれば不織布カバーでは絶対に匂いとカビは移ります。私のところは販売する商品もありますから、ものすごく神経を使います。
クリーニングにオガを使う理由は消臭効果もあります。有機溶剤で消臭効果が期待できるかどうかは分かりません。脂分が発生する匂いもあるので効果がないとは言えませんが、一番の効果はオガだと思います。私が使っているのはヒノキですが、詳しくはわかりませんがヒバとも言うようです。このヒノキのオガが消臭に効果があると感じます。最近使っている、家電のLGスタイラーというのがありますが、これも消臭効果が実際にあります。これはいつか別の記事で書きますが確かに消臭効果があります。強力な香水の匂いは難しいですが、軽い匂い程度であれば取れます。これは薬品やオガを使う訳ではないのですが、おそらく高温の蒸気が匂いを取るのだと推測しています

業者さんのやるパウダークリーニングとは何か変じゃないですか?パウダーという言葉の意味は、よく書かれているのはトウモロコシの芯を粉末にしてとか、皮に必要な油分を補充するとか? ありますね。それでは皮の脂分がどれほど不足しているんですか?裏地もとらず、皮を触りもせずにどうやって必要な油分を割り出すのですか?毛の栄養分?よくわかりませんよね。皮の必要な油分も毛の栄養剤も全て一回のパウダークリーニングという処理でやるのですか?汚れを取り除くのと栄養と油分を加えるのと一緒にするというのはかなり強引です。皮の油分を調整して足すなんてことも書かなきゃいいんです。だって裏地をとらずに毛の側からどうやって奥の皮まで必要な油分を補充するんですか?毛にも必要な栄養分をというなら先に汚れを落としてからでしょう。私はそう思います。人間用でリンスインシャンプーなんてありますが、毛皮は基本的に水洗いなんかできません。あれもこれも効果のありそうなことを書いてはありますが、全て一回のドラム処理では難しいと私は思います。毛皮の機械でグレージングマシンと言われている回転アイロンがあります。私も持っていますがセーブルやミンクの刺し毛の一番先の顕微鏡で見ないとわからないような細い毛先は、グレージングマシンを少し強くあてると毛先がわずかに切れてしまいます。毛皮が毛皮らしさを出している一番の部分です。毛先がバチっと切れてしまえば、フェイクファーと同じになってしまいます。特に危険なのは、クリーニング仕上げでコートになった状態でかけるのは、肩やエリというように凹凸があり、回転するアイロン部分が部分的に強くあたってしまい、毛切れの危険性があります。チンチラのように柔らかい毛は危険かというと柔らかすぎて切れないという結果が私のなかでは出ていますが、どちらにしてもグレージングマシンは危険があります。ただ作業をしている分には気が付きませんが、毛皮の本来の輝きを知っていれば、作業の結果からでる様々な違いに気が付くはずです。お客様受けしそうな文言を精一杯並べても、これは矛盾ががあるだろう、、、と私は感じています。私自身もネットという、この場所で競い合う場を作って書いているわけですが、日本製だとか、選りすぐりの職人が作るとか、、、書きたい放題書かれていますが、いつも自分も同じにならないようにと感じています。日本製だからいいのか?選りすぐりの職人とは誰が決めたんだ、、、といつも思います。クリーニングについては全てわかるわけではありません。しかし、少なくとも毛皮のことであれば分かります。ネットに出ている画像を見れば、どの程度の職人が作っているかなんて分かります。その度に、私も同じように見られないようにと記載する”言葉”にはいつも気を使います。

最後に一つ大事なことを書きます。私がオガを使ってドライ処理をするのは、リフォームや例えば裏地を交換するタイミングでやることです。裏地替えのときは普通は芯や付属は変えずに、ただ裏地だけを交換しますが、せっかく裏地を外すのであれば、出来れば費用は掛かりますが芯や付属を全て外して毛皮を毛と皮の両面から洗うことをお勧めします。もちろん、購入金額等とのバランスもありますが、セーブルや品質のよいミンクなどであれば価値はあると思います。

じゃあ、裏地がついたままのクリーニングはお前はどうするんだと質問が出るかもしれません。もちろん、シークレットですが、それにしても裏地を付けたまま、オガドラムなんて絶対にかけません。オガが裏地のなかに必ず入って取れませんから。正直、個体ごとにやることを考えないといけないのです。ドラムでたくさん回せば、カギホックや毛皮専用の留め具などをしっかりカバーしないとドラム回転中に裏地に傷がついたり、カギホックそのものの先が傷がついたりと難しいのです。私もネットに入れますが、それでも傷がつきます。よく、長い毛のもので留め具周辺の毛が切れていることがありますが、お客様が着用しただけでは、あそこまで切れないのです。ドラムにかけ、ドラムのなかの棚のような部分や蓋にあたって切れています。書き出すときりがないくらい諸々問題がでます。それをパーフェクトにクリアするのは一律の作業ではかなり難しいのです。もちろん、だからといってマニュアル化は否定しません。やるべきだと思います。やればどこかで出口が見つかるのかとも思います。私自身の作業もマニュアル化はしています。ただ、最初の段階では失敗の連続です。私自身もまだまだ全てが解決できていません。

今日は補足の寄せ集めみたいになりましたが、内容はそれぞれに大切だと感じることを記載しています。予定は2000字くらいでしたが4600字になってしまいました。申し訳ありません。
このブログが何百万人に一人でも、面白いと思って読んでもらい、ひとつでもお役に立てることがあれば嬉しいです。      長澤祐一